2011/12/16

戦前のファサードを曳家で保存/オリックス不が淀屋橋のマンションで

 オリックス不動産は、大阪市中央区で建設を進めている分譲マンション「淀屋橋プロジェクト(仮称)」の外壁に、戦前から残る近代建築のファサードを保存・活用する=写真は完成予想。1918年に大阪農工銀行として竣工した八木通商ビルの建て替えに当たり、外壁のみを補強した上で曳家する。施工は鹿島が担当。7月から新築工事に着手しており、2012年6月から8月の間に曳家を実施する予定だ。新築するマンションの外壁に保存した近代建築を活用する事例は関西では初という。
 八木通商ビル(旧大阪農工銀行)は、辰野金吾が設立した辰野片岡建築事務所が設計。その後、1929年に國枝博が改修設計を手掛け、アラベスク文様のテラコッタで覆われた外観が印象的な建物となっている。
 建物は保存する外壁のみを残して解体。曳家は外壁の補強を終えた後に実施する。1カ月程度かけて合計で約3mを移動、曳家を採用することで外壁の装飾や曲線美などを損なうことなく保存できるとしている。
 建物がある三休橋筋は、大阪市中央公会堂や綿業会館など近代の名建築が数多く残ることで有名。今回建て替えるビルもこうした景観を形成する重要な要素となっていることから、同社では外壁の保存活用を決めた。
 同プロジェクトでは総戸数60戸、地下1階地上13階建て延べ約5600㎡規模のマンションを建設する。設計はIAO竹田設計が担当。建設地は同区今橋3-20-1の敷地774㎡。

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