2015/09/10

【パナホーム】住宅を高品質・高効率で「生産」 つくば工場をリポート


 パナホームのつくば工場は、東日本における住宅用パネルの生産拠点工場として年間約2700棟分の製品を生産、首都圏および関東と東北地方に供給している。野間哲也工場長は、顧客ごとに丁寧に対応する「邸別生産」と設計・生産・施工の「一貫生産」で高品質・高効率を実現すると同社のこだわりを説明する。効率化を追求した工場生産でありながら、住宅建築という顧客ごとのニーズに応じた一品生産を両立する、工業化住宅の生産技術をリポートする。

 邸別生産を採用している工場内のモニターには、その日生産する必要な住宅用パネルの枚数が表示されている。1軒の家を建てるのに必要なすべての製品を一貫した工程でつくりだす。そのために、ガラスや窓枠メーカーから家ごとに必要な部材を一式で納入される。在庫管理にかかる手間が少なくなり、作業者も使用する部材が分かりやすい。一軒分の製品を完成させて次の一軒に移るというスタイルで1日フル稼働すれば15棟程度生産できるという。
 全工程のうち、主力の大型パネル構造が約6割、鉄骨軸組構造(HS構法)、重量鉄骨ラーメン構造がそれぞれ約4割を機械化している。さらなる機械化を目指し、2015年度中には人力で断熱材を入れる作業への作業ロボット導入を計画している。作業員が行う工程でも、作業ライン上のパネルを機械で上下左右に動かすことで作業員の負担軽減と効率化を図っている。

工場内は機械化が進む

 生産性向上のため、1工程間2分など、自動車工場などで取り入れられているタクトタイム制も実験的に導入。また、作業者を技術に応じてレベル分けしている。中でも赤色の帽子をかぶった認定作業者は、5年以上の勤務経験がありスキルと知識を兼ね備えた人材として作業の中心的役割を担う。同工場には約40人勤務している。
 広報・宣伝部広報担当の杉本幹生氏は「効率的な生産はもちろん重要だが、決まり切った製品では現在の顧客のニーズに対応できない」と話す。「建てる前の商品バリエーション、建てる時のコストメリット、建てた後のメンテナンス対応のすべてがそろって選んでもらえる」と大量生産方式とは一線を画す考え方だ。
 つくば工場は、1972年から操業を開始し、屋根、床、外壁、間仕切りの各パネル、フレーム、ジョイント金物、アルミなどの鉄・金属類、階段、飾り縁などの木質類を生産している。茨城県つくばみらい市の12万6307㎡の敷地には、生産ラインとモデルハウスのほか、製品を比較したり地震体験のできる「住まいとくらしの情報館つくば」も併設している。
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