2014/06/11

【BIM】活用の極意は「何でもできるが、すべてはしない」 シェルパ・高松代表

高松稔一代表(株式会社シェルパ)
「何でもできるが、すべてはしない」。シェルパの高松稔一代表は、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)活用の極意をそう語る。長年にわたり多くのプロジェクトをBIMを使って支援してきた高松氏だからこそたどりついた考え方だ。その経験から、BIMを活用して挫折しかけた場合、大きく分けて2つの要因があると分析する。

 1つは「得たい成果を明確にせずに取り組んでいること」。例えば、BIMモデルを使って数量を算出する場合、「すべてをBIMでやろうとすれば徒労に終わる」。手で拾う方が早い部分や、少額のため厳密に算出する意味が薄い部分もあるからだ。算出の目的が概算であれば、「型枠・鉄筋・コンクリートなどの躯体(約4、5割)を正確に出せばいいのではないか」とみる。同社では、数量算出にBIMを使う範囲を、基本的に建築関係22工種のうち16工種(約7割)に絞っている。

FMにつながるBIM総合図
得たい成果は、企業によってさまざまだ。シェルパでは、QCDSEという基本に立ち返って、各企業に改善したい項目をヒアリングし、「BIMを使うことがベストだと思える部分を取捨選択する」とともに、「他のツールも活用してハイブリッドで解決を目指す」というスタイルをとる。BIMのシーズからは思ってもみないニーズも出てくる。
 得たい成果に合わせて、モデルの詳細度(LOD)も変わってくる。「日常生活で食事や旅行の目的に合わせて、店や行き先のグレードを変えるのと同じだ」という。シェルパでは5段階のLODを数値化しているという。
 BIM活用でぶつかるもう1つの壁は、「モデルデータの受け渡し」。この点については、国土交通省官房官庁営繕部が2013年に冊子『建築コスト研究』に寄稿した「官庁営繕事業におけるBIM導入の試行等」の中で、「BIM導入・活用における課題」の1つとして指摘し、受け渡し時の混乱を避ける方法として「BIMモデルの説明書」の必要性に言及している。
 高松氏は、こうした説明書をつくることで、「使う側が受け取ったモデルを数値的に判定できる」と話す。また、モデルをつくる側にとっても、「工場のライン管理のように、パーツごとに合否判定を行い、オペレーターごとのモデリング速度などのカイゼンにもつながる」という。
 各企業がBIMを活用する際は、建物用途別や構造別の「部品倉庫」を事業所別に詳細度を分けて整備するといった地道な作業も必要。しかし、「少々面倒なことも考えながら、できるところからホップした企業が、ステップ、ジャンプしている。こうした取り組みを支援したい」と語る。
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