2014/07/03

【坂茂】プリツカー受賞後、初の設計 相馬市に「LVMH子どもアート・メゾン」

震災で傷ついた子どもの心理的なケア活動を行うための活動拠点となる福島県相馬市の「LVMH子どもアート・メゾン」が2日、関係者待望のグランドオープンを迎えた。世界的な高級ブランドLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン・グループが建設資金を提供。同社とつながりの深い建築家の坂茂氏がボランティアで設計を担当し、地元の草野建設が施工した。

外観その2
震災を体験した子どもたちのPTSD(心的外傷後ストレス障害)対策の拠点となる子どもアート・メゾンの規模は、木造2階建て延べ291㎡。約2000冊の絵本が閲覧できるスペースと相談室兼小会議室、多目的研修室、事務室などがある。2階は読み聞かせコーナーとなる。“紙の建築家”と呼ばれる坂氏らしく柱や間仕切り、テーブルの脚やイスの背もたれには紙管が使われている。

2000冊の児童図書が備えられている
〝紙〟の建築家らしくテーブルやイスには紙パイプが使用されている
紙パイプを使った柱。奧には子どもが育てるための野菜が並んでいる
運営は同市で子どもの心のケアなどを行っているNPO相馬フォロアーチームが担当するほか、中学生を対象とした相馬寺子屋事業や作曲教室などのエル・システマ事業を行う予定だ。所在地は同市中村2-2-15。

テープカットをする坂氏と立谷市長、ヴィニュロン社長(左から)
2日に現地で行われた記念式典には立谷秀清市長、シリル・ヴィニュロンLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン・ジャパン社長、坂氏、草野清貴草野建設社長ら関係者約50人が出席。立谷市長は「震災から立ち直るきっかけとして、相馬の子どもたちが伸びやかに感性を育み、PTSDを克服できる施設として運営していきたい」と語り、関係者に感謝状を手渡した。
 プリツカー賞受賞後初の竣工作品となった坂氏は「世界各地で自然災害直後の被災地支援に取り組んできたが、今回の経験で復興にも継続的にかかわることの重要性を知ることができた」とし、「子どもたちが積極的に利用し、建物の維持管理にもかかわってほしい」と期待を寄せた。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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