2012/12/07

【記者座談会】トンネル老朽化問題 今後は「積み上げ」議論が必要

ネクスコの緊急点検
A 中央自動車道笹子トンネルでの天井板落下事故が、大きな波紋を呼んでいる。
B 原因については、まだはっきりしていないから、明確なことは言えない。でも、事故の影響で、社会資本の老朽化の問題と維持管理の重要性が話題になっているのは確かだ。テレビや新聞でも老朽化の対策をもっとすべきだという論調がほとんどだ。
C このままでは『荒廃するアメリカ』になるという指摘はもう何年も前から強く言われてきた。国土交通省も2009年度国土交通白書で老朽化の問題を強く指摘し、公共投資が05年度の水準のままであっても、37年度には維持更新費が投資可能総額を上回り、更新できないストックが発生するという踏み込んだ記述をした。アセットマネジメントの導入など戦略的な維持管理の必要性はこれまでも叫ばれてきたし、国交省も政策として実行し始めていた。
D ある建設会社幹部は「でも、ここで『ほら、言わんこっちゃない』と批判し合うのではなく、どこで何をすべきという積み上げの議論をしなければ。事故についても、責任追及だけでなくて、これからは何をすべきなのかという議論にならないといけない」と言っていた。結局、責任追及や批判合戦になると、そこがクローズアップされて、本質的な問題解決には至らない。
C でも、その積み上げをするためには、予算が必要だ。老朽化対策は必要だけど、公共事業はダメという話はおかしい。具体的な事業は賛成だけど、「公共事業」という話になると「ムダ、バラマキ」になって、結局、必要な事業を積み上げられない。いまの公共事業批判が、いかに公共事業という概念だけを批判する観念論かがよく分かる。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2012年12月7日14面

 

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