2014/04/05

【締め固め不要!】普通コンを高流動化 大林組がどこでも供給可能に

普通コンクリート →   高性能な流動化剤を添加   → フローアップクリート
大林組は、全国どこでも供給可能な流動性の高いコンクリート「フローアップクリート」を開発した。現場でアジテータートラック(生コン運搬車)内の普通コンクリートに、流動化剤を一定の割合で添加するだけで製造可能なため、特別な装置・設備が不要で、普通コンクリートが供給可能なすべての地域で使用できる。CFT(コンクリート充填鋼管)造の圧入工法に適用可能なことも実験で確認し、オフィスビルや病院施設などの建築工事に適用した。
 建物の耐震性向上のニーズに伴い、増加している過密配筋の構造物やCFT造では、コンクリートを隅々まで均質に行き渡らせる必要がある。その一方で一般的に使用されている普通コンクリートには必要な流動性がないため、流動性の高い高強度コンクリートを使って対応していた。
 フローアップクリートは、普通コンクリートに流動化剤を加えて製造した流動化コンクリートとしては唯一、CFT造に適用が可能。複雑な形状となる免震基礎の下部、過密配筋部など流動性の高いコンクリートを必要とする、さまざまな用途に適用できる。
 さらに、高強度コンクリートに比べて、コンクリートの温度上昇を抑えられるため、ひび割れのリスクが軽減する。CO2排出量を最大約20%削減可能な上、コストも最大10%削減できる。
 高強度コンクリートは、製造プラントごとに大臣認定が必要で、地域に認定を保有するプラントがない場合、設計段階でCFT造を諦めなければならないケースも多かった。また、高流動系のコンクリートは、長距離の運搬となる場合、時間の経過とともに流動性が低下するリスクがあったが、フローアップクリートはその心配がなく、むしろそうした地域の現場に最適な材料となっている。
 使用する流動化剤は「JIS A 6204(コンクリート化学混和剤)」の規格に適合。流動性の指標で見ると、スランプ18cmの普通コンクリートがスランプフロー25-30cm程度に対して50-60cmと、極めて高い流動性が確保できる。
 増粘成分により材料分離が少なく、打設時も高い流動性と均質性を保持するため、従来の高強度コンクリートと同様にポンプ圧送が可能で、振動機などを使ってコンクリートを隅々まで均質に打ち込む「締め固め」と呼ばれる、コンクリート打設時の作業が不要、あるいは軽減されるため、施工品質と生産性も向上する。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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