2016/03/27

【LED投光器】建築だけじゃない! 五輪競技施設で繰り広げられるもう一つの戦い


 2020年東京オリンピック競技施設の設計・施工者がほぼ決まり、建材や設備メーカーの営業提案も激しさを増しつつある。中でも競技場の明るさを保つための投光器については、電力コストが安く、点灯後にすぐ最大出力の光量が出るLED(発光ダイオード)照明の採用が有力視されているが、カメラ映りへの配慮や、競技に応じた光の当て方の制御、まぶしさを防ぐグレア制御といった厳しい要求がある上、防水機能や耐久性も重視されるため、受注競争は照明メーカーの技術を競う場となりそうだ。写真は横浜スタジアム。

岩崎電気「LEDiocFLOODDUELL」

 老舗メーカーの岩崎電気は、ことし1月に日本プロ野球の屋外球場初となる横浜スタジアム(横浜市)のナイター照明設備を受注した。既設のメタルハライドランプ投光器708台を高演色形LED投光器660台に交換して総消費電力を56%削減し、テレビのスーパースロー再生での画像のちらつきを防ぐ、独自のフリッカレス点灯を取り入れた。創業以来、道路灯などの基準の厳しい照明にも対応してきたことから、光の広がりを調整する部分に独自のノウハウがあり、シミュレーションを繰り返しながら、まぶしさを抑えた。

東芝ライテック「LEDS-70403NN-LJ2」

 サッカーJリーグの川崎フロンターレのホームスタジアム、等々力陸上競技場(川崎市)のメーンスタンドの屋根上部に、ナイター用のLED投光器300台をライン状に設置したのは、東芝ライテックだ。同社のLED照明は、高性能の反射板で光をまんべんなく制御できることが特色。すべての可視光域に有効な「増反射膜処理」を施すことで反射率を約18%改善し、直進性の高いLED照明の光を無駄なく投光する。グレアには反射板でLEDモジュールからの不要な光をカットするなどして対応した。関連技術を自社で統合的に開発することで、大型案件へ提案力を高めていく。

パナソニックエコソリューションズ社「HID1500形」

 パナソニックのエコソリューションズ社の強みは、総合メーカーの品ぞろえを生かした「モジュール設計」だ。異なる角度で配光するLEDブロックを用途に合わせて組み合わせ、設計コストを抑える。全天候型多目的スタジアムの、東京ドーム(東京都文京区)に納入が決まった約700台の投光器もこのタイプで、前面パネルに衝撃に強いポリカーボネートを採用し、使用年数の経過とともに光量が落ちない効率の良い放熱設計を採用した。照明の配光や照射方向の微妙な調整でグレアを抑制し、光軸の操作でグラウンド外への光漏れも抑える。
 このほか、太陽光に近い色を再現する高演色の照明を開発するなど、各企業とも施主の細かい要求に応えるラインアップを充実させている。こうした工夫も含め施設の点灯時間によっては従来品のHIDランプのほうが納入価格で有利な場合もあるだけにコスト競争への対応力も求められそうだ。
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