2015/04/12

【素材NOW】穴場だった中低層用カーテンウオール市場 LIXILが『MLCW』投入

LIXILが新たな3-5階建ての中低層用カーテンウオール製品『MLCW』を市場投入した。店舗施設を営業ターゲットに置くが、あえて中低層向けに新製品を打ち出す背景には、同業他社も含めて価格や性能の両面でフィットした競争力のある製品が存在しないという理由があった。店装開発部部長の三橋正氏は高層用製品と低層用製品の「良いところ取りができた」と胸を張る。

 そもそも3-5階の中低層施設に対し、サッシ業界は高層用と低層用のいずれかを施設条件に応じて使い分けて提案している状況であった。LIXIL自身も中低層用に『テックフェイス』という製品をラインアップに置いていたが、価格設定が高かったため、同業他社と同じく高層用製品『RX60』や低層用『ES』製品シリーズを使い分けるケースが多かった。

意匠も押縁を全面にし、排水孔を隠してシャープにした
価格と性能のいずれでも競争力を発揮できる中低層用を製品化することは、受注競争を優位に進められる。MLCWは躯体とつなぐブラケットをシングル対応にするなどの工夫で部材数を減らし、従来品比1割減のコスト削減に成功した。注目すべきはユニット方式を採用することで、延べ1000㎡規模では50日程度だった納期を18日に減らせると試算している点だ。大幅な納期短縮は約100社に達する全国の加工店ネットワークが下支えしている。
 近年の職人不足を踏まえ、施工作業への配慮も忘れていない。作業員が先に取り付けたカーテンウオールユニットのスリーブにフックを掛けるだけで作業を進められるように工夫した。開発に着手したのは1年前。ビル部門と連携しながらアイデアを形にした。従来のダブルブラケット構造をシングルに変えることで、部品数の削減によるコスト縮減とともに、溶接手間も半減させることができた。
 製品開発時に構造部分を担当した店装開発部開発グループ主査の石川泰久氏は「フック式の採用により、本来2回の溶接作業が必要なところを1回に抑えられる効果を生んだ」と明かす。営業の重点ターゲットに置く店舗施設では、シンボルとして建物正面部分にだけカーテンウオールを採用する設計が多い。三橋氏は「これからは施工の合理化が製品の優位性になるはず」と手応えを口にする。
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