2012/08/23

米国SCI-arcがデジタルデザイン使って東北復興プランを作成!

法政大で開かれた最終レビュー
南カリフォルニア建築大学(サイアーク、SCI-arc)の大学院生15人が、宮城県南三陸町の陸前戸倉などを調査し、同大が得意とするデジタルデザインを駆使して地域再生のマスタープランを制作した。学生の提案に対してサイアークの日本スタジオ責任者であるジョン・ボーン氏は「学生たちが作成した5つのモデルは、現在の技術力に見合った提案から、未来的な構造を含めた5段階で作成された。これらから、地域の方が自然、伝統、経済面を含めて組み合わせてもらえればうれしい」と話している。

「Lattice」
画像提供:Bechtel, Arup-Japan and the SCI-Arc students
5月中旬に来日した学生は、3カ月間の日本滞在中に東北を視察、拠点としている東京・市ヶ谷の法政大学校舎で作業を進め、8月上旬に5グループに分かれて提案を作成、ファイナルレビューを建築家らを招いて行った。
 まず調査・研究段階として、被災地の海岸エリアを世界の同様の海岸エリアと比較することから始めた。陸地と海と人間の関係性を明らかにし、津波と都市計画を図面化していった。
 次に津波被害を減らすために、海岸構造を人工的に手を加えて利用するタイプと、自然の海岸を利用する手法とを比較検討した。その後、実際に被災地の陸前戸倉を訪れ、町の状況を調査、地図化し、デジタルツールを駆使して津波のシミュレーションまでを行った。
 また6月下旬に東北大学も訪れ、建築学科の学生や教員たちと提案についての議論を展開した。
「Geyser Run」
画像提供:Bechtel, Arup-Japan and the SCI-Arc students
地域再生のマスタープランの内容は以下のとおり(学生グループ、提案内容の順)。
 ▽「UNWall」=Scott Wilburn、Miguel Vega、Malek Idriss
 海岸線にコンクリート製の格子状構造物を幾何学的に配置し、構造物下部に埋め込まれた浮上式の洪水ドアで津波のエネルギーを押し返す。
 ▽「Geyser Run」=Joe Brown、Chris Caron、Hector Campagna
 地形自体を建築するという提案。地方輸送路、港湾の拡張、地域センターと震災メモリアルなどを取り込み、傾斜した地形の摩擦や表面構造を生かして、津波のエネルギーを散逸させる。
 ▽「Transposition」=Ronny Eckles、Hope Pollonais、Linda Mejia
 日本の土地造成技術を生かして、インフラと建築を融合させた構造物を建設する。津波の性質を分析して海に配置した群島を使い、津波エネルギーを低減させる。
 ▽「Lattice」=Ted Digirolamo、Peter Wade、Riana Hoteit
 既存の景観を生かした水平居住についての提案。海上に構築した格子で津波のエネルギーを低減し、避難経路・時間の確保も行う。
 ▽「Liminal」=David Tran、Jose Palomares、Karim Attoui
 まちを高台、河口、湾の3つのゾーンに緩やかに分け、津波エネルギーを詳細に分析することで既存のランドスケープを極力生かして再配置する。
画像提供:Bechtel,Arup-Japan or the SCI-Arc students

『Southern California Institute of Architecture』 AmazonLink

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