2013/03/08

【建築】明治期の貴重な遺構よみがえる 旧清水邸書院の復元が完了

東京都世田谷区の二子玉川地区で、再開発事業と足並みをそろえて同区が整備する都市計画公園『(仮称)二子玉川公園』。全体で約6.6haに及ぶ園内の一角では、約100年前に建設された近代和風建築の旧清水邸書院の復元工事が、清水建設の設計施工でほぼ完了した。4日には同書院を含め、区立初の日本庭園として4月14日に開園する約3.6haの第1期エリアがオープンに先立ち、報道関係者に公開された。保坂展人区長も現場を訪れ、新築時から“二度目の引越し"を経てよみがえった明治期の貴重な遺構を、実際に触りながら確認していた。
 書院内部では、当時の資料をもとに形状を推定して復元した照明などについて、同区生涯学習地域学校連携課の増田博文化財係主事が、その過程や苦労を語った。保坂区長は、入手困難なクワを材料とした床柱に触れながら、熱心に見学。「歴史ある書院を巧みに復元してくれたことは、訪れる子どもたちにとっても学習の場となり、これからの糧になるだろう」と話した。
 旧清水邸書院は、当時の清水組(現清水建設)副社長宅の離れとして、1910(明治43)年から11年ごろに台東区内に新築され、19(大正8)年に現在の世田谷区瀬田に移築。60年後の79年に解体された。栂(ツガ)を主要材にした造りで11畳の書院と5畳の次の間からなり、欄間には金箔などの工芸がみられたという。解体部材は区が寄贈を受けて以来、30年以上にわたって保管、これまで幾度となく復元を検討していた。
 公園は、東急田園都市線二子玉川駅東口から徒歩10分程度の上野毛2-28から玉川1-16の敷地約6.3haに整備する。残りの部分は2期に分けて工事を進め、15年度の全体完成を見込んでいる。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年3月8日

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