2013/10/09

【技術裏表】逆転の発想! 大口径ボルトに油圧テンショナーはもういらない

スウェーデンのボルトメーカー、ノルトロック社(本社・ゴーセンバーグ、ミカエル・ヘルマーソンCEO)が10月1日に国内販売を始めた「スーパーボルト」。これは小口径のジャックボルトを複数使って、直径36mmを超える大口径ボルトを確実に締結する「逆転の発想」から生まれた製品だ。
 「緩むボルトを毎週スレッジハンマーで締め付けるのはもういやだ。大きなトルクを小さなトルクに分割できないか」という考え方から生まれたスーパーボルト。


◇ひらめきから生まれた

 考案者のロルフ・ステインボック氏は、スクラップチョッパーという機械のボルトが、すぐに緩んでくるのを見て、ひらめきをスケッチ。周囲から「これで大丈夫か?」と言われながらも製品化にこぎ着けた。
 スーパーボルトは、8本から十数本のジャックボルトを使い、1本の大口径ボルトを締結する。ジャックボルトは一般的なトルクレンチで締め付けることが可能で、その荷重はナットのボディを通じてメーンのネジに軸力を伝える。ジャックボルトは高硬度ワッシャーに応力を伝え、それがメーンのネジの軸の反力となる仕組みだ。
 プラントや発電所などでは、直径が100mmを超えるボルトで巨大なフランジを締結する必要がある。ボルト締結には、直径の3乗が必要とされ、人力では締結できず、大口径になるにつれて油圧テンショナーなどの大掛かりな工具が必要となる。しかし現場では、狭いところや高所にこうしたボルトが使われているケースも多く、重くて大掛かりな工具では時間がかかったり、危険な作業が増える。


 

ボルトの締結原理
◇メンテも簡単に

 スーパーボルトは一度ボルト自体を組み付けてしまえば、あとはレンチでジャックボルトを締めるだけなので、危険な作業から解放される。また、正確に締め付けトルクをかけていけるので、確実な締め付けが可能だ。
 定期的な分解では、これまでボルトを緩めるトルクが大きすぎて、ボルト自体を切断しなくてはならないこともあった。しかしこのボルトならば、レンチで簡単に外せるので、メンテナンスが簡単でコストも圧縮できる。
 これまでに、大型圧縮機の軸止めやアンカーボルト、発電施設のシャフトカップリング、鉄鋼機器の電炉電極アーム、掘削用のホイストドラムなど高軸力で振動が激しい機器に採用されている。
 同社では「ボルトは非常に基本的な部品だが、破断すれば機器に多大なロスタイムを与える。こうした課題を解決できるので、ぜひ使ってほしい」と話す。日本ではノルトロックジャパン(本社・大阪市西区、宮下浩史社長)が販売を行っている。
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