2013/10/04

【道路業界】日本道路北海道支店 工事増に対応しきれない


 政権交代に伴う大型補正予算の編成などにより、北海道内の道路工事量は増加しているものの、景気低迷による長い“冬の時代"に組織の適正化を図ってきた結果、各道路会社とも急激な量の増加に対応し切れないという状況にある。新規や大規模工事が限られる中、日本道路は新工法による維持補修、民間分野に活路を見いだすなど収益確保に向けた生き残り策を模索している。同社の四位哲朗執行役員北海道支店長と、同社が代表となって運営しているサッポロアスコンの野中武司所長に北海道の現状や課題などを聞いた。


◇合材出荷量は6割減


 北海道ではピークだった1994年に700万tだったアスファルト合材の年間出荷量が、現在約6割減の約300万tにまで落ち込んでいる。ピーク時から4割強の減少となっている本州地区に比べても落ち込み度合いが大きい。
 13年度の出荷量は増加傾向にあり、4-8月は前年度比15%増えている。大型補正の後押しで工事量が増加している半面、四位支店長は、「アベノミクス効果で急に仕事が増えても消化する体制が組めない」と指摘する。
 「来年、再来年は仕事がなくなるかもしれないという先の読めない状況の中、どう体制整備していけばいいのか」というジレンマもあり、「各企業ともさまざまな形で、体質の改善を図って何とかやっている」のが現状だという。

◇公共工事は競争熾烈

 公共は仕事量はあるが、競争がし烈で利益を上げるのは厳しい。一方、民間工事は「公共工事に比べて年間で波が少ない」ことから、今後は民間にさらに注力していく考えだ。維持修繕分野では、9月26日に北海道の公道で初施工した、高耐久加熱アスファルト系表面処理工法「リフレッシュシールMix-H」などを積極展開する。
 サッポロアスコン(北広島市)は道内に12基しかない1時間当たりの生産能力が120t以上あるプラントの一つだ。
 13年度の道央地区の出荷量は前年度比15-20%増の見通しと明るい材料はあるが、足元では出荷ピークへの対応に追われ、野中所長は「浮かれてはいられないらない」と気を引き締める。
 北海道では、本格的な降雪期を迎える前の10-11月がアスファルト合材出荷のピーク。繁忙期に備え、砕石や再生骨材を確保しなければならないが、長期にわたる公共工事削減を経て、「急激すぎる需要に対応できない体質になっている」という。

◇利益率もかげり

 10-11月はビート(甜菜)の収穫期でダンプが農作物の運搬に回り、砕石や合材を運ぶ手段の確保が難しくなる。さらに砕石自体の需要も追いついていないという二重苦の中で、資材供給を確実に受けられる体制固めに奔走している。
 製造販売部門の利益率にも陰りが見えつつある。原材料価格が上昇しているのに価格への転嫁が進まず、利益率を圧迫している。
 道内には合材工場が115カ所あるが、採算が悪化すれば一気に集約化が進む可能性もある。野中所長は、「プラントの集約化、閉鎖工場の代替体制の検討など、業界全体の問題として考えていかなければならない」と指摘した上で、「時代に合った補修工法に適したものなど、合材にも付加価値をつけなければならない」と体質改善の必要性を強調する。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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