2012/06/11

士会連合会の新会長 三井所清典氏にインタビュー

 公益社団法人として新たなスタートを切った日本建築士会連合会の新会長に、三井所清典氏が選ばれた。歴代の会長が取り組んできた「地域のまちづくり」をさらに推し進め、東日本大震災からの復興を始めとする建築士の地域貢献活動を支援する。同時に、設計、施工、製造、教育、行政と多岐にわたる建築士の立場を尊重し、それぞれが建築士としての誇りを持ち、力を合わせて建築に取り組むことができる体制づくりにも注力する。

--今後、重視する活動は

 「建築士の地域貢献活動が一層、重要になる。活動が地域の人に理解されるためには、まず地域内の同業種同士が同じ目標、考え方を持ち、まとまって発信する必要がある。声を合わせることで地域の人が認識しやすくなると同時に、地域固有の問題がはっきりする。住まいづくり、まちづくりで地域貢献する者同士が、所属している組織に関係なく自然に協力して活動できればいい」

--東日本大震災の復興支援に向けて

 「これから復興が本格化すると、被災地域の力だけでは間に合わなくなる。地域の力を最大限に発揮する方策を考えた上で、被災地以外からもすぐに応援に出向くことができる体制をつくっておかなければならない。また、今回の復興では、地域に合った支援活動ができるよう、配慮する必要がある」

--新しい活動は

 「建築技術委員会を設置し、その中に復興住宅や公営住宅など、地域の木造住宅建設を応援する地域木造部会をつくろうと考えている。また、公共建築物木材利用促進法を踏まえ、中小ゼネコンや工務店が自分の地域の公共建築を木造で建てられるような運動を推進したい」
 「建築士法で定められた定期講習は、建築士事務所に所属する建築士が対象だが、施工に携わる建築士も大勢いる。すべての建築士が誇りを持って仕事に取り組めるようにすることが大事だと考えている。施工講習会を開き、工事にかかわる地域の建築士が長期的に自己研鑚し、スキルアップできる取り組みを進めたい」

--専攻建築士制度のあり方は

 「まず、更新率を上げたい。そのためには、専攻別の講習会の質と頻度をどうするか、考える必要がある。分業化が進む中、専門性が高い講習でなければあまり意味がない。専攻別の講習会が、定期講習に代わり得ることを意識しながら取り組んでいくことになると思う」
 「日本建築家協会(JIA)の登録建築家との一本化については、よく議論を重ねないといけない。いまのところ、設計専攻建築士はすべて統括設計専攻建築士となっているが、意匠に特化している建築士は設計専攻とすればいいのではないか。全体をまとめるという技術的な部分に加え、社会性、文化性を十分反映した設計ができる人を統括設計専攻とすればいい」

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 (みいしょ・きよのり)1968年東大大学院博士課程修了後、同年芝浦工大建築学科講師、82-2006年同大工学部教授、70年アルセッド建築研究所設立主宰、01-12年東京建築士会港区支部「港会」会長。現在、芝浦工業大名誉教授、アルセッド建築研究所所長、東京建築士会会長、NPO法人木の建築フォラム代表理事。佐賀県出身、73歳。

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