2012/06/07

早大建築グループ提案が最優秀に 日本創生委員会の「復興構想コンテスト」

最優秀となった閖上地区の復興プラン
 日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)が事務局を務める日本創生委員会の寺島実郎委員長が責任監修した「復興構想コンテスト」で、早大建築学科助手の若手研究者グループが提案した、宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区の復興プランが最優秀作品に輝いた。同市出身の建築家・針生承一氏や、ゆりあげ港朝市共同組合の櫻井広行代表理事を始め、信頼と実績のある地元キーマンの考えと、若手の斬新な発想を融合した提案だ。

◇閖上地区の復興プラン

 「生物多様性の復元と生活文化多様性の創出に関する提言」と題したプランには、がれきを利用したメモリアルパークや複数の津波避難ビル、各建物をつなぐ空中回廊などを段階的に整備していく構想が盛り込まれている。
 さらに、町の産業を復興から創出・発展へと導くため、水族館や海洋レジャー施設、ホテルなどの観光機能を導入したり、研究・研修拠点を設けるなど、人の集積を促すアイデアは多岐にわたる。
 提案グループの代表、永野聡さんは「閖上地区は一大消費地の仙台市や空の玄関口の仙台空港にも近く、立地ポテンシャルは非常に高い」と語る。復興プランには多様な施策が盛り込まれているが、第一に実現を目指すのは、シンボル空間の港朝市の再建だ。

◇朝市建設が決定

 主体は別だが、5月にはカナダ政府などの援助で、朝市の施設を建設することが実際に決まった。地域の人々と話し合いを重ねてきた彼らにとっては、寝耳に水の話だったようだが、「これを起爆剤にして、今後の広がりにつなげていきたい」(永野さん)と気持ちを新たにする。日詰博文さんも「建設が決まった施設だけでは十分とは言えない。2期、3期のことを考えていきたい」と先を見据える。
 復興プランが、一つの“たたき台"になればいいとの思いを持ち、「その時々で最良なものに、柔軟に描きかえていけばいい」と山田俊亮さん。開かれた議論の場が増え、そこを通じ、プランが進化していくことを望む。
 彼らは現在、数十年後に町の主役となる地元中学生とも話し合いの場を設けるなど、将来を展望している。

『世界を知る力 日本創生編』 寺島実郎 著

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