2014/03/18

【津波対策】“ねばり強い防波堤”が浸水、到達状況に効果あり

津波シミュレーションの動画を紹介する青野利夫「津波に耐える技術」WGリーダー
日本建設業連合会海洋開発委員会(委員長・毛利茂樹東洋建設社長)の津波対策専門部会(前田涼一部会長)は、2011年度に設置した津波対策専門部会の最終報告をまとめた。防波堤をねばり強い構造に改良し、1mかさ上げすれば、最大で15分程度、津波の到達を遅らせ、浸水深さも最大2.7m程度下げられるとのシミュレーション結果を提示した。これらを含め、津波避難施設整備や避難訓練、周知などを結びつけた総合的な津波対策の重要性を訴えた。
 津波対策専門部会では、「津波を知る技術」「津波に耐える技術」「津波から逃れる技術」の3ワーキンググループ(WG)を設置し、11年度から検討を進めてきた。
 津波に耐える技術WGでは、ケーソンの中詰め材増量、港内側のマウンド拡張、根固めブロック増強、マウンドかさ上げなどによる防波堤の「ねばり強い構造」をこれまでに提案してきた。
 最終年度の13年度は、実在の漁港をモデルに、防波堤をねばり強い構造にし、水門を設置して最大クラスの津波が来襲した場合の浸水状況などをシミュレーションした。この結果、ねばり強い構造への改良によって、最大で7分程度、陸上への津波到達を遅らせられることが分かった。浸水も、ねばり強さを発揮しない構造の防波堤と比べ、最大で2m程度、深さを下げることができた。ねばり強い構造への改良に加え、1mのかさ上げをすると、陸上への津波到達を最大で15分程度遅らせ、浸水深さを2.7m下げられるという。浸水については、浸水を完全に防げた地点もあった。この結果、構造物がねばり強さを発揮することで、津波到達を遅らせ、浸水深さや遡上高を下げられるほか、かさ上げによる効果が大きいとした。ただ、完全に防ぐことは難しく、「内陸部での2次、3次の複合的対策が重要」とした。
 津波を知る技術WGでは、高知県での津波対策などを視察。津波から逃れる技術WGでも、静岡県の津波避難タワーなどを踏査した。
 これらを踏まえ、住民が津波の特性を理解し、地域に応じた被害を想定して、津波に備えることを住民が意識する重要性を指摘。津波避難施設やねばり強い構造物の整備による効果を生かし、住民が参加する避難訓練を行うことで津波による影響を軽減するよう強調した。さらに、視察や踏査などで「津波が来たらもうダメだ」と避難をあきらめる声もあったことから、津波の特徴や対策など周知活動の徹底も求めた。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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