2014/03/20

【隈研吾】海を臨む終の棲家 現代の数寄屋づくり

外壁には縦格子状に木材を配置して海辺の別荘となるようにデザイン
全国に高齢者福祉施設を展開する湖山医療福祉グループの介護付老人ホームで、建築家の隈研吾氏が設計を担当した「葉山の丘」増築棟が神奈川県葉山町に完成した。
 16日に開かれた竣工式で湖山医療福祉グループの湖山泰成代表は「人生の最後を過ごしていく場所をつくるため、隈先生にどんなデザインでも構わないと依頼した。結果として隈先生らしい、質素で謙虚ながら中に入った人の気持ちが充実する素晴らしい建築になったと思う」と完成の喜びを語った。

 鎌倉の栄光学園を卒業し、葉山町に対する思い入れも強いという隈氏は「ここが海も富士山も見える素晴らしい場所であることを以前から知っていたからこそ、ここの地域特性を生かすために木を使おうと考えた。材料は木や鉄といったシンプルなものだが、そのディテールは現代の数寄屋づくりといってもいい。日本が少子高齢化社会を迎える中で、ソフトとハードの両面で1つの方向性を示すことができたと思う」と振り返った。

「葉山の丘」内部
『葉山の丘』の設計にあたってはカラマツやスギといった木材を数多く使用し、特徴的な外壁には縦格子状に木材を配置して「海辺の別荘となるようにデザインした」という。また海辺の立地を最大限に生かすために海側の柱を細くして開口部を拡げ、海への広い眺望を確保した。隈氏は「本格的な老人ホームの設計は今回が初めてだったが、老人の立場で本当に気持ちの良い空間をつくろうと意識した」と語った。
施設概要
▽名称=葉山の丘
▽設計=隈研吾建築都市設計事務所
▽構造=牧野構造計画
▽設備=環境エンジニアリング
▽施工=大和ハウス工業
▽木施工=岡崎木材工業
▽構造・階数=S造2階建て
▽建築面積=821.80㎡
▽延床面積=1374.32㎡
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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