2014/03/07

【竹中工務店】質感も色合いも…建築仮想空間データで疑似体験可能

統合コンテンツ「ブルーノ」は仕上げの細かな質感まで確認できる
竹中工務店は、建築主との合意形成手段として、素材の質感や色合いまで緻密に表現した建築仮想空間データの提供を始める。3次元モデルに仕上げ材質や照明計画などの関連情報を統合した独自コンテンツを使い、計画中の建築空間を疑似体験してもらうことで、建築主の要望を的確に設計に反映することが狙い。試行した結果、建築主との有効なコミュニケーションツールになり得ることから、本格導入に踏み切る。2014年に10件程度の採用を見込む。
 提供するコンテンツ「VRuno(ブルーノ)」は、3次元設計データを基盤に、仕上げ材などの関連した属性情報を独自に集約した統合モデル。パソコンやタブレット型多機能携帯端末などを介して、空間を疑似体験できるため、建築主にとっては気になる部分をさまざまな角度から検証が可能だ。
 市販のVR(バーチャルリアリティ)ソフトでは表現できない仕上げ材の細かな質感まで再現できる。鵜沼誠志東京本店設計部プレゼンテーショングループ長は「ガラスの反射や光の映り込みも表現できており、試行導入の際には建築主からまるで写真を見ているようだとの感想も得ている」と説明する。
 既にオフィスビルのプロジェクトに加え、スタジアムや個人邸宅など10件で試行的に導入済み。空間の疑似体験によって、建築主からの要望は数多く挙がり、従来にも増して濃密な合意形成が実現した。同社は実施設計時のコミュニケーションツールとして有償で導入を呼び掛け、14年には5-10件の採用を見込む。
 制作費用と納期は建物規模や空間の構成によって異なるが、延べ300㎡の空間規模では2-3週間で納品できるという。BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の導入が進む中で、建築主からは詳細な空間イメージの提供を求められるケースも増えている。同社は合意形成の手段だけでなく、テナント誘致や分譲マンションの販売促進にも活用できると考えている。
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