2012/09/29

連載・GSAのBIMマネジメント(3) ノウハウ蓄積しウェブで共有

関係者用Wiki
BIMは日進月歩の技術であり、日々、新たなノウハウが生まれる。BIMを導入するにはアプリケーションを購入するだけでなく、データの入力ルールや部品データといったものから、担当者の作業分担、発注仕様、ガイドラインというものまで、大なり小なりさまざまなノウハウや取り決めが必要となる。これらを1から作りあげるのは時間と労力を要するため、皆でシェアできれば効率がよいし、BIM導入のハードルも下がるであろう。

 公的機関が作成したものとしては、NIBS(米国建築科学学会)からナショナルBIMスタンダードが出されている。また、AIA(米国建築家協会)は契約書のテンプレートを公表している。その他にも、CSI(米国建設仕様書協会)はデータ分類のためのコード体系を、GSA(米国連邦調達庁)はBIMガイドを出している。これらはいずれもウェブから入手できる。
 プロジェクトの実行にはこうした基準類のほか、さらに、業務発注仕様書、関係者間の役割分担・作業手続き・納品データの仕様等を定める実施計画書、納品データの検収手法、評価手法といったものが必要となる。

◇関係者はWikiサイト利用

 GSA本部では、こうしたツールをひとまとめにしてイントラネットに掲載している。これまでGSAが培ったノウハウの集大成である。
 共有すべきデータには、より実践的で、スピードが要求され、個別性が強いものもあろう。GSAの第5地方局では、ミース・ファン・デル・ローエ設計のシカゴ連邦センターの4つの改修プロジェクトで、BIMデータの整合が取れるよう、プロジェクトの参加者が簡単に追記、編集できるWikiを利用した情報共有サイトを立ち上げた。この取り組みは評判がよく、2011年度の「AIA BIMアワード」を受賞している。
 ノウハウには「オープンスタンダード」として公開されるべきものもあれば、知的財産として保護されるべきものもある。長期的に多数の関係者間で共有、伝達されるべきノウハウはオープンスタンダードとして定めるのがよいであろう。いずれにせよ利用されることが重要であり、オープンスタンダードが使いにくいからといって安易に独自仕様を採用したり、知的財産の保護にこだわるあまりBIMデータの伝達を拒否するということがあれば、それは本末転倒である。情報共有のためのルールづくりも重要である。
(内閣府沖縄総合事務局開発建設部営繕課長 大槻 泰士氏)
建設通信新聞 2012年9月19日18面

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