2012/09/21

首都高都心環状線の撤去、地下化を提言! 国交省の有識者会議

国土交通省が設置した「首都高速の再生に関する有識者会議」(三宅久之座長)は19日、第6回会合を開き=写真、都市環境の改善などの観点から、老朽化した都心環状線の高架橋を撤去し、国家プロジェクトに位置付けて地下化などを含めて再生を目指すことなどを盛り込んだ提言書をまとめた。再生の際は都心部の土地利用の高度化が進んでいることや首都直下地震への対応を考慮し、用地買収が不要な大深度地下トンネルによる建設の検討なども求めた。
 提言では、現在の都心環状線などは都心部の重要な機能を担う象徴的な道路で、当面は不可欠との考えを示す一方、老朽化や景観への影響、首都直下地震への対応などの観点から撤去の必要性を指摘し、地下化などを含めた再生の検討を求めた。また、再生に当たっては外環道などの環状道路の形成に併せて順次行う必要があり、計画策定に時間を要することから、ネットワークの形成時期を待つことなく、直ちに再生計画の検討を進めるべきとした。
 これを受け、同省は、東京都や首都高速道路会社と早急に具体的な検討に着手したい考えで、来年度以降も事業化に向けて調査などを継続する方針だ。
 有識者会議は課題となる財源について、計画の具体像に応じて必要な事業費の負担を決定すべきであるとの考えを示すとともに、厳しい財政状況下であることを踏まえ、税金に極力頼らず、料金収入を中心とした対応を検討すべきとした。料金収入だけでは不足することも予想されるため、都市再生プロジェクトとの連携による民間活力の導入も提案した。具体的に周辺のプロジェクトが進んでいる築地川区間などをモデルケースに再生のあり方や費用などについて直ちに検討を進めることも求めた。
 羽田雄一郎国土交通相は提言を受け取った後、「国民の安全・安心を守り、引き続き世界都市・東京を支えていくためにも、この提言を踏まえ、再生に向けてしっかりと取り組んでいく」と応えた。
 会議終了後に開いた有識者会議の会見で、三宅座長は「財源の部分をきちんと詰めていないが、国が国家プロジェクトとして位置付けて取り組むべき。首都直下地震の発生が懸念されていることもあり、外環や中央道を早く造り、首都高への負担を減らした上で、なるべく早く再生の青写真を描き、実現してほしい」と述べた。
 副座長の石田東生筑波大大学院システム情報工学研究科教授と政治ジャーナリストの細川珠生氏は、具体的な再生の時期について、都が五輪招致を目指す2020年が目標であるとし、時間的にタイトな状況であることから、事業化に向けて早急に取り組む必要があると強調した。
建設通信新聞 2012年9月21日4面

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