2012/09/04

現場ルポ! 大林組JV「災害廃棄物処理業務亘理処理区」

力強く処理を進めている焼却炉群
宮城県災害廃棄物処理業務亘理名取ブロック(亘理処理区)の2次仮置き場は、太平洋に面した亘理町吉田字砂浜外に設置されている。業務を担うのは大林組・戸田建設・鴻池組・東洋建設・橋本店・深松組・春山建設JVだ。
 可燃物破砕設備や混合ごみ処理設備、トロンメル式ふるい機などの設備約20基が、作業効率を踏まえて整然と配置。その間を縫うように重機が行き交う広大な敷地の最奥部にチェーンストーカ炉が5基並び、力強く焼却処理を進めている様子は亘理地区復興の象徴ともなっている。
 「産廃処理の知見を取り入れながら、選別効率を上げるためのラインを組んだ」と語るのは遠藤吉宣所長(大林組)。選別においては、2段階の風力付選別機の設置や、4ライン合わせて80人を投入しての手選別の徹底など、作業効率向上のため、さまざまな工夫を取り入れている。

◇地域に寄り添う

効率的に配置された処理設備
JVが業務の推進に当たって最も配慮しているのは、「地域の方に迷惑を掛けない」こと。地元雇用に積極的に取り組み、被災者を含めて約200人を採用しているが、建設業未経験者も多い。特に手選別に当たる80人には作業中のけがや有害物質による健康被害などの懸念もある。
 それだけに「“安全"の看板だけを掲げても安全にはならない。観念的な話ではなく、具体的な対策が必要だ」と、通常の健康診断に加えて特殊健康診断や破傷風の予防注射などを実施。
 さらに、現場で動きやすいユニホームと保護具を支給し、1日の作業終了後には汚染物質の拡散防止などのため、JVがすべて回収してクリーニングを行っている。
 「われわれができる最大限の対策を施した」と、放射性物質への対応を含め、徹底した健康・安全管理を実践している。
 仙台市出身で同県内の被災地復興への思いは人一倍強い同所長。地域貢献の一環として、修復中の町営温泉保養施設を宿舎として賃借、自らもそこに寝泊まりして現場に通うなど、地域に寄り添う姿勢を貫いている。
 「現地では、いまでも苦労されている方がたくさんいる。その中でわれわれがやるべきことは、とにかく1日も早くがれきを処理することだ」。不退転の覚悟で、常時300人を超える作業員の陣頭指揮に当たっている。
建設通信新聞2012年9月4日版6面

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