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建設工事の動きDigital

建設専門紙が本気でつくった工事データベース

2011/09/30

覆面記者座談会・がれき処理 ゼネコンの人事・組織に動き

A 政府・与党が、震災復興を柱とした2011年度第3次補正予算案を12兆円規模とすることを決定したね。
B コンサルタント業界は、公共事業への依存度が高いため、第3次補正予算成立後の復興需要に期待を寄せているが、その成立・執行までは厳しい状況が続くと見ている。建機メーカーも需要がより本格的になると見込んでいる。
C 復旧・復興では、がれき処理を巡ってゼネコン各社の動きが活発化しており、注視する必要があるだろう。現段階では、各社で明暗が分かれているが、本格的な復興に向けて、人事・組織面での動きが出始めている。震災対策本部を解消し、現業対応へとシフトする企業もあれば、新たに対策本部を設けて集中対応する企業もあり、各社の戦略が現れてきている。
D ただ、第3次補正予算案の国土交通省分は1兆2000億円程度で調整が進められており、業界の期待に応えられるかどうか…。
A 確かに総額12兆円という規模を考えれば、国交省分は少なく感じるね。
D 東日本大震災復興交付金を合わせても2兆5000億円程度。国交省分の公共事業となると、住宅エコポイントや東北地方の高速道路無料開放などを差し引かなければならない。全国的な防災対策に至っては3500億円ほど。
B 12年度当初予算概算要求でも公共事業費が厳しく削られることは目に見えているので、本当にこれから厳しくなるのではないか。
D 復興需要への期待は高いが、東北の被災地以外の地域は、11年度公共事業費の5%留保分が大きく影響し、地方建設業を始め、中小企業は苦境に立たされている。現政権がそこまで目配りできているのか甚だ疑問だ。

風格ある首都東京の“顔”/東京駅丸の内駅舎保存・復原

 東日本旅客鉄道(JR東日本)が2007年5月に着工した国指定重要文化財「東京駅丸の内駅舎」の保存・復原工事が、1年後の全面開業に向け終盤に差し掛かっている。現在の工事進捗率は約70%で地下、地上とも躯体工事は完了。施工する鹿島・清水建設・鉄建JV(金丸康男所長)は、1日約700人を動員し、外壁や内装、設備工事などを進めている。12年3月には周囲のカバーが除かれ、辰野金吾が設計した当時の姿がお目見えする予定だ。
 1914年に完成した駅舎は、赤レンガを多用した荘厳なデザインで、首都東京のシンボルとして親しまれてきた。45年の戦災で屋根と内装の大半を消失したが、わずか2年で復興工事が行われ、2階建て駅舎として再建された。
 JR東日本が28日に報道公開した今回の工事では、現存する1、2階部分のレンガ躯体・外壁などを保存するとともに、南北のドーム部を始め、失われた上層階を復原し創建時の外観に戻す。
 復原部分の外壁には約40万枚の化粧レンガを使用。保存部分の色と合わせるため、原料調合や焼く温度設定の試行錯誤を繰り返した。柱や飾りは花崗岩、擬石を用いて直す。屋根には天然スレートを敷き詰め、銅板で装飾を施す。
 直径約20m、8面体のドーム内部の工事も着々と進行している。天井には当時の写真や記録文書などから、デザインや大きさを割り出したレリーフ、彫刻を散りばめ、重厚さを演出する。中には、豊臣秀吉の兜や干支など日本的なモチーフの装飾も見られ、これは辰野本人の意思によるものだという。地震対策にも万全を期している。新設した地下エリアと駅舎の間には、352台もの免震ゴムを設置。さらに158台のオイルダンパーと連動させることで、構造体の揺れを制御し、隣接する高架橋への接触を防ぐ。
 工事完了後の施設規模は、鉄骨レンガ・RC・S・SRC造地下2階地上3階一部4階建て延べ約4万3000㎡となる。駅施設のほか、ハイグレードなホテルや機能拡充したギャラリーなどで構成。これまで使われていなかった中央部の屋根裏空間は、ガラス張りのホテルラウンジに生まれ変わる。総工費は500億円程度。駅施設は12年6月に一部供用し、同10月にグランドオープンを迎える。

JIA神奈川らが歴史的建造物の保存・再生を林横浜市長に要望

 日本建築家協会(JIA)関東甲信越支部(上浪寛支部長)と同保存問題委員会(左知子委員長)、同神奈川地域会(青木恵美子代表)は22日、林文子横浜市長に「横浜市における歴史的建造物に関する要望書」を提出した。要望では市内で歴史的建造物の解体が相次ぐ中、保存活用・再生に向けて新たなビジョンの構築や具体的な実施計画の策定を求めた。
 同市内では、「市認定歴史的建造物」であった横浜松坂屋本館や日本ビクター第一工場などが所有者や事業者などから認定解除申請が出され、貴重な歴史的資産が解体されるケースが相次いでいる。
 要望書では、横浜らしい都市空間の喪失を危惧(きぐ)。ことし8月に解体された戦前期のオフィスビル『本町ビル』の解体を機に、市に対して、「歴史的建造物の保存・再生を巨視的な観点から推進する、都市計画・文化財・観光振興などを横断する総合的なビジョンおよびその具体的な実施計画の策定」を求めた。
 あわせて市民に対しても、施策の実現への理解と支援、建築そのものを文化的・歴史的・景観的な価値で評価するように要望し、関東甲信越支部なども施策実現のために協力するとしている。

2011/09/29

シンガポールの歴史的建築物改修保全を佐藤工業が受注

 佐藤工業はシンガポール芸術評議会から「ビクトリアシアターおよびコンサートホール改修保全工事」を約71億円で受注した。約100年前に建設されたコロニアル調の歴史的建築物を改修保全する。延べ床面積は1万2182㎡、建物用途はコンサートホールと劇場。同国は文化遺産に指定しており、周辺に散在する他の歴史的建築物と合わせて、定番観光ルートになっている。
 工事内容は地下2階の増築(主に電気設備機械室)が1688㎡、既存劇場とコンサートホールの建物内部構造・意匠・設備部材を解体後に新規施工、既存劇場とコンサートホールの外壁と時計台の保全工事。工期は10月中旬から24カ月を予定している。

UIAゴールドメダル受賞のアルヴァロ・シザ氏を表彰

 UIA(国際建築家連合)は27日、東京大会が開かれている東京都千代田区の東京国際フォーラムで、UIAゴールドメダルを受賞したアルヴァロ・シザ氏(ポルトガル)を始め、各賞の受賞者を表彰した。
 シザ氏は、型にはまらず流行に左右されない建築を手がけながら、若い建築家の見本となり、建築家の職責に対するたゆまぬ挑戦を続けていることが評価された。
 表彰式でシザ氏は「重要なことは、一貫性のある柔軟性を持つこと。時代にとらわれない多様性を持つ建築を求めてきた。プライドと謙虚な気持ちを持って、これからも設計に取り組みたい」と喜びを述べた。また、日本に対して「震災の悲劇を乗り越えようとしている。その能力と結束力を信じている」とエールを送った。その後、設計を手がけるアルハンブラ宮殿の新プロジェクトを紹介した。
 このほか、応用技術の功績に対して贈られるオーギュスト・ペレ賞には、坂茂氏が選ばれた。

インタビュー・日本青年会議所建設部会長に就任する金田健治氏

 6月の総会を経て、2012年1月1日に第46代部会長に就任することが決まった。公共投資が減少し、依然として厳しい状況が続く中でも、「建設業の魅力を見いだすことを考えたい」との熱い思いを持つ。
 東日本大震災の被災地で3日間の視察、ボランティアを経験して、気付いたことがある。「被災した住宅を安易に壊すのではなく、補強や修復を通じて使い続けられるのではないか。われわれのサポート業務として復旧、復興に貢献できると感じた」と言うように、ストック活用への支援が日本青年会議所の新たな役割になり得ることを強調する。
 同時に、会員企業が目に見えて衰退している状況を打開するため、アンケートも実施する考えだ。「現状の問題を正確に把握することが何よりも重要。地域のためにできる支援を考えていきたい。業界団体ではない中立性の立場を生かして、国土交通省との連携も模索したい」と語る。
 部会の強みは全国に約1900人のメンバーを通じて、生きた情報が飛び交うこと。「大震災の復興とともに、メンバーとも連携して建設業の復興にも努め、メンバーの拡大にもつなげていきたい」とも。

2011/09/28

最新技術を取り入れた文化拠点めざす読売新聞が大手町で新社屋着工

完成予想(読売新聞東京本社提供)
 東京・大手町で読売新聞東京本社進めている新社屋の新築工事が清水建設の施工で始まった。設計・監理は日建設計、ちなみに旧社屋の解体工事も清水建設が担当した。
 読売新聞によると最新技術を取り入れた文化・情報拠点となるオフィスビルとする計画で、2013年秋の完成を目指す。
 規模は地下3階地上33階建て延べ約8万9,400㎡。高さは200m。2つのホール、展示スペースなどを設ける。屋上には太陽光やガス発電装置を設置するほか、庭園を設けるなど環境に配慮する。制震構造を採り入れることで、地震発生時にもニュースを配信しつづけられるようにする。
 建設地は旧社屋が立地していた千代田区大手町1ー7-1の敷地6,138㎡だ。

工事関係者の宿泊を安価で積極受入れ/宮城・松島の「ホテル壮観」

露天風呂
 宮城県松島町にある「ホテル壮観」が、東日本大震災からの復旧・復興に向け、関連工事関係者の宿泊を積極的に受け入れている。8月までの利用者数は約7万人に上る。1泊2食付で7,350円という低料金で露天風呂も使える。
 津波により東北地方沿岸地域は壊滅的な被害を受けたが、松島町では比較的被害が少なく、宿泊施設がない被災地に向かう工事関係者の滞留拠点となっている。
 同ホテルも3月中旬の通電後、大浴場を一般開放したほか、ライフラインの復旧工事や仮設住宅建設の従事者の宿泊施設として全館を提供。さらに、これから民間の復旧工事や復興関連工事が本格化していく中、「地域の復興・復旧なくして東北の復興なし」との使命感を持って、引き続き被災地支援に訪れる工事関係者らが寛げる宿泊施設として運営していく。1泊朝食のみは6,825円。問い合わせは同ホテルへ(電話022-354-2181)。

堺のジョルノビル建替え/堺東駅前で再々開発

現在のジョルノビル
 堺市の南海高野線堺東駅前にあるジョルノビルの建て替え構想が浮上している。同ビルは同市初の市街地再開発事業により建設された。現在、地権者が建て替える方針で検討している模様で、今後、権利者との合意形成などを進めていく見込みだ。地元の堺市でも対象地を含む都心部まちづくり計画の策定作業を進めており、年度内にまちづくり計画素案を作成する予定だ。
 ジョルノビル(堺市堺区三国ヶ丘御幸通152)は、1981年に堺東駅前地区市街地再開発組合が建設した。規模はSRC造地下4階地上8階建て延べ3万8618㎡。現在は銀行や専門店街、ハローワークなどが入居している。敷地面積は4139㎡で、建築面積は3380㎡。堺東駅とは歩行者デッキで接続しているほか、バスやタクシーが停留する交通広場にも面している。西側は堺市庁舎に隣接する。
 同ビルは完成から30年を経て老朽化が進んでいることに加え、テナントの移転や撤退も相次いでおり、商業機能の拡充などが課題になっている。また、耐震性能を不安視する声もある。このため地権者の中では、これまでに設備改修や建て替えなど複数の選択肢を挙げ更新に関する検討を進めていた。
 市でも都心部のまちづくり計画の検討に入っていることもあり、建て替えには関心を示している。開発を地域の活性化につなげたい意向もあり、そのためにもまちづくりの方針を早急に固めたい考えだ。10月には住民などを交えたワークショップを開き、検討に反映させる。

2011/09/27

建築家のあかりコンペ最優秀にヨンホ・シンさん

 日本建築家協会(JIA)と大光電機は26日、UIA(国際建築家連合)東京大会が開かれている東京国際フォーラムで「建築家のあかりコンペ2011」の公開プレゼンテーションと2次審査を開き、最優秀賞などを決めた。最優秀賞は、ヨンホ・シン氏(韓国)の「光の蕾Light bud」が選ばれ、副賞50万円が贈られた。
 建築家を対象とする同コンペは今回が5回目の開催で、テーマは「LEDを利用した照明器具ミライのあかり・キボウのあかり」で、7作品が入選作に選ばれていた。
 最優秀の「光の蕾」は、LED(発光ダイオード)の街灯にバルーンを取り付けた照明。審査委員は「役に立つだけでなく、被災地の希望の光となる」と評価した。
 審査委員長を務めた建築家の内藤廣氏は「復興には小さな気持ちの寄り合いが一番大事。この提案をさまざまな場所で生かしてほしい」と講評した。このほかの審査委員は、ライティングデザイナーの内原智史氏、建築家の永山祐子氏、マーク・ダイサム氏、前芝辰二大光電機社長が務めた。
 優秀賞(副賞30万円)は藤野高志氏の「発泡灯」とマリーヤ・マーティノビッチ氏(セルビア)の「motus」、DAIKO賞(同20万円)は桑田康之氏の「Illumination the light,Illumination the geometry shadow」、佳作(同10万円)は今井勝英氏の「ヒカリノカケラ」、杉田宗氏の「光の支え」、鷹野敦氏の「Light of the future,light of hope」に決まった。

陸・空の大動脈――東北新幹線と仙台空港が完全復旧

 陸・空の大動脈が完全復旧――。東日本大震災の影響で一部徐行運転が続いていた東北新幹線が23日、通常ダイヤに戻った。東京~新青森間を最短3時間10分で結び、運航本数も東京駅発着が上下6本増えて167本となるなど、震災前の水準に完全復活した。
 25日には仙台空港の国際定期便が再開。ソウル線が当面週3往復運航する。これを皮切りに来月はグアム線と台北線、来年3月には北京線も順次再開する。また10月1日には、JR仙台駅と直結する鉄軌道の仙台空港アクセス線も全線営業運転を再開する予定だ。
 東北地方の太平洋沿岸地域を中心に、甚大な被害をもたらした震災から半年余り。応急的な復旧から本格的な復旧・復興へ、また多くの被災者が震災前の「日常」を取り戻す上でも、東北と首都圏、世界とを結ぶネットワークの回復は大きな弾みになるものと期待がかかる。

士会連合会賞決まる/優秀賞に4作品

 日本建築士会連合会(藤本昌也会長)は、2011年日本建築士会連合会賞の入賞作品・入賞者を決めた。優秀賞には、中本太郎(日建設計)、矢野雅規(同)両氏設計の「明治神宮外苑研修棟」、柳澤潤氏(コンテンポラリーズ1級建築士事務所)設計の「塩尻市市民交流センター(えんぱーく)」、勝山太郎氏(日建設計)設計の「山口市秋穂地域交流センター・山口市立秋穂図書館」、門谷和雄(竹中工務店)、秦敏彦(同)両氏設計の「尾崎呉服店、尾崎邸」が選ばれた。また、奨励賞7点も選定した。
 同賞は会員作品展への応募作品の中から「特に秀でた建築作品」を選考、その設計者を表彰するもの。今回は102点(前年比44点減)の応募があり、作品審査委員会(村松映一委員長)が書類審査、現地審査(18点)、最終審査で優秀賞4点、奨励賞7点を選出した。


明治神宮外苑研修棟



山口市秋穂地域交流センター

尾崎呉服店、尾崎邸


塩尻市市民交流センター(えんぱーく)




2011/09/26

都市のグランドデザインを/UIA東京大会オープニングシンポ

 いよいよ始まったUIA(国際建築家連合)2011東京大会。東京都中央区のCOREDO室町で開かれたオープニングシンポジウム「都市創造・再生日本のグランドデザイン」では、基調講演、パネルディスカッションを通じて、被災地復興や日本再生に、建築家のように行政と地域とを「つなぐ」役割を持つ人材が必要であることが示された。
 東日本大震災復興構想会議議長代理を務める御厨貴東大先端科学技術研究センター教授は、基調講演で震災復興について「キーワードは〝つなぐ〟。国と行政をつなぐ人材が必要となる。そこで、建築家はすぐれたアイデアを持っている」と、建築家の役割に期待を寄せた。
 建築家の内藤廣氏、都市計画家の西郷真理子氏、商い創造研究所代表の松本大地氏が参加したパネルディスカッションで、内藤氏は「建築、都市、土木の融合が求められている。いかに縦割り行政を超えて被災地の役に立てるのかが課題となる」と指摘した。
 「住民が主役となるまちづくりには、『これならできる』と思えるような制度設計が必要」「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)を充実させなければならない。いかに都市部に人が暮らせる空間をつくるかがポイント」などの意見が出た。

「四谷をタスマニアに。」/新菱冷熱工業が本社を環境・省エネ改修

 新菱冷熱工業は、「東京・四谷をタスマニアに。」をキャッチフレーズに技術力とノウハウを結集し、本社ビルを環境・省エネフロントランナービルに再生した。9月末の竣工時にエネルギー削減率32%、CO2削減率28%、最終目標をそれぞれ40%、37%に置き、世界で一番空気がきれいと言われるオーストラリアのタスマニア島の環境をめざす。すでにCASBEE(改修)のSランクの認証を取得している。
 同社の本社ビルは建設後40年を経過し、新館も25年を経過している。「ストックを活用することは、環境に携わる会社の使命」との方針で、2年ほど前から改修を計画、ことし1月に着工し、9月末に竣工する。「竣工時のエネルギー削減率は32%、CO2削減率は28%だが、サーバーの統合・更新などにより4年後までには最終目標のエネルギー削減率40%、CO2削減率37%を達成できる」という。
 ハード面では、長年培ってきた地域冷暖房技術を生かし、高効率空冷ヒートポンプ、氷蓄熱システムとガスコージェネレーションシステム、さらにソーラークーリングシステム、フリークーリングシステムなど、電気、ガス、再生可能エネルギーのエネルギー源を最も効率の良いところで運転させる「ハイブリッド熱源システム」としたことが最大の特徴だ。
 また、ソフト面では、人感センサーやそれぞれのコントローラー情報を共有して、スパンごとに空調の吹き出し風量と照明を制御する。さらに、各自のパソコンから暑い・寒いの申請や時間外・休日の細かな空調申請をすることで、ムダな運転時間と空調エリアを排除し、省エネを図る。
 リニューアルされた本社ビルは、 環境・省エネに関するあらゆる技術とノウハウのショールームとも言える。同社では、 営業、設計、施工のすべてが参画した省エネルギー(タスマニア) 推進部を設け、 既存オフィスビルのリニューアルに技術提案していく。

「関内外OPEN3!」11月3-5日開催

 横浜に拠点を設けている113のアーティスト、建築家、デザイナーが一堂に仕事場を期間限定で公開する「関内外OPEN3!」が11月3-5日に開かれる。ことしは関内・関外の5エリアに横浜駅東口エリアを加えた6つのエリアに広がった。すでにエリアごとのイベントは始まっており、今月16、17日には「馬車道OPEN!」が開かれた。10月にも3つのエリアでエリアオープンを実施していく。
 馬車道OPEN!は、馬車道周辺から日本大通りのエリアを対象とした。16日には17組のクリエーターが集まった創造活動拠点「宇徳ビルヨンカイ」でオープニングパーティーを開いた。あいさつに立った小松崎隆横浜市副市長は、クリエーティブ産業の集積を喜び、「横浜をPPPの分野で日本一と評価しているシンクタンクがある。こうしたスキームを使ってクリエーティブ産業を盛り上げたい。面白い提案をどんどんしてほしい」と呼び掛けた。
 同イベントは、アーティスト、クリエーターが一堂に仕事場を街に開き、自らの活動の発表や交流するとともに、クリエーティブが街の一部であることを強く意識したアーティストたちのプラットフォームを目指している。ことしは参加者が前年から倍増。「関内外OPEN3!」の前に、6つの地域でエリアオープンを開き、アーティストらが地元の人と交流する場を設けた。主催は各スタジオの共同で、「関内外OPEN!連絡協議会」がとりまとめ、アーツコミッション・ヨコハマが事務局を担当している。
 エリアプログラムは、みなと、馬車道・関内、石川町の3エリアが終了。今後、10月22日-23日に「下町OPEN!」(長者町、初黄・日ノ出、若葉町、横浜橋)、同月29日に「横浜道OPEN!(戸部、花咲、野毛、吉田町)、10月31日-11月2日に「うらよこOPEN!」(横浜駅東口~高島周辺)を開く。

2011/09/22

けんちくのチカラ!演ずるプロが語る/俳優・エッセイストの黒田福美さん

 大阪のクラシック専用ホール「ザ・シンフォニーホール」の構想から完成まで、建築主、設計者、施工関係者らの人間模様を描いた著書『残響2秒』をご存知だろうか。同ホールは、朝日放送の創立30周年記念事業として1982年に竣工した。竣工から1年後に出版されたこの本の著者は、当時朝日放送プロデューサーで、建設委員会事務局員だった故三上泰生さん(1934-94年)。87年ごろ、三上さんプロデュースの番組に出演していた女優・黒田福美さんは、三上さんから何気なく渡されたこの本を読んで、深く感動した。「完成後のテストコンサートで、楽曲の主題が高らかに演奏された時、三上さんは不意に涙が出てきて、こみ上げる涙が次から次へと溢れ出たと言うのです。それが胸に響きました」。苦労を重ねて最高の音響を獲得した喜びの涙。黒田さんは当時、日韓交流活動を続ける中で日本人の韓国に対する無理解に悩み、孤独感に苛(さいな)まれていた。そんな時に読んだこの本は、勇気をもらえる応援歌だった。
 何気なくプレゼントされたその本に元気をもらい、約30年にわたる日韓文化交流を今まで続ける原動力になった。「いまでも天国から三上さんが応援してくれているような気がします。不思議な因縁を感じています」と黒田さん。
 ザ・シンフォニーホールは87年ごろ、毎週1回の大阪でのテレビ番組で、東京から新幹線で朝日放送に着くたびに外観をいつも見ていた。でもいまだに中に入ったことがない。
 「実際に自分が演じたり、聞いたりしたホールではないのに、ご紹介することがいいのかどうか迷ったのですが、感動と不思議な縁をどうしても伝えたいと思い、お話しさせていただくことにしました」
 『残響2秒-ザ・シンフォニーホールの誕生』。改めて読み返したというその本を語る声と目から、受けた感動が生き生きと伝わってきた。

1号機は鉄骨建方終了、福島第一原発で建屋カバーの設置進む

建方の終了した1号機(東電提供)
 東京電力福島第一原子力発電所で、放射性物質の飛散を抑制する原子炉建屋カバーの設置工事が着々と進行している。1号機は9日に鉄骨建方を終え、周囲へのパネル取付作業を実施中だ。10日には3号機で建屋上部のがれき撤去が始まり、間もなく4号機でも開始する予定という。
 水素爆発などで破損した1、3、4号機の建屋カバーはそれぞれ清水建設、鹿島、竹中工務店などが施工している。平面約47m×約42m、高さ約54mの鉄骨架構に特殊なパネルを取り付け、建屋全体を覆う。また、飛散防止の本格措置として、コンクリートなどで屋根・外壁を囲む「コンテナ」の設置に向けた検討も進められている。
 原子力災害対策本部が発表した事故収束工程の進捗状況によると、高濃度の滞留水量は、豪雨や処理施設の長期停止にも耐えられるレベルまで減少した。すでに100度以下で安定している1号機を始め2、3号機も冷温停止状態に向かっている。高レベル汚染水の本格水処理施設の検討も進んでいる。
 1-4号機の護岸前面に設置する遮水壁は、8月末に基本設計を完了した。現在は鋼管矢板を全長約800mにわたり、地下22-23mまで打ち込む工事の詳細検討を重ねている。
 収束工程の対策項目には新たに、格納容器ガス管理システムの設置を追加。冷温停止後、格納容器への窒素充填量と同程度のガス量を抽出・管理し、容器内圧力を大気圧程度に保つ装置を1-3号機に設ける。抽出したガスはフィルタを通し、モニタリングした上で放出する。

廃校した4000校舎、2割が利用予定なし/文科省がHPで廃校舎の活用支援

廃校は増え続けている(写真と本文は関係ありません)
 文部科学省の調査によると、2010年度に新たに廃校となった公立学校は全国で504校に上ることがわかった。これは被災地の岩手、宮城、福島の3県を除いた数字で、02-10年度の累計では4197校に上り、うち23・7%に当たる891校の廃校施設で利用予定がないという。校舎という財産をコンバージョンして生き返らせる方法が、いま求められている。
 10年度に廃校になったのは、小学校322校、中学校109校、高校68校、特別支援学校5校の計504校。これは1992年度の調査開始以来3番目に多い。少子化による児童生徒数の減少や市町村合併の影響で92年度以降、廃校数は延べ6304校になった。
 02-10年度の9年間で廃校となった4179校のうち建物があるのは3754校。建物がある廃校のうち約7割の2620校は福祉施設や企業の工場、オフィス、保育所などに活用されている。
 一方で1134校が活用されておらず、うち891校は、地域から活用要望がない、建物自体が老朽化している、活用法が分からないなどを理由に、活用予定がない。
 こうした活用予定のない廃校、休校施設の活用を文科省は「みんなの廃校」プロジェクトにより支援している。ホームページ(HP)上では、廃校などの情報を自治体が掲載希望したものに限り公表、現在111校の活用用途を募集している施設情報が載っている。HPでは、廃校施設情報だけでなく、133件の廃校施設活用事例リンク集、廃校施設を保育所や体験交流施設、工場などに活用する際、利用が可能な関係省庁の補助制度も紹介している。

2011/09/21

トンネル工事で排水濁度10分の1以下/ホタルに配慮、保存会と連携/戸田建設

 戸田建設は、山梨県身延町のトンネル工事で、ホタルの育成保全に向けた取り組みを展開している。この現場は、国土交通省関東地方整備局が発注した中部横断自動車道醍醐山トンネル工事。トンネル坑口付近を流れる一色川には天然のホタルが数多く生息し、総合評価方式による入札では、「ホタルの生息環境に対する配慮」という審査項目が盛り込まれた。身延町一色地区は、ホタルの自然繁殖数が関東随一といわれ、飛翔期には多くの観光客が訪れるなど、ホタルが貴重な地域資源となっている。
 トンネル工事現場からは多くの排水が出るが、戸田建設は新開発の「TSフィルターろ過装置」を初適用した濁水処理システムによって、一色川の水質よりも濁度の低い排水処理を実現した。通常の排水基準は浮遊物質量(SS)25ppmだが、一色川の濁度は約5ppm、この現場からの排水はさらに低い2ppm以下だ。現場に併設された濁水処理システムは、24時間で約1600tもの濁水を処理する。一方、トンネルから湧き出る濁度の低い清水はリユースするなど、あらゆる水の管理を徹底している。
 ホタルの育成保全に向けた取り組みは、排水処理だけではない。地元住民らで構成する身延町一色ホタル保存会(近藤義長会長)と一体となってさまざまな活動を展開している。例えば、川沿いに生えるアシやススキなどの草刈りもその一つ。一方、ホタルの飛翔期には、作業所や各世帯から漏れ出る光を遮断する膜「寒冷紗」も設置している。保存会の依田克己名誉会長は「われわれの地域やホタルに対する理解と配慮があり、非常にありがたい」と話す。
 現場付近は大型トラックなどが頻繁に通過するが、幹線道路から一本入った道では時速30㎞、集落付近では20㎞まで速度を落とすよう徹底している。各世帯への振動対策であり、ホタルへの配慮でもある。
 こうしたさまざまな取り組みを踏まえ保存会は昨年10月、同社に感謝状を贈ることを全会一致で決めた。一方、社内でもこの活動は高い評価を受け、ことし7月には戸田地球環境賞を受賞している。
 戸田建設の松田正仁作業所長は「地元の皆さんの理解があるからこそ、われわれは仕事ができる。すべての作業員に対して、こうした意識を持ち、濁水管理なども含めて地域に配慮するよう周知徹底している」と話している。

日本初・有機ELをインテリア照明に採用した店舗が銀座に登場

 外食チェーンを展開するのダイナック(本社・東京都新宿区、若杉和正社長)が、東京・銀座7丁目で運営するダイニングバー「水響亭」に、カネカが製造・販売する有機EL(エレクトロルミネッセンス)が、実際の店舗のインテリア照明として、わが国で初めて採用され、20日から実営業で使用開始した。カネカではこれを機に、商業施設や高級住宅向けに、有機ELの積極的な採用を働き掛けていく。
 採用されたのはバーカウンター部分=写真=で、ラインナップされた白、赤、橙(だいだい)、青、緑のうちの青。同店のコンセプトが「人の心に響き合う」ということから「青にすることで、顧客に対してこのコンセプトを、新たに演出できる」(若杉社長)と判断した。
 採用された有機ELは40枚。設計・施工は乃村工藝社、照明設計は岡安泉照明設計事務所が担当した。
 カネカでは3月22日から、この有機ELの商業販売を始めた。

鹿島ディアーズ、ブルザイズ東京に快勝

 鹿島ディアーズは19日、東京都調布市のアミノバイタルフィールドでブルザイズ東京と戦い、63対3で快勝した。第2Qに70ヤードを駆け抜けて、リターンタッチダウンを決めたワイドレシーバー永川勝也選手などオフェンスの猛攻に加えて、ディフェンス陣も好プレーが続出、開幕2連勝を飾った。次回は10月1日に川崎球場(川崎市)で明治安田パイレーツと戦う。
 森清之ヘッドコーチは「先はまだまだ長い。シーズン中でもトレーニングを疎かにせず、コンディションづくりを万全に」と気を引き締めていた。

2011/09/20

XMLデータで、発注者の最低制限価格が丸見えに/愛媛、愛知県などの電子調達システム

  愛媛県と愛知県などの入札指名通知書に最低制限価格が記載されていたという、考えられないミスが連続して明らかになった。これは、愛媛県の工事入札と物品入札、愛知県と県内市町村(名古屋市、安城市は除く)、名古屋高速道路公社など関係団体の工事入札で発生した。
 愛媛県の入札システムは2007年から、愛知県などのシステムは2006年から運用していた。愛媛県のシステムはNECが、愛知県などが共同利用している「あいち電子調達共同システム」の工事調達部分は富士通がそれぞれ開発した。
 あいち電子調達共同システムを通じて送信される指名通知書等のファイルを、入札参加者がパソコン等に一旦保存して、改めて通知書画面を開くと、通知書とともに最低制限価格や調査基準価格が閲覧できてしまう。
 最低制限価格は、発注者が決める非公表の数値で、言い換えればその価格で入札すれば簡単に落札できる。
 このミスは、通知書に対してパソコン上に保存したブックマークなどからアクセスすると、サーバがページを生成するときに、誤って内部だけで使うはずのXMLデータを吐き出してしまうのが原因のようだ。
 愛知の共同システムでは、これまで5万2567件(県2万3537件、市町村2万9030件)の入札が行われてきた。このうち8192件(県736件、市町村7456件)が不具合状態にあったといい、不具合案件のうち、最低制限価格と落札額が同額だったものは75件(県11件、市町村64件)にのぼっている。
 5年間にもわたって、このような重大な不具合に気付かなかったことにも驚きを隠せないが、愛知県の場合は「通常の使い方をしていれば見えなかった」(愛知県)という。12日に愛媛県でミスが明らかになり、あらためて点検し発覚した。
 ほかの県などのシステムでも発生する可能性については、カスタマイズ部分なので起こる可能性は低いと話している。
受注者の受け取る通知書例

囲われた部分が制限価格のXMLデータ

地元材使ったローコスト住宅「木層の住宅」提案/みやぎ地域復興住宅連絡会

 東日本大震災による住宅需要の高まりを受けて、地域型復興住宅の生産体制を検討している、みやぎ地域復興住宅連絡会議(委員長・栗原憲昭宮城県建築士事務所協会長)が15日、仙台市青葉区の県建築設計会館で開かれた。
 県建築士事務所協会が「木層の住宅」プラン案を示したほか、登米森林組合は木材供給者の立場から部材の共通化などを提案。今後、参加団体から住宅モデルの提案などを受け付け、早期の供給体制構築を目指す。
 同連絡会議は、被災者の生活再建と地域産業の再生、省エネルギーなどに配慮しつつ、30坪1000万円というローコストな地域型復興住宅の供給体制確立を目的に県内の建築関係12団体で設立した。
 地域型復興住宅のコンセプトや設計計画・生産体制などの検討、さまざまな気候条件のもとで一定の省エネルギー性能を確保するための計画・設計ガイドライン作成、各種効果の推計、検討成果の周知や普及促進、被災者へのPRなどを行う。
 この日の会合では、宮城県建築士事務所協会の高橋亨次副会長が、災害への強さや家の寿命を考慮し、地域資源を有効活用する『木層の家』のプランを紹介した。
 部材には、宮城県産のスギやマツ、岩手県産のカラマツなどの地元木材を加工した単板積層材(構造用LVL)を想定。一般材木に比べ高い強度が確保できるため、大断面・長尺の材料が得られ、間取りの自在性などにつながるとした。さらに石巻市雄勝産のスレートなどの地場産材も使用する考えだ。
 一般戸建て住宅(木造2階建て延べ97㎡)のほか、2棟を連結させた区分所有住宅や店舗付き住宅などへの応用も視野に入れている
 また、木材供給者の登米町森林組合は、供給側の立場から、部材の共通化によるローコスト化や安定供給体制を提案するとともに、柱だけでなく板材も屋根板や床板、腰板などに有効活用することが必要だと指摘した。

決壊のおそれある河道閉塞2カ所で緊急工事

 近畿地方整備局は、台風12号で発生した河道閉塞の緊急調査結果を踏まえ、決壊や氾らんの恐れが特に高い2カ所について、緊急対策工事に着手した。ともに排水路を設置し、土砂ダムに貯まった水を排水する。
 実施するのは、奈良県五條市大塔町の熊野川流域赤谷地区と和歌山県田辺市の日置川流域熊野(いや)地区。日本建設業連合会関西支部との災害協定に基づき、赤谷地区工事は鹿島、熊野地区工事は大林組と緊急随意契約した。
 対策工事は、ともに閉塞個所から長さ500m、幅15mの排水路を設置し、下流河川に水を放流する。排水路脇には防土堤も設置する。熊野地区には排水ポンプを設置して水を放流する。
 赤谷地区は16日、熊野地区は17日に工事用進入路工事に着手した。工期はともに数カ月を見込んでいる。
赤谷地区の工事

2011/09/16

ビルの風荷重を高精度に再現/大林組が「数値風洞 エアロダイナ」開発

CGで表現された建物と風
 大林組が、高層建築物の風荷重を細密に可視化する解析・予測システムを開発した。システムは「数値風洞 エアロダイナ」と名付けられている。新システムは、自然風の乱れまで考慮して、不規則な風の流れを高精度に予測する。膨大なポイントで風速・風圧を算出、コンピューターグラフィックスで表示する。
 通常は縮尺模型に風当てる風洞実験が一般的で、建物の壁面など数百点の風圧をセンサーで測定する。しかし、建物周辺の風まで把握するには膨大な観測点が必要で、コンピューターの流体計算をしても不規則な風の流れの把握は難しかった。
 新システムは、断面形状を部分的にモデル化したシミュレーションや、屋根面や局面構造物への負圧も再現できる。
 設計の初期から最終段階まで、それぞれの段階に応じた建物モデルで解析し、信頼性の高い評価が可能だ。これまでに3物件に適用済みで、居住性能の説明などに利用している。
ニュースリリース

つっこみどころ満載!?巨大構造物「ダム」がコンセプトのアルバムが21日に発売

 土木のなかでも圧倒的な存在感を持つ「ダム」。河川技術者が一度は手がけたい、と思うその巨大構造物を題材にした音楽アルバムが発売されるらしい。
 人気ピアノトリオバンド風味堂のベーシストを務める鳥口JOHNマサヤ氏による次世代型音楽プログラム“デンシケンセツ”が「ダム」をコンセプトとしたデビューアルバムを製作し、21日にビクターエンタテインメントから発売されるという=写真。
 彼らは「20××年、世界は空前のダムブーム&ダム乱立時代に突入!!」という設定のもとで、ラジオ番組を模して11曲を演奏する。この一報を聞いて建設専門紙的視点でも、つっこみどころ満載のような気もする。しかし、建設業界に親しんでもらえるきっかけになればOKか?
 曲目は、①souda②スカイラインfeat・マツダトモミ③重力式始めちゃいます④ワタシ ダムガールfeat・DAMガール⑤バケットカーブと怪しい二人⑥静かなるダムサイトfeat・なかまきこ⑦沈んだ思い出feat・絵夢⑧I Love 宮ヶ瀬ダムfeat・廣川由里香⑨水の無いダム⑩春のアーチfeat・重力式少女⑪ローラーゲート--だ。
 アルバムは、ビクターエンタテインメント公式サイトで試聴可能。価格は3000円(税込み)。

コンピュテイショナル・デザインと木材の融合/被災地向けのシェルターをAAST国際ワークショップで製作

 デジタルデザインと木造技術を融合した建築を目指すワークショップが、5-10日の6日間、東京都江東区の木材会館で行われた。これは「AAST国際ワークショップ」というもので、コンピューターでパラメトリックに設計した部材をレーザーカッターで切り出し、実際の建築に組み上げる。初回はイタリアで開かれ、2回目が日本で開かれた。
 ワークショップには、海外を含む10大学から建築学科の学生24人が参加。「被災地用シェルター」をテーマに、デジタルファブリケーション技術を使って短期間で材料の切り出しから組み立てまで行った。
 陣頭指揮をとった池田靖史慶大大学院教授は「コンピューターが画面の中だけでなく実際の建築につながり、世の中の役に立てるかが大きなテーマ」と、コンピューターを使った建築技術の革新に意欲をみせる。
 参加者は4チームに分かれ、デジタルデータをそのまま使って6mm厚のベニヤ板をさまざまな形に加工し、組み立てた。一定のルールを決めておけば、コンピューター上である程度の完成形を描くだけで部材ができあがる。
 砂山氏と建築家の廣瀬大祐氏が担当した作品は、釘やネジをまったく使わず、相欠きによってパネルをつなぎ合わせ、ドーム状のシェルターとなる。
 チューターの長友大輔氏は「被災地ですぐに組み立てられるように配慮し、ジョイントは結束バンドを使っている」と話す。
 池田教授は「すぐに建築にはならないが、木とコンピューターを組み合わせれば、新しい可能性が見えてくる」と、デジタルファブリケーション技術の向上に期待を込める。

2011/09/15

りんくうプレミアム・アウトレットが関西最大規模に変身/10月5日に着工

完成予想
 大阪府泉佐野市にあるアウトレットセンター「りんくうプレミアム・アウトレット」の第4期増設工事が10月5日にスタートする。今回の増設で全体の店舗面積は約3万9500㎡となり、御殿場プレミアム・アウトレット(静岡県御殿場市)に次ぐ国内第2位、関西では最大規模のアウトレットセンターとなる。事業を進めるチェルシージャパン(東京都千代田区)では、関西国際空港の対岸に位置する立地を生かし海外からの観光客も視野に入れた展開を目指すとしている。2012年7月のオープンを目指す。
 
 施工者は鹿島で、規模はS造2階建て延べ1万2000㎡。店舗面積は約9500㎡。約40店舗を新たに設ける予定だ。既存エリアから府道63号線(りんくう大通り)を挟んだ北西側に整備する。設計は三菱地所設計が担当している。
 建設地は同市りんくう往来南3-15ほかのりんくうタウン駅南側新産業用地約1ha。1月に大阪府が実施した提案競技により、同社が活用事業者に選ばれていた。20年間の定期借地契約を設定している。

伊東豊雄氏の東北支援プロジェクト『みんなの家』が着工/仮設住宅にやすらぎを

みんなの家の模型
 仙台市宮城野区で、伊東豊雄の東北支援プロジェクト『みんなの家』が着工した。これは、熊本県が、くまもとアートポリス(KAP)コミッショナーで建築家の伊東豊雄氏の提案を受けて実施するプロジェクト。熊本県の建設業協会建築部会や木材協会連合会、建築士会、建築士事務所協会などが資材提供などで協力して、東北の仮設住宅団地にコミュニケーションスペースをつくる。
 KAPが仙台市の協力を得て、同市宮城野区福田町1丁目南公園地内にある応急仮設住宅団地内に建設する。
 規模は木造平屋建て38㎡。リビングとキッチン、トイレなどを備え、隣接する既存の仮設集会所と渡り廊下でつなぐ。設計は、伊東氏とKAPアドバイザーを務める桂英昭熊本大准教授、末廣香織九州大准教授、曽我部昌史神奈川工大教授の4氏が意匠や構造、家具などを分担して担当した。施工は熊谷組で、10月中旬の完成を目指す。

直径40センチの柱でジャンボ機10機分が支えられる!/大成建設が世界初の300N級コンクリートを実用化

現場に設置された柱
 大成建設が、世界初で初めて圧縮強度1平方mm当たり300ニュートン(N)級のコンクリートを実用化した。東京都千代田区の複合ビルの柱に、この超高強度コンクリートでつくった柱を取り付けた。
 一般的なRC造の建物に使われるのは、だいたい18Nくらいのコンクリートが使われるが、今回のコンクリートは約16倍の強度を持っている。このコンクリートがどのくらい堅いかというと、直径40cmのほっそりとした円柱1本で、燃料や乗客を乗せたジャンボジェット機10機分にも相当する3600tの荷重を支えることができる。
 これだけ強いコンクリートを使うのは、柱をスリム化して、開放的な空間がつくれたり、構造の安全性も高めることができるからだ。
 このコンクリートは、「大成スーパーコンクリート」と呼ばれ、特殊な結合材、200度の高温養生方法、耐火対策などの技術を組み合わせて開発された。特殊結合材には体積の4割以上に産業副産物を使い、環境にも優しい。良好な流動性などの施工性、耐久性、耐火性に優れている。
 使われた建物は、大成建設、ヒューリック、安田不動産、昭栄、有楽土地の5社が出資する駿河台開発特定目的会社が建設する『御茶ノ水ソラシティ』。6月から同社の千葉PC工場で製造し、現場への取り付け工事を始めた。
 大成建設建築本部の松井達彦技術部長は「いままでに150Nまでのコンクリートを1600m3以上も施工してきた。今回、300N級を世界で初めて実物件に適用でき、これからも安全・安心、環境に配慮した技術の開発に取り組んでいきたい」と意気込みを話している。
 『御茶ノ水ソラシティ』は、設計施工が大成建設、工事監理を久米設計が担当。規模はS・SRC造地下2階地上23階建て塔屋2層延べ10万2137㎡。2013年3月の竣工を予定している。

2011/09/14

隈研吾氏が仏・リヨン市コンペ1等

 建築家の隈研吾氏は13日、フランス・リヨン市などが発注の環境プロジェクトのコンペで1等になったと発表した。隈氏にとって同国での公共建築は5つ目。プロジェクト名は「リヨン・コンフリューアンス/ヒカリ HIKARI」。リヨン市とグランドリヨン(都市共同体)が立ち上げた都市計画プロジェクトの一部となる。開発地はリヨン市南部の川の合流点コンフリューアンスに位置する。長年にわたって運輸と工業で利用されていた土地で、これを新しい都市生活の基盤として再生し、都市の中心を拡張するのが目的だ。
 開発全体のマスタープランはヘルツオーク&ド・ムーロンが担当。今回のプロジェクトの敷地(「ILOT-P」)は、商業、住宅、オフィスの複合用途となる。コンペに招待されたのは隈氏を含む4チーム。リヨン市は都市生活の新しいモデルとして、最先端のエネルギー効率化システムの実現を求めた。隈氏の提案は、光をテーマにした環境に優しい設計案。「MINAMI=住居棟」「NISHI=オフィスと住宅の複合棟」「HIGASHI=オフィス棟」の3つの独立した棟をそれぞれの用途に適した光を取り込めるように、「ボリュームをかき込むような操作によりつくり上げた」という。8-9階建てで、延べ1万2600㎡、高さ31mの規模を持つ。

デンマークに巨大タコ出現!?

 タコの滑り台、デンマークに出現――。首都・コペンハーゲン市に整備されている大規模公園内に、日本ではなじみの深いタコの滑り台が設置された。左官工事業の西谷工業(東京都中央区)と望月工業(東京都新宿区)の2社から左官職人3人が5月にコペンハーゲン市に赴き、タコの滑り台(縦6m×横10m)を現地の作業員と製作した。日本の伝統工法の「左官」が、デンマークで注目されている。
 コペンハーゲン市が公園の整備を計画する中で、設計を担当する設計事務所が、インターネットで日本の「タコの滑り台」を知り、前田環境美術(東京都渋谷区)に問い合わせ、西谷工業と望月工業が共同して製作することになったという。
 望月健史望月工業社長によると、「鉄筋をタコの形に組み、8分割してデンマークに送り、現地で配置し、溶接した。クレーンもいつ来るか分からない状況で、手作業で運んだ」そうだ。オブザーバーとして3人で行ったのだが、「職人は信頼できるのか、何度も連絡して確認したが、危ういので鏝(こて)や材料も送った」という。
 「現地の左官工が塗る約束だったが、来たのは理容師やレンガ職人らで、砂も10~15mmの砂利が混ざっていた。“ふるい”もないので、現地にあるもので作った」と話す。
 足場も1週間後に届く始末で、ハシゴを掛けて作業した。届いた足場も、日本では1800mmだが、2m以上あり、使いづらいものだった。
 日本とデンマークの職人が造り上げた「タコの滑り台」。日本では赤だが、デンマークは黒で、コペンハーゲン市民の注目を集めているという。
 日本古来の左官は、工期短縮、コスト低減から乾式工法に取って代わられ、市場も縮小している。また、賃金の低下や技能の習得に時間を要することから若年者の入職減、職人の高齢化など業界として多くの課題を抱えている。そうした中、「タコの滑り台」だけでなく、海外でも左官の技法が注目されている。

ゼネコンに導入広がるクラウドコンピューティング

 インターネット上でデータやソフトを効率的に運用する「クラウドコンピューティング」が建設業の間に広がってきた。ゼネコンは自ら使うシステムをクラウド化して効率を高めるとともに、外部に提供するサービスでもクラウド技術を使い、利用者の利便性を向上させる。クラウド市場は急速に拡大しており、建設業でも多様なソフトに対して、さらに活用が拡大する可能性が高い。
 日本電気(NEC)、東急建設、竹中土木、日本国土開発、TSUCHIYAは、建設業界を対象にした基幹業務クラウドサービスの企画で協業し、同サービスの販売活動を2010年10月から始めた。従来の個別システムに比べてコストを約3割削減できる。
 鹿島と日立製作所は、流体解析システムに日本で初めてクラウドサービスを導入した。これにより、計算速度が6倍になったほか、コストも従来に比べて4割減る見込み。今回の成果を見ながら、構造計算などにもクラウド導入を広げていきたい考えだ。
 竹中工務店は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業で、異なるメーカーの空調や照明を統合的に制御し、快適性を保ちながらエネルギー消費を最少化する技術を開発。日本IBMは経済産業省による事業の一環として、地域エネルギーマネジメントシステムを開発した。クラウド上の地域共通プラットフォームによって、行政や企業、住宅など複数地域の多様な主体が消費するエネルギーを一元的に管理する仕組み。両社はこの2つの技術を融合させて実物件に適用した。
 大林組はクラウドコンピューティング環境を活用したBIMの導入を強化する。「スマートBIMクラウド」を13年上期に構築するための提携を、NEC、ハンガリーのグラフィソフト社と結んだ。設計施工案件を対象に、スマートBIMクラウドを構築し、業務の前倒し化や生産性の効率化につなげる。同社はこのほか、建物保有者を対象にクラウドを利用したウェブ版省エネ支援サービス「らくエコ」も開発している。
 クラウドの市場規模については、IT専門調査会社IDC Japan(本社・東京都千代田区、竹内正人代表)がことし4月、国内クラウドコンピューティング向けソフトウエア市場予測を発表した。国内パブリッククラウド向けソフトウエア市場は、10-15年の年間平均成長率は19.0%で、15年に2255億円に達すると予測する。一方、国内プライベートクラウド向けソフトウエア市場は2707億円になると見ている。
国内クラウドコンピューティング向けソフトウェア市場予測(IDC Japan調査)

2011/09/13

速報・台風12号豪雨でインフラの復旧支援へ官民が全力対応

速報・台風12号豪雨でインフラの復旧支援へ官民が全力対応
 3日から4日にかけて西日本を直撃した台風12号は記録的な豪雨をもたらし、和歌山県、奈良県、三重県を中心に死者・行方不明者100人超という大きな被害が発生した。各地で道路が寸断。依然として停電や断水が続き、インフラ施設の復旧のめどが立っていないところもある中、地元建設企業や自衛隊などの緊急対応や懸命な道路啓開活動が進む。6日には奈良県十津川村出身の前田武志国土交通相を団長とする政府調査団が奈良県内の被災地を視察。同相は国としての支援体制の構築に努める考えを示した。野田佳彦首相も9日に被災県を視察し、被災自治体の首長らから説明を受けた。インフラを担うそれぞれの対応状況を速報する。

TEC-FORCEによる技術指導
近畿整備局/被災3県へTEC-FORCE派遣
 近畿地方整備局では、被災した3県からの要請を受け、被災状況の調査、復旧方針などの技術的支援・助言のため、緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE=テックフォース)の派遣を4日から開始した。
 一方、現地の現状や取り組み状況などリアルタイムの情報を収集する災害対策現地情報連絡員(リエゾン)は、8日までに延べ56人を派遣、排水ポンプ車14台、照明車33台、対策本部車2台、衛星小型画像伝送装置(KU-SAT)8台、衛星通信車5台、路面清掃車2台、散水車2台の計66台も派遣した。
 断水している奈良県十津川村には飲料水2500㌔リットルを空輸、北陸地方整備局と中国地方整備局も、照明車20台を派遣している。
 河川では、紀南河川国道事務所が、輪中堤が転倒した新宮川水系相野谷川高岡地区(三重県紀宝町)の応急復旧工事として、7日に大型土のうによる築堤を完了。引き続き二重締切による仮設堤防の築堤工事に着手した。このほか、熊野川本川でも3カ所の応急復旧工事を進めている。
 また近畿地方整備局、奈良県、和歌山県がそれぞれ協力して道路啓開と道路復旧を行う「道路復旧支援チーム」も発足している。
熊野川に出現した天然ダム

和歌山県/紀南中心に甚大被害/建協会員懸命の作業
 和歌山県では、紀南地方を中心に甚大な被害が発生。県は4日に災害対策本部を設置した。
 被害は、9日午前7時現在で、死者40人、行方不明者34人、負傷者6人。物的被害は全壊86棟、半壊42棟、一部破損80棟、床上浸水2452棟、床下浸水1630棟、その他雨水被害170カ所が確認されている。
 道路は、県と国交省が管理する路線で150カ所が越波や崩土などにより、通行止めとなり、このうち現在までに、79カ所が規制解除となった。県道、市町村道は現在調査中だが、被害が多発している。
 河川は、貴志川や真国川、穴伏川などの一級河川で25カ所が護岸決壊や側方浸食などの被害を受けた。二級河川は、65カ所が被災、このうち切目川で5カ所、総延べ450mが破堤した。
 応急・復旧に当たっては、県の各振興局建設部から、災害協定を結んでいる和歌山県建設業協会の伊都、有田、日高、串本、新宮、紀南の6支部に支援要請。各支部の会員企業が被災個所の応急・復旧作業を続けている。

落橋した折立橋
奈良県/道路・通信網が遮断/建協らに支援要請
 奈良県では記録的な豪雨により約4700世帯、約1万人に避難勧告が出され、人的被害は9日午前10時現在で死者6人、不明者19人にのぼった。
 特に南部地域では、十津川村で村営住宅2棟が熊野川の濁流に襲われて倒壊するなど、甚大な被害に見舞われた。同村では、道路・通信網が遮断され、停電も起こるなどライフラインを断たれ孤立した。
 特に国道168号と169号の寸断は復旧や救援に大きな影響を与えた。国道169号では西谷橋(川上村迫)が崩土で決壊し、五條市と十津川村をつないでいる国道168号は折立橋(十津川村折立)が落橋したほか、天辻トンネル~県境にかけて崩土などで通行止めを余儀なくされた。
 8日には土砂崩れで通行できなくなった国道168号の迂回路がいったん開通したものの、9日に通行止めとなり、現在は168号本線を自衛隊などの車両に限って通行できる状況だ。
 県は今回の被害を受け、県建設業協会と測量設計業協会に防災協定に基づく災害時の緊急対応を要請した。業務内容は国道や県道上の落石・土砂の撤去、迂回路の整備、測量など。
 同協会各支部が、五條、吉野土木事務所から応急復旧工事などの要請を受けて出動する形となる。

大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県/大阪府下は被害少
 兵庫県下では高砂市を中心に約2万4500世帯、約6万9000人に避難勧告が出され、床上浸水約1200件、床下浸水約3700件の住家被害があった。
 道路については、県管理道路の118カ所で崩土、路肩崩壊といった被害があった。8日午後3時時点では全面通行止めが9カ所、片側通行規制が9カ所となっている。
 大阪府下では、軽傷者2人、床下浸水1件などと被害は少なく、被災した道路もすべて応急復旧済みとなっている。京都府下は、人的被害が負傷者7人、住家などの被害9件。一部道路で通行止めは続いている。滋賀県は人的被害が負傷者8人、住家被害が4件、道路の損傷が32カ所となっている。

ずれが生じた紀ノ川橋梁
電鉄会社/那智川橋梁は一体的整備が必要
 西日本旅客鉄道(JR西日本)では紀勢本線紀伊天満駅~那智駅間にある那智川橋梁の構造物が流失したほか、紀伊日置駅付近の紀伊日置変電所の冠水、下里駅~紀伊浦神駅間の江川橋梁で石積みが一部流出するなどの被害が出た。同社は「調査中で全容が分かっていない」と工事着手の時期などは未定としているが、できるだけ早期に復旧計画をまとめ公表する考えだ。
 大きな被害となった那智川橋梁は長さが約40m。橋脚2基のほか、橋桁も流失し、軌道は川に落ち込んでいる状況にある。また河川護岸も損壊していることから「和歌山県とも協力し、一体的な整備が必要になる」とみている。
 一方、南海電鉄でも高野線の橋本駅~紀伊清水駅間にある紀ノ川橋梁で橋脚や線路にゆがみが生じており、対応策を検討する。対応方針は現時点で未定。
 紀ノ川橋梁では、橋脚のうち1基が東側に最大60mm、線路も最大で12mmずれが生じている被害が発生している。ずれは川の上流側で発生しており、土台部分が台風で増水した川の水流や流下した岩石などによって深く削られたために橋脚や軌道が傾いたとみている。
 土台の調査は紀ノ川の水位が下がるのを待ってから着手する。

関西電力/20万軒近くが停電復旧に全力挙げる
 関西電力でも、停電の復旧に全力を挙げている。台風による管内の総停電軒数は20万軒に迫り、和歌山県の11万2560軒(7日時点)を筆頭に、奈良県の2万8590軒、兵庫県の1万0080軒、滋賀県の8530軒、大阪府の8130軒などと続く。未復旧の地域は9日午前9時現在で、和歌山県では田辺市や那智勝浦町など1800軒、三重県では熊野市や紀宝町など2050軒、奈良県では五條市や十津川村など710軒となっている。

NTTの復旧作業
NTT西日本/約3万回線が故障/400人体制で復旧
 和歌山、奈良、兵庫の各支店管内で被害が発生。和歌山では約3万4000回線が故障し、現在は400人体制で点検・確認や復旧作業を実施している。9日時点で未回復数は9040回線となっている。奈良では影響を受けた約4570回線のうち、280回線が未回復(9日時点)となっている。
 また、同社は和歌山県や奈良県で特設公衆電話を設置するとともに、衛星携帯電話も提供している。

本物の線路や設備がある企業研修所!/日本電設工業の中央学園


中央学園の敷地内には本当の線路がある!
  日本電設工業が開設している中央学園(千葉県柏市)。「見て、触って、実際に体験する」のが基本で、今回同社の70周年を機に高架線の模擬研修施設、高所体感実習設備も建設するという。
 約3万1500㎡の敷地には管理棟、実習棟、宿泊棟、そして長さ175mの電車線路、送電鉄塔などがある。同社では「実際に現地にあるものと同じ設備で、これだけの鉄道工事関係の研修設備を持ち合わせている企業はない」と自負する。
 専属の講師陣のほか、0Bや30歳代から課長・部長クラスまで実際に最前線の現場で働く先輩・熟練社員が講義する。
 さらに今回、「第2教育棟のほか、新幹線の実習線を新たに造るなど、今までなかった設備を新たに設け、時代に合った新しい研修設備を導入する」計画だ。
 新しい実習線には、カント(内外のレールの高低差)、模擬トンネル、ホームもあり、ホームには表示設備まである。
 「中央学園」は、1968年4月に会社創立25周年事業の中央研修所として開設、創立50周年を迎えた93年に中央学園に名称を変更。学園は、同社の中心的な教育の場で、新入社員の教育、基礎から応用、そして技術・技能の修得までの役割を担う。



列車制御機器も本物だ


650人で一斉に本線切り替え/新大阪駅の東海道新幹線を最大2m移動

650人が一斉に現場で動く
 東海旅客鉄道(JR東海)は11日の夜半から早朝にかけて、東海道新幹線新大阪駅の上り本線切換工事を実施した。2007年から進めている新大阪駅改良工事の一環で、軌きょうを最大2m移動させるなど同工事の線路切り替えでは最大規模となった。3カ所の切り替え区間で合計650人を動員し、ミリ単位でのレールの高低調整や電線の張り替えを息を合わせて進めた。施工は名工建設が担当。改良工事の全体完成は13年度中を目指す。


バラストの敷き込み
 工事は駅の博多側で新たな高架橋と線路の新設工事がほぼ完了したのを受け、現在の上り本線から新しい上り本線に切り替えるもの。26番線ホームの直近付近の約150mと、引上線との分岐点付近の約90m、博多側で従来の線路と交差する地点約100mの3カ所で切り替えが実施され、全体で約1・1㌔に及ぶ区間で同時に工事が進行した。工事に伴い、上り本線は北側に約13m移動する。
 日付が変わると同時に始まった工事は、レール締結装置や道床バラストの撤去などを進めた上で午前零時20分から軌きょうの移動を開始。軌きょうの移動自体は「10分もかからない程度で済んだ」(同社)ものの、ミリ単位での高低差の調整に時間の大半を費やした。切り替えを終えたのは午前2時。
 移動後はマルチプルタイタンパー(MTT)で軌道を調整し、午前5時過ぎには電気軌道総合試験車(ドクターイエロー)で通電状況などを確認。6時23分に発車するのぞみ100号を遅らせることなく作業を終えた。

ゲーム・アニメ産業の集積を決定/大阪・りんくうタウンの活性化方針

 大阪府は、りんくうタウン(大阪府泉佐野市)を「クールジャパンフロント」として活性化を図る方針を固めた。日本独自の文化として海外からも注目を集めるゲームやアニメ、マンガなどの関連企業、テーマ施設を集積し、集客能力の向上を図る。
 府から「りんくうタウン活性化企画推進・コンサルタント業務」を受託した大広が、今月から関連企業やアニメ・マンガ作品の著作権保有者らへの打診を開始するとともに、マーケティングリサーチを実施する。10月からは、民間運営会社の立ち上げについて検討に入る。
 これらの結果を踏まえ府は、2012年度から必要なインフラ整備の検討に着手し、同年度末に「りんくうタウンの将来像とまちづくり戦略プラン(仮称)」をまとめる予定だ。
 大広の提案をもとに府が作成したまちづくりコンセプトでは、りんくうタウン北西の公園整備予定地(約8ha)を対象にゲーム・アニメ産業を集積。巨大ジオラマを設置し、全国からの恒常的な集客や海外からの旅行客取り込みを実現するブランド力の向上を図る。将来的には、アジアのクリエーティブな人材が結集するビジネスゾーン化を目指すとしている。

2011/09/12

BuildLiveKobe2011が、実務、学生チームともに終了

PLAN-Bチームの最終作品
 コンペ案の48時間耐久レース「BuildLiveKobe2011」が、実務、学生チームともに作品製作を完了した。実務チームは9月9日18:00、学生チームは11日18:00日にコンペ案を仕上げた。現在、BuildLiveKobe2011公式ブログにて、すべてのコンペ案を見ることができる。
 案は出そろったが今後審査を行い、10月7日に東京・有明のTFTホールで開かれる入場無料のシンポジウム「ArchiFuture2011」で受賞発表が行われる。
 レンダリングされたそれぞれのパースは、非常にクオリティーが高く、とても48時間、96時間で製作されてものとは思えない。
 舞台となっているのは、神戸市港島南町の敷地で、例年に比べて敷地が大規模なうえ、神戸空港にも近く高度制限などもかけられている。この土地に国際交流センターを設計した。
 現在、公式ブログにはすべての参加者の複数のパースが公開中で、さらにチーム紹介や設計時の様子なども紹介されている。
実務チームの完成作品http://blkobe2011.seesaa.net/article/225174940.html
学生チームの完成作品http://blkobe2011.seesaa.net/article/225461910.html

日本海水がゼオライトの10倍の能力持つ「セシウム吸着剤」開発

フロシアン化鉄の拡大写真
 放射性物質の汚染対策が急がれる中で、日本海水(東京都中央区)は海水や土壌の中に含まれる放射性セシウムを効率よく回収する吸着剤を開発した。原料のフロシアン化鉄を高分子化合物に付着させた粒状としたもので、海水中のセシウム除去剤として福島第一原子力発電所での活用が見込まれている。並行して土壌対策への活用についても具体的な検討を始めた。
 震災後1カ月かけて開発した吸着剤は、水の中に含まれるセシウムを効率よく回収できるように、粉末状の原料を0・7mmの粒状にした。粒の中はスポンジ状であるため、ろ過する原理で汚染水を浸透させ、粒の中にセシウムを閉じこめやすくする。福島原発で使われている吸着剤ゼオライトに比べ、約10倍の吸着能力がある点が特徴だ。
 同社は、開発後すぐに電力会社や原子炉メーカー、研究機関など約10社にサンプルを配布した。セシウムの除去効果は安全基準値の10分の1まで除去できる性能があり、複数の社から吸着剤としての高い評価を得ている。環境営業部の四元利夫部長は「土に含まれている放射性セシウムを水に移し変えることができれば、有効な土壌の除去剤としても効果が期待できる」と強調する。同社はすでに、あるゼネコンと具体的な検討に着手しているという。

カジノ、ビジネスジェットなど含め、仙台空港の民間運営を提案/日本PFI・PPP協会

 日本PFI・PPP協会(植田和男理事長)は10月末にも、東日本大震災で被災した仙台空港への民間運営(公共施設等運営権=コンセッション)導入に向けた研究会を新たに立ち上げる。研究会は、滑走路事業とターミナルビル運営の経営一体化を前提に検討を進める。カジノを含む国際観光拠点施設の誘致やビジネスジェット駐機場の整備なども視野に入れながら、空港施設へのコンセッション導入に向けた具体策を探る。
 研究会には同協会の会員企業のほか、仙台空港の関連会社や航空会社、地元経済団体、被災者団体、行政機関などの参加を見込んでいる。会合は月1回程度、仙台市で開く。2012年末ごろに提案書をまとめ、政府や関係機関に提出する方針だ。
 10月末に初会合を開き、経営一体化の業務内容や事業費などテーマ別に検討する計画で、研究成果はテーマごとに公表する。最終的には各テーマの検討内容も含めて提案書としてまとめ、12年末ごろに国や関係機関に提言する見通し。
 発着回数の増加に向けて世界からの新たな路線の誘致を進めたい考えで、格安航空会社などにもヒアリングを実施する予定。植田理事長は「競争力のある空港施設や運営条件を備えることで初めて大規模な民間投資が誘発される。仙台空港の魅力を高め、東北経済の核となる新たな産業をつくり出したい」と話している。
 研究会の設立構想は、同協会が9日に開いたIR(カジノを含む統合型リゾート)発案部会の中で明らかにした=写真。