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建設工事の動きDigital

建設専門紙が本気でつくった工事データベース

2011/07/29

仙台七夕まつり前に“お色直し”/宮城塗装組合が塗装ボランティア

まつりに向けてトイレを化粧直し
 日本一の七夕祭り、とも言われている「仙台七夕まつり」が、ことしも8月6日から8日にかけて開かれることになった。東日本大震災で開催が危ぶまれたが、もともと星に願いを託すためのまつりであることから、復興と鎮魂をテーマにして開くことになった。
 このまつりに訪れる多くの観光客や市民に気持ち良く公園のトイレを使ってもらおうと、宮城県塗装工事業協同組合(沼崎明理事長)が、仙台市内の公園内トイレをリフレッシュする恒例の塗装ボランティアを行っている。
 ボランティアは、1989年から毎年行っていて、今回は20日から市内5カ所の公園のトイレを塗り替えている。
 宮城野区にある榴ヶ岡公園では25、26の両日、2人の塗装工が作業を行い、ローラーによる塗装作業を手際よく進め、トイレの内外装をきれいに塗り直した。7月中にすべての公園で作業がおわり七夕まつりに備えている。

2011/07/28

けんちくのチカラ 演ずるプロが語る・タレントの清水ミチコさん

 伝説の小劇場として今も語り継がれる「渋谷ジァンジァン」は、東京都渋谷区の東京山手教会地下に造られた。この地下は、建築構造上生まれた柱が斜めに中心を貫き、特異な空間を造っていた。それがアンダーグラウンドの世界に受け入られて、1969年から2000年まで、数々の文化人、「才人」を輩出する発信地となった。タレントの清水ミチコさんもその一人だ。モノマネでデビューを果たし、頭角を現していった。「劇場って生きているように個性があると思います。建築された後からお客さんや出演者に育てられていくものなのでしょうね。ジァンジァンは私の原点。人格があるとしたら、プライドが高くて、売名行為に走らない。そこが大好きで、憧れの場所でした。舞台に立った時は本当にうれしかったですね」。そう話す清水さんにジァンジァンを中心にライブ空間などを聞いた。
(津川学)

鉄筋工がいなくなる!東京の鉄筋職人が1割近く減少

炎天下での鉄筋作業
(本文とは関係ありません)
 この2カ月で、東京都鉄筋業協同組合(内山聖理事長)に所属する鉄筋工の総数が400人も減少している。組合加盟の企業に所属している鉄筋工は、5月9日には40社で6466人だったが、7月11日の調査では39社で6069人となった。減少した約400人は、このほとんどこの業界を去ったという。
 その理由はなにより、職場環境の過酷さだ。建設現場での鉄筋工の仕事とは、炎天下のなかでコンクリートを流す前の鉄筋を組むことだ。人力で長さ数メートル、1.3センチ程度の太さの重い鉄筋を運び、針金で結束していく。太陽が照りつける中、日焼けを避けるために長袖の服で一日中作業する。
 しかし夏でも施工単価は変わらず、元請けといわれるゼネコンから受注する鉄筋専門工事業者は「この暑さで職人の歩掛かりが下がっている。暑さに対応した夏工期を設定してもらわないと」と悩んでいる。
 また人手不足から「地方に応援を頼んでも来てくれない。来てもらうには、受注単価に上乗せしなければならず持ち出しになる」という声も聞こえる。
 協同組合の内山理事長は、「国土交通省から重層化や保険未加入業者の排除が打ち出された。保険などの費用は別枠支給でなければできない。払うものを払わなければ職人は集まらない」「行政、ゼネコン、専門工事業に加え、今後は発注者も入って取り組まなければ、この施策はうまくいかない」と話す。
 世の中の建築物は、現場で働く人がいなくてはつくれない。

2011/07/27

第30回の明治神宮薪能に500組1000人を招待

明治神宮で開かれる薪能(Photo:三上文規)
 ハザマが奉納協賛している『明治神宮薪能(たきぎのう)』が、ことしで30回目を迎える。10月9日に明治神宮(東京都渋谷区)開かれるが、この明治神宮薪能実行委員会が500組1000人を招待する。演目は金春安明氏の「翁」、大藏彌太郎氏の「末広がり」、本田光洋氏の「石橋」。
 希望者は往復はがきに郵便番号、住所、氏名、電話番号を明記。応募先は〒105-8479 東京都港区虎ノ門2-2-5ハザマCSR推進部内「明治神宮薪能実行委員会KT(建設通信新聞)係」宛。締め切りは8月31日(消印有効)。応募多数の場合は抽選となり、結果は9月24日までに応募者全員に通知する。

安藤氏、妹島氏がそれぞれデザインした駅舎が完成

上野毛駅
 5月下旬、安藤忠雄氏と、妹島和世氏がそれぞれデザインした鉄道駅が相次いで完成した。安藤忠雄氏は、東京の東急大井町線上野毛駅、妹島和世氏は茨城のJR常磐線日立駅自由通路だ。世界的にも著名な2人の建築家のデザインによる駅舎は、きょうもにぎわいを見せている。
 東急大井町線上野毛駅は、急行通過線設置とバリアフリー化を含んだ駅舎の機能拡張計画で、安藤氏はこの駅について「上野毛通りを挟んだバス停のある駅前広場を中心にして、駅の諸施設を一体化し、全長約120mの細長い大屋根で覆うことを考えた。道路を超え駅全体を覆う大屋根には円形にぽっかりと穴が開いている。それは、駅の中心を表し、人々が集まってくる場を表している」というのがデザインのねらいだ。

日立駅
  一方妹島氏は日立市の出身だ。市内の小中学校を卒業後、高校に通うため日立駅と水戸駅を往復したという。
 妹島氏はこの駅舎について「コンペの際は“日立らしさ”を求められました。日立らしさとは何か、を考えた時、海と山を体感できることが、このまちの良さだと思いました。その両地域を結ぶ役目を担うと同時に、駅から海が見えたらいいな、ぜひ見てみたい、という昔からの願いをデザインに込めました」という。
 いずれの駅も一見の価値がある。夏休み、できたてのうちに両駅を見ておくのも一興だ。

(電子メディア局・T)




わたしのこの一冊・S字カーブのプロジェクトX

『上越新幹線物語1979-中山トンネルスピードダウンの謎-』
 新幹線のトンネル内での減速。読書やおしゃべりしていたら、まず気付くことはない。今や簡単に見ることができるようになった航空写真を見ても、トンネルの出入口はなめらかな線形で結ばれていると想像する。ところが上越新幹線の中山トンネルに路線図を重ね合わせると奇妙なS字カーブが存在し、ここで新幹線は時速240㌔から160㌔に減速する。このS字カーブにまつわるプロジェクトX。それがこの物語。
 トンネル工事を苦しめ続けたのは「水」。ただ、2度も大規模な出水事故が発生した難工事であったが、一人の犠牲者も出なかった。立坑内に閉じ込められた51名の奇跡的生還、渇水問題で深まった地域住民との信頼関係、水没したトンネル復旧のための注入工法に投入された最大90台のボーリングマシンが林立する“中山銀座”。いずれも感動、そして圧巻。著者曰く「土木技術者にとって、地図に残るものを造ることは夢」。心に残る1冊です。
(成瀬文宏=中部地質調査業協会副理事長、基礎地盤コンサルタンツ中部支社長)

2011/07/26

スカイツリー周辺の建築は高さ35m以下で/墨田区がまちづくりガイドライン

左が今回の対象街区になる
 東京都墨田区と業平1~3丁目の地権者で組織する検討会が、来年5月に開業する東京スカイツリーに近い北十間川周辺でまちづくりガイドラインを策定した。このガイドラインでは、新タワー街区と浅草通りに挟まれた川沿い約450mの建物高さを35m以下に抑えるという。
 スカイツリーの開業で、これまで住宅や事務所中心だった地域に、続々と商業施設や屋外広告が建てられることが予想される。区や地権者は、その後の観光振興や景観を守るためにルールを決めることにした。
 建物高さのほかに、周辺建物と調和した色彩の導入や、屋上設備、バルコニーの見え方にも配慮を求めている。屋上や壁面などの緑化も促す。また、建物は川に対し平行・垂直に配置することも求められそうだ。建物用途は、極力1、2階の低層部に物販・飲食店や展示場を、3階以上の中高層部には住宅の配置を進めている。
 スカイツリーの開業で、これまでまちの裏側的な扱いだった北十間川が、まちの顔になるかもしれない。

安曇野市庁舎コンペは円弧状ファサードに高評価

完成予想パース
 先日内藤廣JVが最優秀をとった長野県安曇野市の新本庁舎は、円弧状のファサードが大きく評価されていたことがわかった。これは審査委員会の講評が公開されたことで明らかになったもので、審査委員長の古谷誠章早大創造理工学部教授は、「円弧状のファサードがアルプス連峰を望む雄大な眺望に対峙し、また隣接する老人保健施設に対する圧迫感も低減している。さらに扇形の平面形が功を奏し、北側外構に生じる日陰が最も小さく、冬季の外部空間のあり方にも配慮が行き届いている。安曇野型の環境建築を追求し、省エネルギー、省コスト性、防災安全性にも優れた提案」と話す。
 JVは、内藤廣建築設計事務所、小川原設計、尾日向辰文建築設計事務所で構成している。本庁舎は4、5階建て延べ約1万8000㎡規模を想定。総事業費は79億8000万円程度。基本設計は11月30日までにまとめ、2012年度着工し、15年度の竣工を目指す。
 建設地は、同市豊科5609-3ほかにある豊科近代美術館と同市豊科南穂高2997ほかの豊科プール跡地を併用した敷地となる。

「堂島ビエンナーレ2011」開幕/隈氏、磯崎氏らも参加


隈氏の「ホワイトホール」
  アートとさまざまな分野をつなげる展示会「堂島ビエンナーレ2011 ECOSOPHIA アートと建築」が23日、大阪市福島区の堂島リバーフォーラムで開幕した。隈研吾氏や磯崎新氏ら著名建築家や新進気鋭の若手アーティストが参加している。
 隈氏は、アーティストの森万里子氏と共同で『ホワイトホール』と名付けた作品を製作した。ブラックホールに呑み込まれた星が、ホワイトホールにより再生する姿を、復興に向かう東北の姿と重ねように表現した。
 隈氏は「被災地でも、がれきをウレタンで包み込み、記憶を留めていくミュージアムを構想している」という。
 磯崎氏は1962年製作の『孵化過程』を展示、空撮された新宿区の写真を張った台の上に釘を打ち、針金で結んで空中回廊を表現している。
 会期は8月21日まで。入場料は一般1000円、高校・大学生700円、小・中学生500円。

2011/07/25

建機の盗難件数が減少/作業ヤードの一斉摘発が奏功?


値段も高い建機はねらわれやすい(写真と本文は関係ありません)

 ことしは国内の建機盗難が大幅に減っているという。昨年、警察が全国一斉に盗んだ建機や自動車を偽装改造する作業場ヤードを摘発してつぶしたことが原因と見られている。2010年度の建機盗難件数は420件で前年度比31・5%減、ピークだった01年度の1511件と比べ4分の1近くまで減少した。
 盗難建機が国内には出回らず、中国など東南アジアに偽装輸出されている。そのためには、税関で盗難建機であることを見破られないように改造を行うが、そのヤードが摘発によって大幅に減ったため、盗難件数の減少につながった。
 盗難件数のワースト地域は、埼玉、群馬、栃木、茨城の北関東が多い。この理由について日本建設機械工業会は、「人目につきにくい場所にヤードを確保しやすいからではないか」と分析している。ヤードは周囲から中が見えないように囲い、内側では産業廃棄物処理などをしているかのように装っているという。
 輸出に便利な神戸港がある兵庫県も、山側に行けばヤードに適した場所があり、関西地区で盗難建機の拠点の役割を果たしていたようだ。これを証明するように、昨年の一斉摘発後、関西で盗難件数が激減した。
 毎年、年末年始とお盆の時期は盗難が増える傾向にある。工事が休止になり、建機を現場に放置しておく期間が長く、盗まれたことに気づくまで時間が掛かるからだ。建機工は、東日本大震災のがれき処理現場でも盗難には十分注意するよう促している。
 震災地域は、レンタルや他の地域からの搬入機械が多く、所有者が分かりにくい上、作業終了後は囲いの中に保管しにくいという事情もあり、盗難の被害に遭いやすい。東北地区の盗難件数は、いまのところそれほど多くないが注意することにこしたことはない。
 建機工では、盗難が減少しているもう一つの要因として、「中国で中古の需要が落ちている」と話す。

kw+hgアーキテクツ設計の武蔵野プレイスににぎわい

 東京都武蔵野市がJR武蔵境駅前に建設した「武蔵野プレイス」が開館し、連日多くの市民でにぎわっている。設計・監理はkw+hgアーキテクツ(川原田康子代表、比嘉武彦代表)、建築施工はフジタ・白石建設・清本建設JVが担当した。
 設計を担当したkw+hgアーキテクツによると「室内は”ルーム”と呼ばれるシェル状の角のない空間が次々とつながる構成になっており、”ルーム”が大小さまざま縦横につながっていくことで個別の落ち着きを持ちながらも全体的に共鳴するような建築を目指している。建物外観は、内部の”ルーム”のつながりがそのまま外に現れてきたようなかたちになっており、曲面を繰り返し用いることでやわらかい印象をもたせ、子どもたちにもメッセージが届くように配慮しいる」という。
 また曲面を多用してはいるが、総合的な合理化で大幅なローコスト化を実現しているということだ。
 施設規模は、SRC・RC造地下3階地上4階建て延べ9809㎡。図書館をベースに、生涯学習支援・市民活動支援・青少年活動支援などの複合機能を持ち、ライブラリー、会議室、スタジオ、ギャラリー、カフェなどを備える。多様な活動を通して人が出会い交流する場(プレイス)を提供する。周辺の樹木との調和を図るため、地上部の建物高さを抑える一方、地下には3層を配し、深さ17mを超える大深度地下工事を実施している。
 所在地は東京都武蔵野市境南町2-3の農林水産省食料倉庫跡地2166㎡。一体的に整備した約2000㎡の境南ふれあい広場公園も同時に開園し、市民に憩いの場を提供している。

2011/07/22

セシウム専用処分場を早くつくるべき/日本下水道施設業協会が危機感


  日本下水道施設業協会(松木晴雄会長)が、下水道の汚泥に含まれる放射能についての公開講座を開いた。全国各地で下水汚泥に高い放射能が検出されており、東京都でも下水汚泥焼却灰に含まれる放射能は、公開されている中での最大値でセシウム137が2万9100ベクレル/キロ(葛西水再生センター)に達している。福島県では5月に汚泥から44万6000ベクレル/キロを記録した。
 これまで下水汚泥は、焼却された後セメントの原材料や肥料などとして利用されていたが、放射能を含むものについては受け入れ先が拒否するケースが広がっている。そのため下水処理施設に山積みになった焼却灰が大きな問題になっている。
 公開講座は、今回で7回目。講師の森久起原子力研究バックエンド推進センター(RANDEC)専務理事は、「国が6月に放射性物質の濃度が8000ベクレル以下の汚泥・焼却灰について、埋設処分の方針を示しているが、それ以上の濃度に関しては具体的な処分方策が決まっていない」と話す。
葛西水再生センター
 今後は、汚泥だけでなく、がれき、清掃工場焼却灰、汚染土壌も処分できるセシウム汚染廃棄物専用の埋設処分場をつくり、わが国の総力を結集して対処していく必要があるという。

高速道路は「命の道」。大震災で重要性浮き彫りに

 東日本大震災を経て、改めて道路整備の重要性が叫ばれはじめた。津波によって三陸沿岸地区の道路が使用不能になり、国土交通省らは「くしの歯作戦」と呼ばれる道路復旧方法を採用した。これは、まず内陸から海側に向かっての縦軸ラインを優先して確保し、その後海岸沿いの道路を復旧させるというもの。実際に緊急輸送路としての国道45号線は3月18日までに97%が通行可能になった。
 東北中央自動車道、日本海沿岸東北自動車道、東北横断自動車道酒田線の早期全線開通を訴える吉村美栄子山形県知事は、「東日本大震災から4カ月が経ったが、人の行き来や物資輸送の面で、道路の果たした役割は非常に大きかった。改めて、緊急輸送道路確保の重要性が認識された。未着手区間の早期事業化と東北地方の1日も早い復興に全力で取り組んでいく」と決意を語る。
 3路線の建設促進同盟会も組織され、震災で鉄道や港湾が機能しない中、いち早く復旧した道路が、「命の道」の役割を果たしたと訴える。
 地方の高速道路は、いまだにミッシングリンクが多数存在しており、災害時に代替機能を発揮する高速道路ネットワークの形成が求められている。

覆面記者座談会 7月22日


■電気使用制限令違反は営業停止?

A やっぱりことしは暑いね。7月から電力使用制限が始まったけど、これは電気事業法に基づくものだ。ということは、違反すればもしかして建設業法上の他法令違反になるの?。
B まず、電気使用制限令に違反しても、故意でなければ罰せられないとの考え方を経済産業省が出している。建設業法の対象になるとすれば、他法令違反だけではない。電気使用制限違反で建設業法第28条(指示および営業の停止)の対象になるとすれば、同法1項の「建設工事を適切に施工しなかったため公衆に危害を及ぼしたとき、または危害を及ぼすおそれが大であるとき」か、同法3項の「ほかの法令に違反し、建設業者として不適当であると認められたとき(他法令違反)」の2つが考えられる。
A じゃあ、やっぱり電気使用制限違反で営業停止になるんだ。
B それは違反した事業所が「建設現場」であることが第一だ。建設業法は、建設工事を適切に施工するための法律だから、第28条も現場が電気使用制限令に違反すれば対象になる。でも、すぐに営業停止ではなくて、「指示」もできる仕組みだ。指示があって、勧告があって、営業停止という順番だ。
C 最も大切なのは、これはあくまでも法律上の話ということだ。公衆に危害を及ぼした場合でも、現場ではなかったから営業停止にならなかった事例はあるし、他法令に違反しても指示もされなかった事例はある。その都度、違反の度合いを見て対象にするかを判断しているのだろう。要は、法令は法令であって、運用の際には一定の情状は酌量されるし、状況を見て判断される。
A ということは、故意でもなく、ほんの一瞬だけ使用制限に違反したからといってすぐに営業停止というわけではない。
B そのとおり。今夏の場合は特に、よほど故意に使用制限を破って公衆に多大な危害を加え社会的に大問題になれば、営業停止の可能性もあるかも、という感じではないかな。

2011/07/21

11月27日に全国で建築事務所が大量閉鎖!?管理建築講習の未了者続出

全国で行われている講習会
 「11月27日に建築事務所が大量閉鎖!?」。全国の地方自治体が、建築士事務所に懸命な呼びかけを展開している。都道府県に登録する建築士事務所は、士法改正で管理建築士の講習を受けなければ登録取り消し処分を受けることになる。一方で、どうしたわけか受講していない事務所が大量に残っており、このままでは受講猶予期間終了後に、大量の事務所が閉鎖に追い込まれる。
 先月国土交通省が調査した講習未了事務所は、全国でなんと2万6000者、じつに全国の建築士事務所の22%がまだ講習を受けていないことになる。
 大阪府住宅まちづくり部では、管理建築士講習の受講を懸命に呼び掛けているが、府下の7142事務所のうち1351事務所が未受講。ほかの自治体でも同様の状況が続く。
 仕事が減っていたり、講習義務づけ、業務報告書の提出義務化なども影響し、1級建築士事務所は5年前に比べて約7500事務所も減少した。人の命を預かる設計という仕事を続けるには、きちんと法改正にも対応してほしい。

計画停電時にエレベーターを遠隔休止/日立ビルシステムが閉じこめ防止で新案

 もし計画停電の開始時にエレベーターに乗っていたら?東日本大震災では、地震の影響で首都圏の多くのエレベーターが自動停止し、メンテナンス会社の人たちは徹夜で復旧に回っていた。これから本格化する計画停電への懸念に対し、日立ビルシステムが「エレベーター遠隔休止サービス」の提供を始めた。
 これは、計画停電で止まってしまうエレベーターに閉じこめられることがないよう、停電開始の10分前にエレベーターを遠隔操作で休止するものだ。エレベーターリモートメンテナンスシステムの運転状況監視・制御機能を使って、電力会社が計画停電の実施を発表したら、同社の管制センターから遠隔でエレベーターに休止スケジュール制御指令を伝送する。復電時には、計画停電終了予定時間前でもエレベーターの休止を自動解除し、平常運転に復帰する。
 2003年以降に納入した日立製作所の標準型乗用エレベーター「アーバンエース」、07年以降にリニューアルしたエレベーターで日立ビルシステムが提供するリモートメンテナンスシステム「スーパーヘリオスメンテナンス」を契約しているユーザーのうち、事前にサービスの導入を了承しているユーザーに無償で提供するということだ。
 最も確実な閉じ込め防止策は計画停電の開始前にエレベーターを休止することだが、専任の設備管理者が不在のビルでは難しいと指摘されていたが、このサービスは利用者にもメンテ会社にも朗報になりそうだ。

自分のまちづくりを提案できる/「夢アイデア」をことしも建コン協九州が募集

 こどもも主婦のかたも、まちづくりや地域振興についてのアイデアを出してみませんか?
 建設コンサルタンツ協会九州支部(植田薫支部長)が、毎年恒例の「夢アイデア」の募集を開めた。住みたいと思うまちのかたちを、手書きのイラストでもワープロ原稿でも受け付けている。
 このアイデア募集は今回で9回目。これまで436編の応募があり、実現化に向けて同支部による支援事業を進めている作品もある。長崎県でのヤギ、羊エコプロジェクト、海岸に置く夕日時計などなど、これまでにも多くのアイデアが実現している。
 応募は9月30日まで。入選作品は11月26日に予定している夢アイデア交流会で表彰する。文章やイラストが苦手な人には同支部がサポートもする。
 最優秀賞には10万円、優秀賞には3万円、佳作は1万円の賞金が贈られ、交流会は、応募作品の発表のほか、夢アイデア推進者による座談会、まちづくり提案の模型やポスターの展示などを行う。
 審査委員には国土交通省の地方整備局企画課長も加わっており、日頃感じているまちづくりへの想いをぶつけるよい機会だ。
 問い合わせは、同支部「夢アイデア企画」係(電話092-434-4340、ファクス同4342)。HPは、http://www.jcca.or.jp/kyokai/kyushu/dream

2011/07/20

最優秀に東京理科大グループ/「膜・空間デザインコンペ」

 日本膜構造協会(石井一夫会長)が主催する「膜・空間デザインコンペ」の最終審査が終わった。今回のコンペ最優秀は、東京理科大大学院修士2年の8人がデザインした「under ground festival」に決まった。この作品は、地下鉄空間と膜空間の共存を構想したもので、膜構造が地下鉄の通過風圧にも耐えられるかどうかの実測実験まで行ったという。「笑える。ユーモアがあり楽しい」(平田晃久氏)、「都会だけのプロジェクトだが、見たことのないレベル」(乾久美子氏)といった評価を受けた。
 このコンペは、学生の若い発想と知恵で、膜空間の可能性を提示してもらおうと開かれている。最優秀賞には副賞50万円、優秀賞には10万円が贈られる。審査委員は、小嶋一浩シーラカンスアンドアソシエイツ代表が委員長、委員には乾久美子氏、佐藤淳氏、平田晃久氏、トムヘイガン氏と気鋭の建築家がそろっている。
 今回の応募件数は113点で、一次選考に残った10作品から最終公開審査を行った。優秀賞には「膜のアルゴリズム」(九州大学3年の2人)、「傘ぶくろ」(武蔵工業大学4年の9人)が決まった。
 小嶋審査委員長は「プレゼンが全部違う質を持ち、こんな楽しいコンペはなかった。膜の持つ意外性、特異性、環境性を考えた、自由な提案に目を見張った」と感想を話す。受賞の10作品は日本膜構造協会会議室に展示し、希望大学には巡回展示もする。

設備工事、維持管理にもBIMを活用

 設備工事や維持管理工事にもBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を導入しよう、というセミナーが開かれた。これはBIMコンサルティングなどを手がけるシェルパ(本社・名古屋市千種区、高松稔一社長)が15日に開いたもので、東京都中央区の東京オフィスでセミナー『OPEN BIM cafe』と名付けた。
 ゲストスピーカーとして招かれた建築研究所の武藤正樹主任研究員は「維持管理BIMの実現には、使われている建物の現状をデータとして収集・表示する必要があり、それをアシストするようなソフトウエアとの連携が欠かせない。維持保全に使う部位のオブジェクトを構築する専門サービスの職能確立も求められる」と話した。
 また、30年前から3次元CADの研究をスタートした新菱冷熱工業は、設備BIMの最新事例として「独自3次元計測システムの活用で日に1000カ所程度の墨出しが可能になり、従来の3、4倍の作業効率を実現している」とBIMを使った設備工事の有効性を紹介した。
 BIMは建築データを統合して扱い、計画から維持管理まで情報を有効に利用するためのものだ。設計や躯体施工だけでなく、設備工事、仮設、完成後のファシリティマネジメントにまで活用してこそ生かされる。

2011/07/19

一目で美しい最先端のホテル建築



 世界的に多くのレビューが掲載されている旅行サイト「Trip Advisor」が、最近「一目で美しい最先端の建築ホテル」というランキングを発表した。このサイトはよくホテルのランキングをするが、なかには「世界で一番汚いホテル」、「恐ろしい虫の出るホテル」などネガティブなものも行う。
 しかし今回は、建築的に優れたホテルをあつかった。残念ながら日本国内のホテルは登場しなかったが、興味深い物件がランクインしたので紹介する。
 1位は、ブラジル・サンパウロにある「Hotel Unique」。日系人のルイ・大竹氏が設計した。このホテルは、建物の下面がカーブを描いており、「ウオーターメロン・エッジ」の名のとおり、高さ約25メートルのスイカを切り出したような形をしている。客室内部すら滑り台のようなフローリングだ。外部のエッジを室内にまで取り込み、床は天井に向かってアールを描きながら立ち上がり、シームレスに壁をつくりあげている。
 2位は、スペイン・マドリッドの「Silken Puerta America」。これは13カ国19人の有名建築家がコラボレーションして設計したホテルで、12階建てのそれぞれの客室やバー、ラウンジの設計で個性を競っている。クリエーターの名を列挙すると、12階=ジャン・ヌーベル、11階=ハビエル・マリスカルとフェルナンド・サラス、10階=磯崎新、9階=リチャード・グルックマン、8階=キャサリン・フィンドレイ、7階=ロン・アラッド、6階とバー=マーク・ニューソン、5階=ビクトリオ・ルキノー、4階=プラズマ・スタジオ、3階=ディビッド・チッパーフィールド、2階=ノーマン・フォスター、1階=ザハ・ハディッド。実に蒼々たるメンバーだ。
 さて第3位は、イタリア・ピサの「Hotel San Rainieri」。設計は、サイモン・ミケーリ。建築的にはスマートモダンが特徴。外壁に光を当てることで、さまざまな表情のファサードを演出している。このホテルの高評価は、ホテルとしての充実ぶりだ。トリップアドバイザーの会員評価では、ほとんどが優秀か非常によい、になっている。
 ほかにも、先日このコラムでも扱った伊東豊雄氏のポルタ・フィラホテルが6位、北欧の3XNの「Bella Sky Comwell」が9位などに入った。海外旅行の際は、こうしたホテルに泊まってみるのも一興かも。
(電子メディア局)

1位のホテル・ユニーク

2位のSilken Puerta America(写真はいずれもホテルHPから)


2011/07/15

覆面記者座談会・july.15.2011

中国でも工事中のビルが増加中
■海外セミナーが盛況 会場を追加
A 海外進出の話題が東日本大震災以降、あまり聞かれないが、設計、建設コンサルタントの動きは。
B 建築設計事務所は、中国を中心に順調に受注を増やしている。都市計画にしても、建築単体にしても、環境にかかわる技術力にすぐれた日本の設計事務所は重宝されているようだ。中国といえば、広い地域の開発が一気に進むイメージがあったけど、最近は市民の権利意識が芽生えて、昔よりスムーズに開発ができないらしい。そこで、まちづくりのノウハウを持つ日本の設計事務所にオファーが来るケースも増えているようだよ。現地法人をつくる事務所が増えていることも、中国市場への期待感のあらわれだね。
C 日本コンサルティング・エンジニヤ協会が12日に海外プロジェクトの契約関係でセミナーを開いた際、廣瀬典昭会長が冒頭のあいさつで「こんな時期にこんな催しをしてもだれも来ないのではないかと心配だった」そうだが、実際には「いままでで一番多いのではないか」と驚いていた。予定を超える約130人が参加したので、別の部屋を用意してテレビ中継したほど盛況だった。
A 高速道路会社も積極的だよね。
D 一昔前までは考えにくかったけど、公共発注者が海外のインフラビジネスに乗り出すのも、現在の特徴的な動きだと思う。今秋には東日本など高速道路5社が共同で海外新会社を設立する見通しだ。
A ゼネコン、設備会社はどうかな。
E 海外への視線が強くなっているのはゼネコンも同じ。これまでは大手クラスの海外進出が目立っていたが、このごろは準大手クラスの動きも活発になっているように感じる。2011年度の受注業績でも前年度を大きく上回るゼネコンが数多くあった。

震災の本復旧工事に低入重点調査はしない、と東日本高速道路

 東日本高速道路会社が、東日本大震災に伴う本復旧工事の入札・契約に限って、低入札価格調査制度に基づく重点調査を実施しない特例措置を決めた。時間のかかる重点調査をなくし、本復旧工事がスムーズに進むようにする。通常の調査基準価格と失格基準は設定する。
 本復旧工事は8日現在までに、舗装や道路補修を中心に35件の計画が確定している。大半を第2四半期中に入札公告する予定だが、それらの工事を円滑に行うためにこうした措置をとった。
 失格基準とは、東日本高速が決めた工事価格の7割以下の応札を機械的に失格として調査を行わない。また、調査ヒアリングについて落札予定者が申し出れば、提出期限前でも実施するという。
 復旧事業費の総額は約490億円に上る見込み。同社はこれまでに、震災復旧における工事関係の措置として、前払金の「10分の2以内」から「10分の5以内」への引き上げも打ち出している。

シンガポールに伊東豊雄氏監修の超高層ビル/三菱地所が計画

 シンガポールに、伊東豊雄氏監修の新たなランドマークが出現する。三菱地所が14日、シンガポール・ラッフルズプレイスでの大型オフィスビル開発事業に参画することを明らかにした。アジア有数のディベロッパー、キャピタランドグループとの共同事業として高さ約245m、延べ約8万2000㎡超のオフィスビルを開発する。設計監理と施工者はともに未定だが、伊東豊雄建築設計事務所がデザイン監修を担当する。伊東氏は、昨年スペインのパルセロナに「トーレス・ポルタ・フィラ」という超高層ビルを完成させているが、新たなランドマーク出現が期待できそうだ。
 今後、年末にかけて解体工事に着手し、2014年後半の完成を予定している。総事業費約920億円のうち、三菱地所は三菱地所アジア社を通じ約55億円を出資する。三菱地所がアジアでのオフィス事業に参画するのは今回が初めて。
 計画では、現在キャピタコマーシャル・トラストが保有する駐車場ビルを、最新鋭のスペックを備えた大規模オフィスビルに建て替える。規模は約40階建て延べ8万2400㎡を見込む。
 計画地は、金融機関や法律事務所が集積しているビジネス中心地区「ラッフルズプレイス」に位置する。敷地面積は5478㎡。
 特にMRT(地下鉄)南北線・東西線の2路線が乗り入れるラッフルズプレイス駅に近接しているほか、13年には計画地付近にMRTダウンタウン線の新駅が開業予定と交通利便性がさらに高まる好立地にあり、「需給バランスからもテナントの底堅い需要が期待できる」(同社)としている。
 キャピタランド社と同社のJVはベトナム、シンガポールでのマンション開発に続く第3弾となる。今回のオフィス事業参画により、シンガポールでの開発ノウハウを習得することで、アジアでの新規事業機会の獲得を積極的に進めていくとしている。

2011/07/14

ソフトバンクと地方自治体が後押し/自然エネルギーで協議会を設立

福島の布引風力発電所
 ソフトバンクと地方自治体が協力して、太陽光や風力などの自然エネルギーを使った発電施設の普及を目指す協議会が設立された。これは「自然エネルギー協議会」と名付けられ、北海道や福島県、大阪府など36道府県が賛同を表明、13日に設立総会が秋田市で開かれた。
 ソフトバンクの孫正義社長は東京電力福島第一原発の事故発生後、原発など大規模発電施設が特定地域に集中している現状からの脱却を提唱。地域ごとの条件に適した自然エネルギーを選択した上で、中・小規模発電所を全国に分散設置する構想を打ち出している。
 今後、ソフトバンクと自治体は、まず全国10カ所程度の休耕田などに2万㌔ワット前後の太陽光発電所を建設、運営するという。協議会は、農地利用の規制緩和など自然エネルギー普及に向けた政策提言を行う予定だ。
 協議会への賛同を表明している自治体は次のとおりだ。
 ▽北海道▽岩手県▽秋田県▽山形県▽福島県▽栃木県▽群馬県▽埼玉県▽神奈川県▽富山県▽福井県▽山梨県▽長野県▽静岡県▽愛知県▽三重県▽滋賀県▽京都府、大阪府、兵庫県▽奈良県▽和歌山県▽鳥取県▽島根県▽岡山県▽広島県▽山口県▽徳島県▽香川県▽愛媛県▽高知県▽佐賀県▽長崎県▽熊本県▽大分県▽宮崎県。

UIA2011東京大会まであと2・5カ月!槇氏、岩村氏、芦原氏が談話

 国際建築家連合(UIA)の大会「UIA2011東京大会」の開幕まあと70余日。東日本大震災で準備の仕切り直しとなったが、大震災を乗り越え、「災害を克服し、一丸となって、新しい未来へ」を合い言葉に開催が決定した。開幕までカウントダウン段階に入ったUIA2011東京大会について、槇文彦JOB諮問評議会議長と岩村和夫UIA理事・JOB実行委員会委員、芦原太郎日本建築家協会(JIA)会長の話を掲載する。
◆「シェアリングが目的の一つ」/槇文彦JOB諮問評議会議長
 槇JOB諮問評議会議長は、大会の目的の一つにシェアリングを挙げる。「東京で起こったことは東京のこと、地方で起こったことは地方のことというように、日本の建築界は国内の問題でもシェアすることがなかった。大会では、日本だけでなく世界の建築家が災害をシェアし、視野を広げることを期待している」という。
◆「社会に建築の必要性をアピール」/岩村和夫JOB実行委員会委員
 岩村UIA理事・JOB実行委員会委員は、「災害は世界中にあり、世界中の建築家が、大震災が起きた日本に集まって議論することは非常に意義がある」と日本開催の意義を強調する。
 さらに、「今回の大会を建築や街づくりのマイルストーンとして位置付け、大震災の復旧・復興で建築家がイニシアチブをとれるきっかけにしたい」とも話す。復旧・復興において建築家不在で区画整理や宅地造成が行われることにも危惧(きぐ)がある。大会では、100を超える国際的なプログラムが1週間で展開されるので、建築や街づくりを社会に訴える絶好のチャンスになる。
◆「建築家の存在を市民へ認知」芦原太郎JIA会長
 芦原JIA会長は、「日本の建築関係者が顔をそろえて世界を迎えるとともに、国内の一般社会に顔を見せる機会となる」との期待を表明する。「これから30-40年をかけて自分たちの街、環境を再生しなければならない。自分たちの子どもや孫が2050年までにどのような生活をしていくかを考え、安心できるよう復興する必要がある」とも。
 震災を受けて大会テーマに「災害を克服し、一丸となって、新しい未来へ」という合言葉が加えられた。UIAは世界124カ国、約130万人の建築家が連帯している。日本にもランドスケープや都市計画などの専門家も含み100万人の建築家がいる。建築専門家の連帯で世界、日本、被災地が一つになることに期待したい。

2011/07/13

「本社に相談する所長はダメ」 専門工事の本音トーク

(写真と本文は関係ありません)
 弊紙が専門工事業にスポットを当て、月に1度編成している『職人通信』というページがある。13日に発行した今号では、専門工事業の本音を掲載した。厳冬期が続く建設業界だが、この本音からは現場の苦労がひしひしと伝わってくる。皆さんはこれらを見てどのような思いを抱くだろうか?
①一度去れば二度と戻らず
 10年くらい働き、やっとこれからという職人が辞めて、建設業以外の仕事に就いている。建設業の仕事が増えたからといっても、彼らは二度と建設業には戻ってこない。彼らは、戻ってきたところで、今は仕事があっても、またなくなれば切られることを知っているから。
②職人はすぐに集まらない
 職人が足りないから、集めろといわれてもすぐには集まらない。作業員なら集められるが、それでは品質にも安全にも大きなマイナスだ。そのことを元請けは分かっているのだろうか。
③血縁、地縁ではこの先…
 工業高校などから入社してくれる学生もいるが、依然として定着率は低い。結局、従業員の子どもや親戚、知り合いの子どもなど、血縁、地縁で若い人に入ってもらい、その縁で何とか続けてもらっているという状況だ。現状がこんなことでは、これから先は続かない…。
④本社に相談する所長はダメ
 労務不足の中で仕事を受けなければならない。その上、金額も工期も厳しい。仕事を選ばざるを得ない。ただ、単に工事単価の良し悪しではなく、所長で選ぶ。現場をよく分かっている所長は、足りない分をこの部分はもう少し安い材料にして、その分をこっちに回してくれるといったことができる。なんでも本社に相談するような所長はだめだ。
⑤労務不足で二つ返事とは
 労務不足が起きている。工事を受注しても、職人を集められないということになり、自社で対応できるだけの工事量の受注にしていかないと(受注調整)、大変なことになる。持ち出しばかりでは、会社がつぶれる。声がかかれば二つ返事というわけにはいかない。
⑥派遣のレベルが低すぎる
 現場にいる派遣社員のレベルが低すぎる。責任がないから、所長から言われたことと、自分の仕事しかしない。いてもいなくても変わらない派遣社員もいる。現場の生産性の向上にプラスになっているとは思えない。それなら、派遣を雇う賃金で、協力業者の社員を置いた方が、もっと効率的だ。そうした現場もある。

BIM48時間耐久コンペ 8月1日から参加者受付!舞台は神戸へ

 制限時間48時間で3次元設計モデルをつくる耐久レース「Build live」。これは、業種や会社、大学という組織を越え、ネットでコラボレーションしながら与えられた条件に合った建築設計を行う催しだ。ことしも9月7日に開かれる。今回のコンペ名は「Build live kobe2011」に決定。課題敷地を神戸に移して8月1日から参加者の募集を始める。主催は、一般社団法人IAI日本(東京都品川区)
 コンペは2009年から過去3回に渡り、東京を舞台に設定してきた。4回目となる今回は、神戸市の賛同を得て同市が所有するポートアイランドの「京コンピュータ前駅」近くの研究・文化施設用地を課題敷地に設定した。
 IAI日本は「この敷地にユネスコ認定のデザイン都市・神戸にふさわしい建物を設計することが今回の設計課題」と説明する。参加申し込みは8月1日から31日までの1カ月間。実務クラスと学生クラスに分け、9月7日午後6時からコンペをスタートする。
 コンペ結果は、10月7日に開催するBIMイベント「ArchiFuture2011」の会場で発表する予定だ。前回は8チームが参加した実務クラスで大林組チーム、11チームの学生クラスでは芝浦工業大学大学院チームが最優秀賞に選ばれた。
 申し込みは、IAI日本サイト内(http://www.building-smart.jp/event/event_index.ph)で受け付ける。また、今後のコンペ情報は公式ブログサイト(http://blkobe2011.seesaa.net/)で公開する。




昨年のBuildLive発表会


2011/07/12

新宿コマ劇場、東宝会館跡地開発が取締役会で計画承認/東宝

 東京・新宿歌舞伎町にある新宿コマ劇場と新宿東宝会館の跡地を対象とした「新宿東宝ビル開発計画」が、11日に開かれた東宝の取締役会で承認された。長らく歌舞伎町のランドマークとして親しまれ、惜しまれながらも閉館した「コマ劇」が新たな姿でもうすぐよみがえる。
 開発規模はS一部SRC造地下1階地上31階建て塔屋2層延べ5万5390㎡。低層階に飲食店舗、3-6階にTOHOシネマズのシネマコンプレックス、9階-31階には藤田観光が運営する新宿東宝ビルワシントンホテル(仮称)が入居する。
 竣工は2015年春を予定。現在、竹中工務店の施工で既存施設の解体工事を進めている。事業地は新宿区歌舞伎町1-19-1、2の敷地5588㎡。総事業費は約232億円としている。

レゴレッタ氏に「世界文化賞」/メキシコの伝統築く

リカルド・レゴレッタ氏
 世界の優れた芸術家を顕彰する「第23回高松宮殿下記念世界文化賞」(日本美術協会主催)建築部門にメキシコのリカルド・レゴレッタ氏が選ばれた。リカルド氏の代表作は、「カミノ・レアル・ホテル・メキシコシティ」(1968年)、「サン・アントニオ中央図書館」(米国テキサス州、95年)などで、原色で大胆に壁を塗り分けた建築物が特徴で前衛的に見えるが、現代感覚にメキシコの伝統文化を深く映し込んでいるのが特徴だ。99年国際建築家連合(UIA)ゴールドメダル、2000年米国建築家協会(AIA)ゴールドメダルを受賞している。
 10月19日に東京都港区の明治記念館で授賞式が開かれる。
 建築部門選考委員の馬場璋造建築情報システム研究所代表は「他部門を含めてメキシコからの受賞は初めて。メキシコの新しい伝統を築いた建築家といえる。『カミノ・レアル・ホテル』に2度ほど泊まったことがある。夜に着いた時に、赤と黄色の鮮やかな壁に囲まれて、プールの水がものすごく揺れていることに驚かされた記憶がある。静と動のコントラストが強く印象に残っている」と話す。

2011/07/11

現場での作業着に「吸汗速乾」 作業効率もアップ?

 ことしもまた、暑い季節がやってきた。空調の効いた室内での作業と違い、建設作業は屋外での作業が中心となり、肉体的には過酷なものとなる。汗で張り付いた作業着は体にまとわりつき、見た目の悪さだけでなく、動きの邪魔もする。汗をかいたら、塩分と水分の補充は欠かせないが、それとは別に機能性素材を使った作業着で、夏場の作業を快適に、動きやすくすることもできる。東レの機能製品担当者に、夏の快適作業を支える繊維について聞いた。
 近年、スポーツウエアを中心に、汗を急速に吸い、発散させるウエアが人気を高めている。基本となるのは、夏の暑さの中でも肌にべとつかず、さらっとしていること。いわゆる「吸汗速乾」で、繊維が吸った汗を早く乾かすことがミソだ。このことにより「気化熱で涼しくする」(木村寛前機能製品事業部長)ことができるという。
 その例として挙げるのが、通常の断面が丸い単繊維と、断面が星形の単繊維をランダムに配列して作った製品(製品名=スプリンジー)だ。2つの異なる断面形状を持つ単繊維を、ランダムに配列することによってできた極細のすき間を利用して毛細管現象で汗を吸いとる。このすき間が広いと毛細管現象による吸汗量が少なく、逆に狭すぎると詰まってしまう。適度な間隔を保ちつつ、星形単繊維によって表面積を広くすることで汗の拡散性を高めた。
 同時に、星形断面の繊維を混ぜたことで、さらっと感も持たせることができた。通常のTシャツに比べ、同じ厚さなら洗濯後の乾きも早い。セラミックを練り込んだ特殊ポリマーを使うことで、透けの防止や紫外線カット効果もある。
 現場作業では、当然、作業着は汚れる。そこで気になるのが洗濯した後のこと。「物理的な耐久性は、ポリエステル65%、綿35%という普通の生地と変わらないし、何回洗濯をしても、吸汗速乾機能は落ちない」(木村前部長)。
 さわやかな作業着で、涼しげに働く。建設業に対する周囲の視線が変わるかも知れない。

9月から仙石線で新列車制御システム「ATACS」が稼働/JR東日本

 東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県の仙石線に、新たな列車制御システム「ATACS」が導入される。仙石線は当初、3月27日にこの先端システムを稼働させる予定だったが、津波によって無線通信用ケーブルの支柱が倒壊したり、列車上の制御装置が浸水するなどして復旧作業を続けていた。今回、ようやく復旧のめどが立ち、あおば通駅~東塩釜駅間で9月25日から使用開始することになった。
 「ATACS(アタックス)Advanced Train Administration and Communications System」は、閉塞区間に縛られない次世代型の列車制御方式だ。走行する列車自体が位置を検知し、無線を使い車上・地上間で双方向に情報通信を行うことによって、列車を制御する。
 第1ステップとして、列車走行に必要最低限な列車間隔制御機能などの使用を始める。その後、2011年度後半から踏切制御、臨時速度制限機能といった第2ステップの工事・試験に入り、12年度中の稼働を目指す。
 従来の列車制御システムの多くは、レールに電流を流して列車が在線する位置を検知し、信号機によって後続列車の運転士に走行可能な区間と速度を指示する方式を採用している。このため、信号機で区切られた1区間に1列車しか運転することができず、線路周りにさまざまな地上設備を設ける必要があった。
 仙石線は、塩釜より東側の石巻にかけて大きな被害を受けている。さらに女川に至っては壊滅的な打撃を受けた。いまだ残されたがれきも多いが、交通の復旧は被災地にとっても大きな励みになる。9月の復旧が待ち遠しい。
ATACSの概要

2011/07/08

覆面記者座談会・july.08.2011 「松本復興担当相の辞任ってどう思う?」

村井知事(左手前)と会談する松本前復興担当相(右端)
■「自分はお客さん」では復興相務まらない
A 復興担当相の松本龍氏の辞任劇には驚いたが、村井嘉浩宮城県知事との会談は実際どうだったのかな。
B 報道されているとおり、知事の出迎えがなかったことで、最初から機嫌が良くないように見えた。それで、上から目線で命令口調。聞いていて「何様だろう」と思ってしまった。
C 内容もむちゃくちゃだったのかい。
B 全部がそういうわけではない。例えば「それぞれのまちで伝統や文化、産業が違うので、しっかり話を聞きながら取り組んでいく」と言っていたし、仮設住宅での孤独死を防ぐためのアイデアも披露した。
A そうだったのか。そういう部分はあまり報道されていないね。
B そうだね。「政府に対して甘えるところは甘えていい。こっちも突き放すところは突き放す」といった言葉がきつすぎた。それと村井知事が松本氏を出迎えなかったことを叱責してしまった。
C 震災復興という大事業を進める上で「自分はお客さん」という考えの大臣では務まらない。遅かれ早かれ、こうなっていたかもしれないね。
A では、新しい平野達男前内閣府副大臣はどうなのかな。
D 人当たりが良く見えるから、松本氏の二の舞にはならないだろう。ただ、今までを考えると、平野氏が出てくると必ず何かあつれきを起こしている気がする。
E 結構、強引に物事を進める人と見られがちだけど、今までを見ていると、実はすごい調整型の人で、それがあつれきを生んでいたりする。

津波避難に有効打!/四国の国道に「海抜知~る」

 いざ津波が来るときに、自分のいるところが海抜何メートルなのかを知りたくはないだろうか。国土交通省の四国地方整備局と四国四県が協同で、国道などの道路標識、横断歩道を見れば海抜を一目で知ることのできる「海抜知~る」を整備することにした。
 図を見ればわかるとおり、標識の柱に定規を付けて海抜がわかるようにする。住民は日頃から自分の家の海抜がどのくらいなのかわかったり、いざ避難するときに坂を上りながら避難すべき目安として使うこともできる。被災後も広範囲な地点で津波高を記録できるという効果も見込める。
 東南海・南海地震による津波被害に対する防災意識の啓発を目的に実施するもので、同局によると全国では初の試みだという。海抜15m以下の国道や県道の歩道橋や標識柱に1㌔ごとに張り付ける。海抜は5m(黄)、10m(オレンジ)、15m(青)の3段階で表示する。
 8月中旬までに4県で計15カ所に試験設置する。その後設置効果の検証を経て、国道では11年度内に約400カ所での設置を目指す方針ということだ。

「海抜知~る」の概要

2011/07/07

ラジオ会館建替は8月から解体着手/設計はINA新建築研

 秋葉原の名所となっている秋葉原ラジオ会館の建て替えが本格化する。会館所有者の秋葉原ラジオ会館(東京都千代田区)が明らかにした「(仮称)秋葉原ラジオ会館新築工事」の詳細によると、8月から解体工事に着手し、既存ビルと同程度の延べ約1万㎡の店舗棟を新築する。2012年5月着工、13年度の完成を予定している。設計はINA新建築研究所が担当で施工者は決まっていない。 
 秋葉原ラジオ会館ビルは、同地域初の高層ビルとして1962年に完成。以来、正面に印象的な大きなネオン看板を備えた建物は「ラジ館」の愛称で親しまれ、秋葉原の“顔”ともなっている。築後50年近くが経過し、老朽化が目立つほか、耐震強度が不足した既存不適格建物となっていることから、建て替えを検討していた。
 新施設の規模は、地下2階地上10階建て延べ1万0945㎡の店舗棟となる。既存施設の店舗数は23店舗で、主に家電、オーディオ、パソコン、おもちゃ、書籍などに関連するテナントが入居している。計画地は、JR秋葉原駅西口に近接する千代田区外神田1-15-16の敷地1199㎡。このうち995㎡を建築面積に充てる。


山手線にホームドア設置が加速/JR東日本

 東京の山手線に、地下鉄などで設置が広がっているホームドアが増えそうだ。東日本旅客鉄道(JR東日本)は、転落や列車との接触の防止策として全29駅中、2012年度に2駅、13年度までに7駅にホームドアを設置すると公表した。
 現時点で大規模改修が予定されている新橋、渋谷、新宿、東京の4駅を除いて17年度末の完成を予定しているが、同社の清野智社長は「できるだけ早く設置したい」とし、施工方法を改良することで工期短縮と事業費削減の両面に取り組む考えを示した。
 すでに設置している恵比寿、目黒の2駅に加え、12年度をめどに大崎、池袋駅、13年度をめどに大塚、巣鴨、駒込、新大久保、目白、高田馬場、田町駅に設置する。
 「総事業費約500億円のうちほとんどが土木の工事費用。先行2駅で施工した結果、強度を下げずに工費をおさえる方法がないか検討を重ねた」(清野社長)。3駅目以降の基礎工事は、横けた新設の際に必要となるホーム壁側の空間を有効活用し、ケーブルルートをホーム前線路側上部に新設することにしており、工期短縮とコストダウンを図る。
JR東日本が計画しているホームドアの施工法


2011/07/06

第三京浜港北ICと首都高生麦JCTつなぐ巨大シールドトンネル

  第三京浜港北ICと首都高生麦JCTをつなぐ「横浜環状北線」の建設がちゃくちゃくと進んでいる。この工事は、世界でも最大級のシールドマシンを2基使って一気に掘り上げる大工事だ。2010年10月に発進したシールド機は5月末に鶴見川を横断した。6月末までに約1㌔を掘り進んだ。施工は大林組・奥村組・西武建設JVが担当している。トンネルの掘進は13年2月ごろ完了する見込み。
 このトンネルは、外径約12・5メートルのシールドマシンを使い、長さ約5・5㌔の長距離トンネルをつくる。上下線2本のトンネルを同時に並列掘削するという難工事だ。
 横浜環状北線は第三京浜道路港北インターチェンジ(IC)から首都高横羽線生麦ジャンクション(JCT)をつなぐ延長8・2㌔の高速道路。全体の約7割に当たる5・5㌔が地下トンネルで、両端は高架構造にして既設道路と接続する。総事業費は約3450億円。2016年度に開通する予定。
 シールド機の掘進速度は1日に約12m。東日本大震災に伴う節電対策として工事工程を見直し7、8月は掘削作業を一時中断することにした。この間に内部の設備工事などを行う。9月から再稼働するが、2機を交互に運転するなどピーク電力の抑制にも努めている。
 11年度には全線で工事が本格化する。3月に都市計画決定された横浜環状北西線と接続する港北JCTは、11年度中に工事契約する予定。今夏からは橋梁部の基礎工事なども始まる見通しだ。
建設中のシールドトンネル。人と比べるとそのスケールがわかる

2011/07/05

ブログコラム・建設業界では定番 「安全大会」ってなんだ?

安全大会の様子(記事とは関係ありません)
 7月1日から7日は、全国安全週間となっている。建設産業界では、この週間の前に「安全大会」という催しを行います。大抵は、ホテルや会館のホールを借りて協力会社の方を集め、トップ挨拶、過去一年間の安全実績の報告・優良協力業者の表彰・安全部署からの報告や安全書類の配布を行い、講演会を行って解散、というものが多いようです。
 全国安全週間は、中央労働災害防止協会(中災防)が行っているキャンペーンですが、実は昭和3年から続いている歴史のあるものです。安全大会は建設業が良く行います。その理由として、やはり労働災害が多いのです。2010年、全国で発生した死亡災害は1195人。うち建設業が365人を占めます。ちなみに製造業は211人、貨物が154人です。建設業の死亡者数365人は、毎日だれか1人が仕事中に亡くなっていることになりますね。
 ことし4月から昨日までに建設通信新聞に掲載された安全大会関連記事は、なんと344本。記事すべてが安全大会の開催記事ではありませんが、ほとんどがそうです。また中災防は秋に「全国労働安全衛生週間」、年末に「年末年始無災害運動」などのキャンペーンも張ります。そのため、1年間で建設通信新聞に掲載される安全大会関連記事は538本にも上ります。
 安全大会に出席していると、後半にコックリコックリとする人たちがちらほら。仕方ありません。いつもは外でバリバリと働いている職人さんたちをまとめている人なのですから。黙って座っていることが大変です。でも主催者側も、いつも決まった形でやるのではなく、眠い目を刮目させるような催しを取り入れてもいいのではないでしょうかと思うのです。(電子メディア局スタッフT)

業界に大きな波紋 「コンクリートが人の命を救う」と大畠国交相が発言

 『コンクリートから人へ』というスローガンを掲げていた民主党。この言葉には、当初から建設業界の批判が集中していた。しかし東日本大震災を経験してから、どうもその方向性は変わりつつあるようだ。
 大畠章宏国土交通相が1日の叙勲祝賀会会場で、驚きの発言をしたことが話題になっている。大畠大臣は壇上のあいさつで、「今回の震災では、コンクリートが人の命を救った」と前置きし、「コンクリートも人も大事であり、何よりも人の命を大事にした仕事をしたい」と訴えたのだ。
 これから本格化する被災地の復旧・復興に向けては、世界で最も災害に強い国土づくりにまい進し、新しい日本の国づくりをスタートさせたいと話した。
 松本龍復興対策担当相が就任1週間で辞任するなど、相変わらす人の入れ替わりが激しい民主党政権だが、今回の発言は建設業界にも大きな期待をさせるものだ。期待を裏切らないよう、一貫した政策が望まれる。

2011/07/04

NHKの連続テレビ小説の舞台、安曇野市が本庁舎コンペで内藤廣JVを選定

現在の本庁舎(安曇野市のHPから)
 ことし4月から放送の始まったNHKの連続テレビ小説「おひさま」の舞台となっている長野県安曇野市。同市は、新本庁舎建設基本設計業務の公募型プロポーザル・コンペを行い、内藤廣建築設計事務所・小川原設計・尾日向辰文建築設計事務所JVを最優秀者に特定した。次点は山下設計・清沢建築設計事務所・バイオ一級建築士事務所JV。今後、基本設計に着手し、2012年度の着工、15年度の竣工を目指す。
 2次審査となる公開プレゼンテーション・ヒアリングは、豊科交流学習センターきぼうの多目的ホールで6月30日に開かれた。内藤廣建築設計事務所JV、山下設計JVのほか、kwhgアーキテクツ・A&Aデザイン研究室・笠井設計・市瀬建築設計事務所JV、久米設計・フジ設計・岡江建築設計研究所+CIRCLEJV、日本設計・安曇野設計室・望月設計室JVの計5者が参加した。
 審査は古谷誠章早大創造理工学部教授を委員長とする7人の選定委員が担当した。
 本庁舎の規模は4、5階建て延べ約1万8000㎡を想定。総事業費は79億8000万円と試算している。基本設計の履行期限は11月30日。建設地は、同市豊科5609-3ほかにある豊科近代美術館と同市豊科南穂高2997ほかの豊科プール跡地を併用した敷地となる。

都心に東京ドーム面積相当の“発電所”が出現

 森ビルが、東京都港区の六本木ヒルズ地下で稼働中のコジェネシステムを公開した=写真。発電施設の全面積は約1万㎡で、東京ドームのグラウンド部分に相当する大きさだ。節電の夏を迎え、六本木ヒルズで活用している都市型発電所の重要性をアピールした。
 六本木ヒルズでは、一般のオフィスビルで使われるような非常用電源設備ではなく、独自のエネルギープラントを設けて地区内の電力約3万8000㌔ワットを発電している。またガスタービン発電時に出る排熱を熱供給施設に送り冷暖房にも利用する。
 システムの核といえる蒸気噴射型ガスタービンの製造はIHI、システム構築は新日鉄エンジニアリングが担当、運営管理を行っている六本木エネルギーサービスによると、燃料となる都市ガスの供給は東日本大震災時でも影響を受けておらず、自発的な節電で余剰電力が確保された。震災後の3月18日から4月末までに1000世帯分に相当する3000-4000㌔ワットを東京電力に提供したという。節電が本格化した7月1日からは、昼間5000㌔ワット、夜間4000㌔ワットの送電も行っている。
 このシステムは、機器費用だけで約100億円するが、IT企業や外資系企業、自治体などの信頼につながり高評価を得ている。森ビルでは「今後はガスを活用した同様のシステムを再開発施設などに積極的に導入していく」考えだ。

2011/07/01

「大キリン」を提供した中国・三一重工ってどんな会社?-3-終

同社の生コンポンプ車
 今回は、三一重工が中国から国外へと出て行く意志があるかを探ってみる。中国には、政治的に民間企業が海外へ出ることを許さない時代があったそうだ。しかし現在では国際市場を見通している。
 その際にもっとも重視するのは南半球だという。南米、アフリカ、中東はインフラ整備が遅れており、インドもインフラは中国より15年ほど遅れている。これらをバネに、これまで売上の10%程度だった海外比率を5年後に3割まで増加させたい考えだ。
 同社の生産工場ネットワークは現在、米国、ドイツ、ブラジル、インドで、インドネシアにも工場を新設する。将来は30カ国で工場、販売体制と、アフターサービスのネットワークを構築したいという。
 中国から見たら海外市場となる日本市場については、「進出することで、より良い製品をつくって技術を高めることができると信じている。日本の厳しい要求に応えることができれば、他の国でも信頼される」と技術力アップやブランド価値向上の手段と割り切る。まず得意とする生コンクリートポンプ圧送車の販売を、さらに大型機種をラインアップするクローラクレーンの投入もしていきたいという。
 最後に、同社の考え方をひとつ。「日本企業に提携の意欲があれば、われわれは歓迎する。先進国の進出方策についてはまだまだ検討の余地があるが、日本市場で製品のニーズがあるなら、市場に合わせて考えていきたい」と、提携には前向きの姿勢だ。
「大キリン」を提供した・・・ -1-へ

覆面記者座談会・july.01.2011

宮城県・女川の被災地
■二重ローンが復興の足かせに
A 政府にようやく復興対策本部が設置され本格的な復興へ向けた動きが出始めた。これは被災地や被災企業にとって大きな期待になっているのかな。
B 予算手当を復興のために手厚くするという意味では、被災地自治体、地元企業にとって大きな希望になっているのは確かだと思う。
C もう一つ。東北隣接地域の地方建設業界が復旧・復興に関連して建設市場が拡大することに対し強い関心を持っているのは事実みたいだ。現に、被災地に出張所開設という話も出ている。過去の新潟中越地震でも同様の話があった。ただ、これは大臣許可企業というより知事許可企業の動きだと思う。
D でも被災地の現状と今後想定されることを考えれば、そんな甘い話ではないと思うよ。
A 具体的には。
D 被災した各地でいま行われているのは、陸上のがれき撤去と港湾・漁港復旧のための海中がれき処理。それと腐敗した冷蔵・冷凍水産加工物の処分だ。
B いま、被災企業にとって最大の課題の一つは二重ローン問題だ。地方の地域経済を下支えする建設業など中小企業、漁業、農業者にとって、これまでの負債を抱えながら新たな事業展開するための新たな負債は抱えきれない。阪神・淡路大震災の時も、二重ローン問題は指摘されながら結局、棚ざらしになった。今回は沿岸地域500㌔にわたる各地域で二重ローン問題が発生する可能性がある。

熊谷組が有料道路事業に参入/白糸ハイランドウェイの全株式を取得

白糸ハイランドウェイの料金所
 熊谷組とガイアートT・Kが、有料道路事業への参入を決めた。熊谷組とガイアートT・Kは、今回の参入によって道路の維持管理ノウハウなどを蓄積し、今後増加が見込まれるPPP事業や道路保全の新技術開発などに役立てたい考えだ。6月30日付でジェイ・エル・ディー(東京都中央区)が保有する「白糸ハイランドウェイ」(長野県軽井沢町)の全株式をガイアートT・Kが取得、今後1、2年の間に4、5000万円を投入し、道路の修繕事業などを進める。ガイアートT・Kが保有する維持管理技術や開発中の新技術なども積極的に導入する。道路の維持管理やリニューアルに向けたデータベースの構築も進める計画だ。
 同社では「従来のように工事の請負ではなく、自らが事業主体となる」(大島プロジェクトエンジニアリング室長)といい、PPPなどに役立つノウハウの蓄積も期待している。今後、熊谷組とガイアートT・Kは連携を深めてPPP事業などに積極的に参加していく方針だ。
 観光有料道路の白糸ハイランドウェイは、道路運送法による一般自動車道路。全長10㌔で、道路途中には観光名所の「白糸の滝」などがある。運営会社である白糸ハイランドウェイの社長には中川均ガイアートT・K取締役専務執行役員が就任するほか、熊谷組から大島邦彦執行役員プロジェクトエンジニアリング室長が取締役に就く。1日から運営業務を開始し、通行量は年間30万台程度を見込む。2010年度の売り上げは約1億円、純利益は1000万円程度だった。