4月に開設10周年を迎えるYKKAPのプレゼンテーションスペース「AZ5」(東京都文京区)には、ゼネコンや建築設計事務所などに加え、ディベロッパーなど施主サイドも足を運ぶ。「実はここで把握したプロの声を商品づくりに反映している」とはAZ5の責任者を務める商品企画部商品情報企画室ビルグループの伊藤志乃ぶグループ長。同社のプレゼン件数は、年間200件にも達する。
オフィスやマンションなどビル系の商材に特化したプレゼンテーションの場として位置付けているAZ5は、専有面積400㎡。窓や玄関ドアなど開口部に関連した商品約60点が展示されている。商品企画部のスタッフ20人がプレゼンターとなり、デザインから性能まで細部にわたり、商品を紹介している。
来場者の関心事は、マンションのサッシを樹脂剤で固定する独自の非溶接工法や、地震時における開口部の対応などがあるという。「特に震災以降はサッシの耐震性や電力不足を背景に、遮熱効果や自然換気についても細かく説明を求められるケースが増えている。近年は当社の技術を知ってもらう仕掛けとして体感ブースを使ったPRも積極的に行っている」(伊藤グループ長)。
現在設置している体感ブースは耐震、開力、遮熱、断熱、水密、防音、換気の7つ。当初は防音ブースしかなかったが、最近は地震時に玄関ドアが開閉できない状況への対策として耐震仕様や、室内外の圧力差に対応した開力軽減のドアシステムなども設置した。「体感してもらうことで技術の効果は伝わりやすい。ニーズがより多様化していることで年々拡充してきた」(同)。
プレゼンスペースとして使われてきたAZ5であるが、近年は別の使い方を求められるケースも出てきた。事業本部商品企画部ビル商品企画室の安田浩室長は「意外なのは、研修や勉強会の場としても使われ始めたこと」と強調する。設計事務所やゼネコンなどの依頼を受け、新入社員向けの研修会が行われたほか、販売店には商品知識向上の勉強会、協力業者には実技を含めた施工研修の場としても提供したケースがある。
2012年度のプレゼン件数は、既に前年度の実績に達している。安田室長は「まもなく10周年を迎えるが、これまで継続できているのは、常に展示のメニューを充実しながら、ユーザーと向き合ってきたから」と考えている。AZ5は12日から展示を一新、新商品を含めた新ラインアップの構成に切り替えた。場所は東京都文京区小石川1-4-1。完全予約制。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年2月13日 12面
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