2012/06/26

基本設計費「1円」で委託 東京都発注の辰巳一丁目団地1期


都は低価格受注に近く対応策

東京都都市整備局が発注する都営住宅の基本設計で、またも著しい低価格受注が発生した。25日に同局東部住宅建設事務所が見積もり合わせした都営辰巳一丁目団地(第1期)基本設計は、委託金額が『1円』。昨年度も数件発生した1円や1000円といった異例の低価格受注が今年度に入っても歯止めがかからない状況だ。同局はこの結果を重く受け止めており、近く今後の対応策を打ち出す構えだ。

都営辰巳一丁目団地の建て替えに伴う第1期事業の基本設計の見積もり合わせには43者が希望申請を提出。条件不備の6者を除く37者の中から指名した10者が見積もり合わせに参加した。
委託先に決定したのは、見積額が1円の桑波田建築設計。第2順位の常創設計も10円という見積額だった。
予定価格は非公表、最低制限価格は設定していない。
対象の辰巳一丁目団地(江東区辰巳1-8)は既存住棟60棟が立地する都内有数の大規模団地。建て替え事業は2027年度までの約15年間に全体を5期に分けて進める計画だ。敷地面積は約13万9000㎡。
このうち第1期事業は事業対象地の南西側にある2街区約1万8000㎡が対象。ここに14階建ての住棟2棟(400戸)を建設する。工事着手は13年度、15年度の入居開始を目指す。設計工期は120日となっている。
昨年度から続く、低価格受注に所管局では「こうした状況は発注工事の品質確保への懸念にもつながる。重大なことと受け止めている」(技術管理課)と話すなど、近々に次なる対応策を打ち出す考え。
昨年度から試行している資格要件に配置予定技術者(管理技術者)の実績要件を盛り込む、業務履行体制確認の厳格化や基本設計と実施設計の一括発注に加え、案件によってはプロポーザルや総合評価方式といった価格だけに頼らない選定方式も試行していくものとみられる。
一方で、あまりにも過度な安値受注は建築設計の職能を自ら否定するものとなりかねないだけに、建築設計団体にとっても何らかの対応が必要と言えそうだ。
見積もり合わせの参加者と見積もり額は次のとおり。
▽桑波田建築設計=1円▽常創設計=10円▽松下設計=10万円▽土屋建築研究所=15万円▽相和技術研究所=20万円▽都市研究所=150万円▽シィー・ディ・シィー=162万円▽都市環境設計=360万円▽徳岡設計=840万円。

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