2014/02/01

【復興版】合意形成迅速化! JACICが事業像の把握にCIMフル活用

いわき市の久之浜地区の防災緑地を3Dモデル化
日本建設情報総合センター(JACIC)は、被災地支援を視野に、CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)を活用した復興事業の3次元モデル構築に取り組んでいる。対象地区は、旧北上川河口部(宮城県石巻市)と久之浜地区(福島県いわき市)。自治体が作成した平面計画図に基づき、事業完了後のイメージを3次元モデルとして可視化することで、景観の比較検討や地元との合意形成などに役立てている。今後、岩手県内の沿岸部でも関係機関と調整しながら対象地区を選定する予定だ。


 
CIMの概念図
◇輻輳する事業を視覚化

 葛西敏彦JACIC東北地方センター長は「ICT(情報通信技術)を使った情報共有など、CIMをフルに活用することで異なる機関の事業の整合性が図られ、効率的な整備が可能となる。JACICがこれまで研究してきた成果を生かし、被災地復興の役に立ちたい」と話す。
 津波により壊滅的な被害を受けた地域の復旧・復興に当たっては、国や県、市町村それぞれの事業が輻輳(ふくそう)することもあり、平面的な図面だけでは事業のイメージがつかみにくい。CIMを導入することで、さまざまな角度から景観を含めた事業の全体像および細部のイメージが可視化できるため、比較検討や地元との合意形成の迅速化につながる。また、クラウドサービスの活用により情報共有も進む。

◇旧北上川でも活用

 一方、CIMの活用によるインフラ施設の維持管理の高度化を目指すJACICにとっては、机上の検討だけでは得られない現場での具体的な問題点を把握できることから、自主研究調査として被災3県からモデル地区を選定し、災害復旧から管理までCIMの利活用について調査することとした。
 石巻市の旧北上川河口部は、無堤防だったため、津波により甚大な被害を受けた。現在、東北地方整備局が同河口部への築堤・護岸整備計画を進めている。
 新たに堤防を築くことで地域全体の景観が変わるほか、市が行うまちづくりや下水道整備、県道整備などにも影響を与える。
 JACICでは、「旧北上川河口まちづくり検討会」や地域ワークショップなどでの議論を踏まえた事業イメージを3次元モデルで構築し、関係機関に提示している。

◇いわき市久之浜地でも

 いわき市の久之浜地区では、県が復興まちづくり(防災緑地)を計画。かさ上げ復旧する海岸堤防の内側に健康づくりや子どもたちの環境学習、震災の記憶伝承などの機能を備えた大小の広場、遊歩道を整備する。
 地域住民参加によるワークショップなどで得られた意見を盛り込んだイメージを3次元モデルとして提供することで、事業の早期具体化を支援している。
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