2014/02/06

【復興版】ユイちゃんの〝あの場所〟も開通! 北リアス線全面復旧へ

八千代エンジニヤリングが最後の区間の設計を担当した三陸鉄道の北リアス線が、4月6日に全線復旧する。NHKの連続テレビ小説『あまちゃん』の舞台になり知名度が上がった鉄道だけに、地元住民の生活の足が再び戻ってくるだけでなく、観光客の増加で地域の活性化も期待されている。これを機に同社は、建設コンサルタントが復興支援で社会貢献していることを、学生や一般の人にもっと知ってほしいと話している。
 北リアス線は、岩手県沿岸北部の宮古~久慈間71.0㎞の路線。津波によって大規模な被害を受けたが、これまでに約60㎞が運転再開にこぎつけた。残る田野畑駅~小本駅間10.5㎞も、4月の開通が決まった。『あまちゃん』の中で震災によって列車がトンネル内に立ち往生したシーンがあり、歩いてトンネルを出たが橋が流出していた場所は、この区間内の島越(しまのこし)駅付近だった。
 同社はこの区間のうち、津波を防ぐ第2の防波堤(線堤)とするため、高架橋部分を盛り土形式にするとともに、3カ所の橋梁を耐震性の高い構造で設計した。盛り土は田野畑村の防災計画を踏まえ、性能ランクII「極めてまれな偶発作用に対して壊滅的な破壊に至らない」を採用した。
 橋梁は3橋とも、桁と橋台を一体化したGBS(ジオシンセティックス補強土)一体橋梁の構造形式で設計した。GBS一体橋梁は、水平力を補強土が負担するため、上部工がスレンダーで基礎の負担が少ないことから、3橋のうちコイコロベ沢橋梁とハイペ沢橋梁は、既存の橋台と橋脚基礎を再利用して、建設廃材の発生を抑制した。
 GBS一体橋梁の施工実績は、北海道新幹線で1橋あるが、橋長は12.0mと短い。今回の3橋はすべて2径間で、最も短い松前川橋梁でも27.4m、最長のハイペ沢橋梁は60.0mもあることから、鉄道総合技術研究所の協力を得て、解析モデルを構築した。
 設計の留意点として、主桁断面は津波の受圧面を小さくするため、スラブ形式のRC構造としたほか、橋が長い上、桁高制限が厳しいハイペ沢橋梁は下路桁のSRC構造を採用したことなどを挙げている。
 設計指導と施工管理は鉄道建設・運輸施設整備支援機構、施工は東急建設が担当している。島越地区の表層地盤は液状化地盤のため、グラベルコンパクションパイル工法で地盤改良した。松前川橋梁の橋台基礎は、河川護岸の側方流動対策としてかくはん混合基礎を採用、深層混合処理(テノコラム)を実施した。
 コイコロベ沢橋梁とハイペ沢橋梁は、既設フーチングを再使用するため底盤部の支持力を確認したが、2橋とも強度不足だったことから、高圧噴射かくはん工法で底盤改良をした。
 リアス線の全線復旧は、少しずつだが復興が目に見える形で進んでいることを表している。
 三陸鉄道は現在運休している南リアス線吉浜~釜石間(15㎞)を4月5日、北リアス線小本~田野畑間(10.5㎞)は同6日に運転を再開、これにより震災から3年余にして全線再開となる。これにあわせ、北リアス線で使用する新お座敷車両と南リアス線の新レトロ車両含め新車両5両を導入。地域活性化につなげる。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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