2016/10/19

【清水建設】「パースで思いを伝える」 AIP最優秀賞の里悦子氏と渡邉美土里氏に聞く


 米国の世界的な建築イラストレーション・コンペティション「AIP(アーキテクチャー・パースペクティブ)」で、清水建設設計本部プレゼーテンションセンターの里悦子氏が最優秀賞を受賞した。昨年の第30回大会でも同センターの渡邉美土里氏が最優秀賞を受賞しており、清水建設は2年連続で最優秀賞を獲得した。画像は里悦子氏の『Tokyo Alley』

里 悦子氏
今回、最優秀賞を受賞した里氏の『Tokyo Alley』は東京の路地から空を見上げた風景を描いた作品で、建築の外観パースが中心の同コンペの応募作の中では意表を突く優れたアングルが高い評価を受けた。ビルの谷間から見える空の形にこだわり、配管の位置やビルのデザインをつくり込んだ。「ネコやアンテナなど細部に特徴を持たせ、1枚の絵に多くのストーリーを盛り込んだ。解釈の幅を広げ、狭いながら表情のある姿を目指した」という。

『Study-02』(渡邉美土里氏) 

 沖縄の美ら海水族館を訪れた経験を元にしたという前回の最優秀賞『Study-02』は、巨大な水槽を中心に据え、美しい水の波紋を描き出した。多くの応募作が横や斜めからの視点で建築の動きや迫力を表現する中では異色の作品で、「子どもを中心に置いた真っ正面のアングルで勝負したことで、水面の魅力という表現したかった意図がシンプルに伝わったのだと思う」と渡邉氏は振り返る。

渡邉美土里氏

 2人が所属するプレゼーテンションセンターはパース制作や模型づくり、CG(コンピューター・グラフィックス)アニメーションなどを担当しており、作品制作はその合間を縫って進めてきた。こうした賞は「自分の仕事への信頼と励みになる」と口をそろえる。そんな2人が共通しているのは「設計者の意図を伝えるパースづくり」に賭けた強い思いだ。里氏は「パースを正確、正しく、美しく見せることがわれわれの業務だ。その思いが絵の中で示せたのだと思う」と語り、渡邉氏も「設計者の意図を読み取り、それをお客さまに示すことがパースづくりに必要だ。コンペではその能力を評価してもらえたのだと思う」と喜びを語る。
 パースづくりは表舞台に立つ機会は少なく、顧客から直接的な評価を得る機会が少ない業務といわれる。しかし2人が信念に基づく仕事を重ねてきた結果は、国際コンペ最優秀賞の連続受賞という結果につながっている。
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