2014/01/17

【大学整備最前線】125周年事業で3施設整備へ 関西学院

125周年記念講堂
2014年9月に創立125周年を迎える関西学院は、記念建設事業として125周年記念講堂などの施設整備を進めている。主力の西宮上ケ原キャンパス(兵庫県西宮市)は、もともと米国出身の建築家であるウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計、関西屈指の美しいキャンパスとしても知られる。吉松千博施設部長は「景観や建物は関西学院の財産。これを守り続けることが学院のポリシーにもつながる」と強調する。


 関西学院が記念事業を行うのは111周年だった00年以来となり、建設事業について「5年ほど前から事業委員会の中の建設実行委員会で検討を進めてきた」。50億円を目標に募金を実施、その資金を使って125周年記念講堂と高等部体育館の新設、大学体育館の改修を実施する。これら3施設の事業費は合計で45-47億円を見込む。

◇主体は記念講堂

 3施設で主体となるのは、125周年記念講堂。学校行事や同窓会・後援会の行事などで使う中央講堂を建て替える。メーンホールのほか、在校生などの利用ゾーンを設け、生活環境の改善と教育・研究活動の支援につなげる。現在は建設中で、設計は日本設計、施工は竹中工務店が担当、14年8月の竣工を目指している。体育館の新設・改修工事は、「これまで総合体育館として大学と高校が共同で使ってきたが、スポーツ環境を充実するために、高等部体育館を新設し、既存の総合体育館を大学専用の体育館に改修する」
 延べ床面積が約5100㎡の高等部体育館は、14年1月に着工し、15年2月の竣工を予定。引き続き耐震改修を含めて大学体育館の改修工事に着手する。15年度中の完成を見込んでいる。「これまでグラウンドの人工芝化を進めてきたが、体育館の改修はほとんどしてこなかった」ことから拡充を進める。

◇スパニッシュ・スタイル

 キャンパス内の建物は、白いスタッコ壁と赤い瓦が特徴のスパニッシュ・スタイルで統一されている。施設部の橋本恭雄課長は「左右対称に加えて、ヴォーリズは奥行き感を重視した構成が特徴。中央芝生の奥にシンボルの時計台があり、それを取り囲むように低層の施設を配置している。視覚的な演出に優れている」と説明する。後からできた神戸三田キャンパス(兵庫県三田市)でもスパニッシュ・スタイルを踏襲し、「関学らしさであるヴォーリズ建築の流れを守ってきた」
 125周年記念建設事業では、募金対象の3施設のほか、神戸三田キャンパスでKSCコモンズ(設計=日本設計、施工=戸田建設)が完成したほか、西宮上ケ原キャンパスでは社会学部の建て替えを伴う全学ラウンジ棟の建設は、設計を日本設計、竹中工務店の施工で工事が進む。

◇3設計事務所でコンペ

 これまでも設計は日本設計が担当することが多かった。「125周年記念講堂では3設計事務所でコンペを実施した。建物をいかに低く見せるかがポイントだった。日本設計は学院の歴史を踏まえた提案で、ほぼ満点の内容だった」。施工者については「3社以上で見積もり合わせをして決めることが多い」。設計施工一括で発注した高等部体育館は提案と金額で決める事業コンペを実施し、ゼネコン3社の中から大林組の提案を採用した。
 今後のキャンパス整備の課題として最初に挙げるのが、建設場所の空間的な不足。「西宮上ケ原キャンパスは既に限界に近く、神戸三田キャンパスもかなり厳しくなっている。新しく建設する場合は既存の建物を壊して建て替える必要がある」。西宮上ケ原キャンパスは周囲に住宅が広がり、新たな敷地を取得することも難しい。創立125周年記念建設事業以降のキャンパス整備について、現時点では西宮聖和キャンパス(西宮市)で新号棟として1棟を整備することが決まっている。
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