2016/08/26

【オーサカ建築】第2回「オンリーワン」の異彩放つ飲食店建築 オーナーの思いを表現


 大阪のまちを構成するのは、決して歴史的に価値の高い建築ばかりではない。建築史的にそれほど高い評価を受けるわけではないが、ほかにはない「オンリーワン」の異彩、存在感を放つ飲食店などの商業建築もまた、大都市としての多様性を構成する要素の1つを担っている。写真はなんばの「純喫茶アメリカン」

 たとえば喫茶店といえば、いまではスターバックスなどのチェーン店が主流だが、昭和の高度経済成長期に大流行した純喫茶の建築を改めてよく見てみると、すごく凝ったインテリアのものが多く、デザインも趣がある。
 なんばにある「純喫茶アメリカン」は内装が非常に凝っていて、ぜいたくな空間をつくりあげている。大阪駅前第一ビル地下1階に入居する「喫茶マヅラ」は、「こういう空間の店を持ちたい」という社長の強い思い入れを見事に実現させている。また、北新地やなんばなどの飲み屋街を昼間に歩いてみても、ユニークな建物がたくさん潜んでいることに気付かされる。

「喫茶マヅラ」

 こういったインテリアは有名な建築家が設計したわけでも、大手ゼネコンが建てたものでもないが、設立したオーナーの思いがストレートに表れている。そんな側面から建築を見ても面白いだろう。
(解説:高岡 伸一氏)
 *1 純喫茶アメリカン(大阪市中央区道頓堀1)=1946年開業。現在の店舗ビルは63年完成。壁面レリーフや2階に上がる大きな曲線を描く階段など豪華でモダンな内装が特徴的。設計は富士工務店が担当。
 *2 喫茶マヅラ(北区梅田1、大阪駅前第1ビル地下1階)=70年開店。オーナーの発案による「宇宙」をイメージした空間デザインは開店当時から今も変わっていない。設計は祖川尚彦建築設計事務所。
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