2012/10/26

【現場最前線】重量610tの橋桁を一括撤去! 西日本高速の有野越橋

橋脚撤去作業中
西日本高速道路会社は24日夜から25日早朝にかけて、中国自動車道に架かる既存橋梁・有野越橋の撤去工事を行い、その現場を公開した=写真。この工事は、大林組が施工する新名神高速道路神戸ジャンクション工事の一部で、中国自動車道を夜間通行止めにして実施。限られた時間での失敗の許されない工事となったが、綿密な工程管理と優れた技術力を発揮し、橋梁の切断と撤去を含むすべての作業を無事終了させた。

切断した橋脚をジャッキアップ
有野越橋は中国道に架かっているオーバーブリッジ。将来は新名神高速道路も接続する中国道、山陽自動車道の神戸ジャンクションに近接している。現在は使われていないが、新名神の建設時に支障となるため、15日から27日まで行われている中国道集中工事期間中に撤去工事を行うことになった。
 工事では、橋梁を運搬するトランスポーターを有野越橋の下にセットしてから、ワイヤーソーで橋桁を切断。中国道の車線にかかる中央部をトランスポーターで運搬する。この日の作業では、残った端部は防護柵を設けて後日撤去する。橋梁は全長48・9mで、幅員は10m。うち切断・撤去する部分の延長は30・9mで、重量は610t。
トランスポーターで運搬する
トランスポーターは上組の「ユニットキャリア モデルII」を使用。3軸車、4軸車、6軸車のキャリアとエンジン、キャブがすべてユニット化されているため、運搬物の重量などに合わせて自由に編成できるのが特徴で、今回は6軸車2台と4軸車4台を組み合わせた。
 作業は、24日午後9時に中国自動車道を通行止めにした後、仮設防護柵や中央分離帯、有野越橋にある標識の撤去作業が順次行われた。続いて、コンパネとポリエチレン製シートで路面を養生し、トランスポーターを有野越橋の桁下に移動させ、桁とトランスポーターのジャッキをセット。
 25日午前1時ごろからワイヤーソー14台を使った桁の切断作業に入り、切断後はトランスポーターで中央部だけをジャッキアップし、そのまま仮置ヤードに移動させていった。途中、ジャッキのセットなどでやや手間取る場面もあったが、朝6時にはすべての作業を終えた。
 神戸ジャンクション工事の概要は、長さ625m(本線部)、切盛土工82万8000m3、橋梁下部工21基、橋梁上部工4000㎡。工期は10年3月から16年1月まで。工事場所は神戸市北区有野町二郎~八多町中。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年10月26日 13面

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