2015/02/14

【働きかた】鹿島初の女性所長誕生! 東京外環地中拡幅準備事務所・須田久美子さん

1月に、鹿島で初めての女性所長が誕生した。東京外環の地中拡幅技術の精査や、その後の工事受注に直結する事務所での重責を担う。首都圏中央連絡自動車道路(圏央道)、中央環状品川線と、首都圏の重要交通網に関する現場で副所長を経験、今回、ついに所長に就いた。須田さんは、1982年に土木の総合職として鹿島に入社。技術研究所と設計部門を経験しながらも「現場に出たい」という思いを持ち続けて25年、ようやく2007年に東京・高尾山麓で行われていた圏央道裏高尾橋の橋梁現場で副所長としてデビューした。着任時の「自分の好きなことをやれ」と言われた言葉がいまも心に残っている。

 裏高尾橋工事ではケーソンも使った。昔はケーソンに女性が入ることは許されていなかったが、そのときの現場の人たちからは「工事の立ち上げからいる人にそんなことは言えません」と、反対もされず、ケーソンに潜った。その裏高尾の現場所長と、中央環状品川線の五反田出入口の所長が同期だったことがきっかけになり、09年に五反田出入口の現場へ。当時、五反田の現場では、発注者から工期短縮するための提案を求められていた。
 「うちに変わった人間がいるから」と五反田の所長あてに紹介された須田さんは、現場を歩くうちに、裏高尾橋で使用していたSD685という高強度鉄筋を使うことを思いつく。
 技研では20年以上、構造、コンクリート材料などの研究に従事し、研究者間のネットワークも築いた。こうした経験から思いついたのは、「この鉄筋ならば、過密配筋をなくして施工性が上がる」というものだった。須田さんの提案は採用され、1カ月後に五反田出入口の現場兼務も命じられた。14年末まで、この現場で工事を見守った。そしてことし、鹿島初の女性所長となった東京外環地中拡幅準備事務所は、外環の東名~東北道をつなぐ話題の区間で、技術開発と工事受注を担う。東名との接続部と、中央道南の部分の地中拡幅工法を開発・証明するための事務所だ。
 実験的な検証も行うために技術研究所に事務所を構えている。20年在籍した古巣で、事務所と技研、本社、支店が結集して鹿島の総合力を生みだす。実績が全くない工事への挑戦は「この仕事はおもしろそうだといえる人しかできない」と思っている。
 一方、「土木技術者女性の会」でも活動している。会は一般社団法人となり、須田さんは人材育成担当の運営委員を担っている。会は、土木に興味を持つ女性の就職支援などを通して活動しており、昨年、内閣府から「女性のチャレンジ賞」も受賞した。現在、女性活用は、多方面で広く取り上げられるようになった。「話題づくりに終わらせず、将来を担う人材をどう育てていくのかという取り組みのきっかけになってくれれば」と願っている。
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