建設産業界の日刊全国紙「建設通信新聞」

このブログの記事も、建設通信新聞が基本となっています。日本有数の建設専門クオリティーペーパーです。ぜひニュースサイトを訪ねてみて下さい。

まったく新しい建設情報サイト 「建設通信新聞Digital」

これまでの常識を覆す。建設関連情報統合サイトです。ニュースの全量配信、電子版、行政資料キャビネット、トップインタビューなど盛りだくさんの内容が詰まっています。

建設通信新聞社Facebook

言わずとしれたFacebook。ユーザー交流の場です。おたずね下さい。

建設通信新聞社発行の書籍群

建設通信新聞が発行している各種書籍です。『建設人ハンドブック2014年版 建築・土木界の時事解説』『建設業の安全衛生法令用語検索エンジン 用語の意味、適用条文、公示、告示、通達がわかる!』『建設業 社会保険未加入問題Q&A』などベストセラーも

建設工事の動きDigital

建設専門紙が本気でつくった工事データベース

2012/01/10

連載・コンピューティショナル・デザイン-2-

・海外では主流化

ビルバオ・グッゲンハイム美術館
 パラメトリック・デザインを一言で言えば「幾何学的なデザイン」となるが、実際に英国在住でイラク出身の建築家ザハ・ハディド(Zaha Hadid)、オランダのUNスタジオ代表ベン・ファン・ベルケル(Ben van Berkel)らを始め、国際的な建築家が積極的に取り入れている。
 そもそもパラメトリック・デザインは、カナダ・トロント出身の建築家フランク・O・ゲーリー(Frank Owen Gehry)氏が、脱構築主義建築の具現化を果たした「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」(1997年)にまでさかのぼることができる。
 平らな面が一切ないといわれるこの建築を、ゲーリー氏がCADシステムを用いて構造計算し、CADの利点をうまく生かしたことが評価されてきた。
 パラメトリック・デザインは、個別の部材の変更が即座に全体へと反映されるなど、まさにコンピューターの利点を最大限生かした設計手法だ。当初は航空機や産業機械の金型製造などで多用されてきたコンピューターが、現在では建築の世界で大きく花開こうとしている。

・無限の比較を可能に
GrassHopperによるパラメトリック・デザイン
 パラメータやスクリプトを使うと、理論上では無限ともいえる形状比較が可能になる。ゲーリー氏らは、コンピューターの性能がいまほどよくないころ、木と紙の模型などを使って自分たちが最良と思える形を模索した。構造などの裏付けは、意匠が固まってから検討していた。しかしその後、航空宇宙分野の設計用ソフト「CATIA」を使い始め、現在では自らが建築向けのCADを「Digital Project」という製品へと昇華させた。この流れは、現在のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)という概念へと進んでいく。
 例えば、意匠面で形状比較ができれば、モダニズム建築のような直線的でシンプルなものから、ぐにゃぐにゃした複雑な意匠までを比較して最適解を得ることができる。
 また自然な換気を導入するために、壁面の出窓形状や配置を空力学的データから導き出すこともできる。日照を優先するなら、建設地の緯度と経度から年間の日照到来方向を計算して、最適な太陽電池の配置や屋根の形状をはじき出せる。
 一方、現在ではカーテンウオールや建築部材の製作にもCNC(コンピューター数値制御)の加工が使われるようになり、数百通りの形状を持つ部材を製作することが可能になりつつある。たとえカーテンウオールが数百通りの異なった形になっても、製作ラインでCNC加工機を使えば、以前ほど高いコストは必要なくなりつつある。
 3次元CADは、すでに設計の補助ツールというよりも、あらゆる分野の合理性を実現するためになくてはならないものとなっている。今後はアルゴリズミック・デザインへの融合や、建築だけでなく環境分野への応用なども予想される。

原発規制を強化、40年運転制限制を導入/細野担当相

 細野豪志原発事故担当相=写真=は、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた原子力安全規制の強化策を発表した。最新の安全技術を既存原発に反映させることを義務付ける「バックフィット制度」や、40年が経過した原発は原則として停止する「40年運転制限制」の導入などが柱。政府は原子力基本法、原子炉等規制法、電気事業法など関連法改正案を今月末までに閣議決定し、通常国会に改正法案を提出する。
 安全規制強化策によると、事故の教訓を踏まえ、これまで事業者の自主的取り組みとされてきた電源喪失などシビアアクシデント(過酷事故)対策への対応を法令規制の対象とした。また、原子炉が建設された後に新たな安全基準ができても、法的拘束力がなかったことを踏まえ、今後は、既にある原発も常に最新の安全技術や知識を反映させるよう事業者に義務付ける。
 運転開始から40年以上経過した高経年化(老朽化)原発は、認可を原則として取り消し停止する。ただ、延長申請があった場合に、経年劣化の評価や安全を維持できる技術的能力などを審査した上で、例外的に運転継続を認めるとした。
 細野担当相は、会見で「安全あっての原子力利用という哲学を徹底した」と強調した。
 関連法の改正で環境省の下に新たに設置する「原子力安全庁(仮称)」に強力な権限を持たせ、安全規制に実効性を持たせる。

「縁の下の活動」を北陸整備局が動画配信開始

 国土交通省北陸地方整備局が、広報活動の一環で動画配信の試行を始めた。「災害復旧など、普段目にすることができない現場の様子や建設産業界の縁の下の活動を国民に広く知っていただく」(前川秀和局長)のが狙いだ。
 動画は同局のホームページhttp://www.hrr.mlit.go.jp/movie/hyousi.html)で閲覧できる。年明けにアップされた第1号となる映像は、昨年7月の新潟・福島豪雨で落橋した国道252号二本木橋の仮橋架設工事で、被災状況や着工から開通式までの施工経過を地域住民の声も交え、約13分にわたって伝えている。
 同局では「動画は臨場感がある上、国民の間でも情報入手の手段として普及している」として、積極的な広報展開のツールとして今後も内容を充実させながら活用していく考えだ。地方整備局のホームページで動画配信するのは今回が初めてという。

2012/01/06

吉本興業 なんばグランド花月ビルを「お直し」

 吉本興業が「なんばグランド花月ビルお直しプロジェクト」を進めている。総工費約20億円を投じ、延べ4,883㎡を改装する。建築デザインはアーキタイプの荒木信雄氏。大成建設の施工で、2011年10月に着工しており、4月8日にリニューアルオープンする。
 リニューアルのコンセプトは「伝統と革新」。リニューアルにあわせて、ビル名称も『なんばグランド花月ビル』に改めた。改装面積は地下1階887㎡、地上1階2,061㎡、地上2階1,935㎡の計4,883㎡。
 ビルのファサードでは、日本のエンターテインメントの伝統をクラシックモダンな和風デザインで表現する。エレベーターを設置するほか、チケットセンターやロビー、トイレ・座席・舞台装置などを刷新する。また、新たに16店舗を設け、観劇だけでなく、食事や買い物なども楽しめるようにする。
 4月1日に創業100周年を迎える同社が、4日に大阪市内で開いた記者会見で明らかにした。創業100周年のスローガンは「大阪おもろナーレ」で、同プロジェクトを含め、15のプロジェクトを展開する。
 なんばグランド花月は1987年の竣工で、規模は4階建て延べ1万1,226㎡。設計は村野・森建築事務所で担当。施工は大成建設。所在地は大阪市中央区難波千日前11-6。

篠田新潟市長 州構想を推進

 新潟市は、新潟県との共同で実現を目指す『新潟州』について、両機関の担当職員を集めた(仮称)新潟拠点化推進本部を近く設置する。篠田昭市長が5日に開いた年頭会見で明らかにした。
 同本部は、新潟州構想検討委員会で検討している実現への課題について、具体的な方向性を打ち出すのが目的。連携を図りながら協議を進めるため、調整が終わった部分から委員会に報告していく。設置時期は30日前後を予定している。
 篠田市長は「今後、具体的な検討に入っていくが、スケジュールの変更は考えていない」と、今夏をめどに構想をまとめる。

連載・コンピューティショナル・デザイン-1-

最近国内でも、「コンピューティショナル・デザイン」という言葉が聞かれるようになってきた。ドラフティング中心の2次元CADに代わり、3次元CADを使いこなせば従来の概念を超えた設計も可能になってきている。国際的な組織事務所やアトリエなどで研究され、実際の建築への導入を始めているコンピューティショナル・デザインやパラメトリック・デザインの研究・応用・実践例を始め、これからの潮流ついても探ってみる。

パラメトリック・デザインによる高層ビル
◆パラメータで設計
 「パラメトリック・デザイン」とは、寸法や角度、部材の個数を生成するために必要な要素を「パラメータ」としてプログラムに組み込み、このパラメータをスクリプトでいろいろと変更して無限の構成要素を生み出すのが特徴だ。
 日本の伝統木造建築の世界に「木割」という言葉がある。これは、木造建築を設計するときに、構成部材の寸法やその割合またはそれを決定する方式のことで、古来から大工の家系ごとにセオリーとして伝えられてきた。
 垂木の断面をもとに、柱の断面寸法、柱間、天井高との割合を決めていくが、この割合によって建築が与える印象は一変する。実はこの木割こそがパラメトリック・デザインそのものだ。
 重厚さや瀟洒さを融合させながら、万人が共通して高い評価を与える美を実現する。この微妙なエリアを見つけ出すことが、木割でありパラメトリック・デザインだという見方がある。
 CADの概念が生まれて50年以上が経過しているが、CADをパラメータで動かすことで、コンピューター上に無限ともいえるさまざまなデザインを描き出し、その建築に求められている機能を最高に引き出すことが可能になる。

コペンハーゲンで開かれたsgの様子
◆3次元CADの浸透
 現在国内で多く使用されている2次元のCADは、ドラフターといわれる製図版をコンピューターに置き換えたもので、製図をすることが第一義になっている。しかし最近浸透を始めている3次元CADは、CADの中でいったん建物や構造物をつくりあげてしまい、そのバーチャルな建物から必要な部分の図面を好きなように引っ張り出して利用することができる。
 「部分の平面図が必要になる→その部分をその都度CADで製図」という流れではなく、「バーチャルな建築物をCAD内に構築→必要な図面を自動書き出し」となりアプローチがまったく逆の概念となる。これからのCADに求められるのは、作画や製図機能ではなく、モデリングの自由度向上とデザインの具現化機能となる。
 海外を中心に多くのユーザーを獲得している、モデリングソフト「Rhinoceros」とプラグインの「Grasshopper」は、モデリングのプロセスを視覚化し、数値やパラメーターを変更してモデルを自在に変化させる。
 米国ベントレー・システムズも同様に、同社のCAD「マイクロステーション」と連携する「ジェネレーティブ・コンポーネンツ(GC)」を提供している。GCは無償でダウンロードも可能だ。
 これらのツールは、英国の組織事務所フォスターアンドパートナーズ、構造事務所ARUPなどが積極的に実設計に活用している。
 ベントレーでは毎年パラメトリック・デザインに関するカンファレンス「スマート・ジオメトリー(sg)」を開いており、昨年4月にもデンマークのコペンハーゲンで開いた。テーマは「building the invisible(見えないものをつくる)」というもので、全世界から300人を超える建築関係者らが参集、パラメトリック・デザインについての意見交換や実験的な取り組みを展開している。

2012/01/05

【速報】メタボリズム代表する建築家、菊竹清訓氏が死去

 建築家の菊竹清訓(きくたけ・きよのり)氏が昨年12月26日に死去していたことがわかった。肺炎による心不全のため、午後4時57分に東京都中央区の病院で死去した。83歳。
 菊竹氏は、1960年代の高度成長期時代に広がった建築運動「メタボリズム」提唱者の一人で、槇文彦氏、故黒川紀章氏らと、多くのメタボリズム構想を残した。
 福岡県出身。自宅は東京都文京区大塚1の10の1。葬儀は近親者で済ませた。後日、お別れの会を開く予定。
 早大建築学科卒。主な作品は、沖縄海洋博のアクアポリス、江戸東京博物館、九州国立博物館など。愛知万博の総合プロデューサーも務めた。日本建築士会連合会名誉会長。国際建築アカデミー理事。
 2010年の誕生パーティーでは、「海上都市などのウオーターフロント開発について触れ、「国土の時代は終わり、これからは海洋の時代だ。市民が海辺に出られるような海岸線を整備していく必要がある」などと独自の切り口の発言も残していた。
 

仙台空港に大型コンセッション初導入か/本格復興へ民間活力

東日本大震災で被災した仙台空港を、民間の力で活性化させようという動きが表面化してきた。宮城県は、改正PFI法に盛り込まれたコンセッション(公共施設等運営権)を導入し、民間ノウハウで戦略的な空港経営を実現したい考えだ。空港周辺の地域開発も進め、国内外からの集客や雇用創出、地域活性化と本格復興を目指す。コンセッションは当初、関西国際空港と大阪空港の経営統合に導入されると目されていたが、仙台空港の方が先に動き出しそうだ。
 昨年12月12日、宮城県の村井嘉浩知事は東京・霞が関を訪れ、仙台空港の民営化などを含む要望書を前田武志国土交通相に提出した。民間の資金やノウハウを活用して仙台空港ビル、仙台エアカーゴターミナル、仙台空港鉄道の第3セクター3社を一体的に運営し、空港周辺地域の開発も進める構想だ。民間に仙台空港が持つ潜在能力をフルに引き出してもらう考え。知事は、国に対して積極的な協力を求め、国交相もこれに応じた。

浸水した仙台空港の到着便表示板
◆商社など複数の企業に事前相談
 県が民営化を進める狙いは、発着料の引き下げによる便数の増加だ。そのためには空港単独ではなく周辺開発なども進め、国内外から人を呼び込んで地域を活性化する必要があると判断した。空港アクセス鉄道の利用客も増えると見込む。
 13日に村井知事は宮城県庁で記者会見し、商社など複数の企業に事前相談した結果、事業化に向けて好感触を得たことや、コンサルタントからアドバイスを受けていることを明らかにした。「民間企業が関心を持つかどうか、事前にヒアリングする必要があった。そのまま(相談した企業に)お任せするという意味ではない」と知事は釈明した。
 ある企業の幹部は「当社に相談はなかった。水面下で特定の企業だけに話を持ちかけるのは不公平。正々堂々と意向調査すべきだ。結果として官製談合にならないよう祈りたい」と皮肉たっぷり。
 この企業も含め、既にさまざまな企業が仙台空港のコンセッションに熱い視線を送っている。

◆赤字体質からの脱却が課題
 復興のシンボルとして、また初の大型コンセッションとしての期待も高まる仙台空港の民営化だが、不安材料もある。羽田空港のPFIなどと決定的に異なるのは、マイナスからのスタートという点だ。仙台空港は震災から早期復旧を果たしたものの、利用客は震災前の水準に戻らず、減便や機材の小型化などを余儀なくされている。
 県は、3セク3社の一体的な運営を求めているが、仙台空港鉄道、仙台エアカーゴターミナルは、赤字体質からの脱却が大きな課題となる。
 12日に前田国交相との会談を終えた村井知事は、取り囲んだ記者団に対して「黒字の空港ビルだけの民営化ならお付き合いできない」と強調した。
 なかでも仙台空港鉄道は、「今後、数年内に経営破たんする」とささやかれていた中、震災で約33億円の被害を受けた。このため県は10月、鉄道会社が所有する土地と橋脚を買い取る「上下分離」を実施し、鉄道側はこの売却代金を借入金の返済に充てた。現在、鉄道会社は身軽になったが、その分の負担は県に重くのしかかっている。知事の発言の背景にはこうした経緯もある。
 知事は霞が関で「空港の周辺開発によって、全体を黒字体質にする必要がある」とも述べている。この点についてある企業は「周辺開発への依存度が高すぎるように見える。果たして開発事業で“一発逆転”となるかどうか。万一、開発が失敗すれば負の連鎖を招く」とし、静観する構えだ。まだ事業の枠組みは見えていない段階だが、県の構想には一定のリスクも潜んでいる。

昨年6月の復旧工事の様子
◆リスク増も経営の自由度高まる
 定例会見で、周辺開発構想の内容を質問された知事は、「まったくの白紙だが」と前置きした上で、「ホテルやアミューズメント施設なども考えられる。集客性に期待したい」と話した。一方、カジノ構想については、「事前相談した企業から『カジノをやるなら手を引く』と言われた。採算がとれず、協力会社も限定される。条件としてカジノはやらない」と明言した。
 開発の手法としては「今後、民間投資を国内外から呼び込む必要があり、新会社が誘致してほしい」と国交省内で述べ、民間のマーケティングとイノベーションに委ねる考えを示している。
 民営化に周辺開発を含めることでリスクは増加するものの、民間による経営の自由度は飛躍的に高まる。開発の条件や規模にもよるが、そこには官側が事業企画するPFIとは比べものにならないダイナミズムが潜んでいる。民間資金が求めるリターンはもちろん、本格復興という期待にも応えられる設計図をいかに描けるか、民間の知恵が試されようとしている。

JIA近畿の関西建築家新人賞・2月15日まで作品募集

 日本建築家協会近畿支部(JIA近畿、小島孜支部長)は、第7回関西建築家新人賞の応募作品募集を開始した。45歳未満の正会員を対象に、2012年2月15日まで受け付ける。3月に書類・現地審査し、4月上旬の受賞者決定を予定している。同月下旬の近畿支部総会で表彰する。
 審査対象となるのは、近畿2府4県で06年から今月末までの間に完成した建築作品1点。提出書類は申込書、図面・写真、建築概要、800字程度の設計趣旨など。登録費は1万円。
 審査委員長の出江寛氏(出江建築事務所)のほか、竹山聖京大准教授、宮本佳明氏(宮本佳明建築設計事務所)が審査する。
 同賞は、地域特性に対する配慮や作品の芸術性などの観点から総合的に判断し、将来性があると期待される建築家を表彰する。

復旧から復興へ前進の1年へ/東北各県の2012年展望

未曾有の大災害からの復旧・復興に向けて国は2011年度第3次補正予算と12年度当初予算案を合わせ約19兆円の事業費を計上。復興特区の申請手続きも始まる。東日本大震災の被災地は復旧から復興へと力強く歩み出している。特に大きな被害を受けた岩手、宮城、福島3県を中心に東北6県の2012年を展望する。

◆岩手県/直轄事業でけん引
 昨年12月26日に大槌町の復興計画が町議会で議決され、津波被害を受けた沿岸5市4町3村すべての復興計画が出そろった。災害査定は県土整備部所管公共土木施設が1686億0831万円(2338件)、農林水産部は922億6864万円(1714件)の査定を終えている。
 県は住宅の再建必要戸数を最大1万8000戸に設定。うち災害公営住宅は4000-5000戸で、初弾として釜石市内2カ所に計160戸の共同住宅建設を決めた。
 直轄事業ではリーディングプロジェクトに位置付けた復興道路・三陸沿岸道路と復興支援道路の宮古盛岡横断道路および東北横断道釜石秋田線に11年度第3次補正予算案で600億円余の事業費を計上。
 災害査定が完了した湾口防波堤の復旧費は釜石港が約490億円、大船渡港は約200億円と試算している。
 三陸鉄道南北リアス線は14年4月の運行再開を目指す。事業費は約110億円で、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が復旧事業を担当する。
 また、政府の国家戦略プロジェクト・環境未来都市構想に選定された釜石市と気仙広域連合(大船渡市と陸前高田市、住田町)は、ともに低炭素・省エネや地域資源を生かしたエコタウンの形成に向けて検討を本格化させる。

鉄骨だけになった南三陸町の防災対策庁舎

◆宮城県/民間アイデアを公募
 宮城県は沿岸8市7町に加えて、大崎市や登米市など内陸の4市も復興計画をまとめた。災害査定は土木部所管公共土木施設で8048億7100万円(6925件)が確定。農林水産関係被害額は調査中だが、県所管施設分93億1961万円を含め、全体被害額は約1兆2286億円としている。
 住宅の再建必要戸数は7万2000戸と試算。災害公営住宅は約2000億円を投じて15市町に計約1万2000戸を整備する。石巻市は1月中にも借上市営住宅事業者を公募する予定だ。県は医療再生計画で気仙沼市立と石巻市立、公立志津川(南三陸町)の3病院再建に約246億円の事業費を盛り込んだ。
 市や町の動きをみると、七ヶ浜町は被災した中学校や保育所の設計者選定に全国規模のプロポーザルを導入。名取市は閖上地区非居住区域ビジネスプラン、気仙沼市は魚町・南町地区のまちづくりコンペを予定するなど、民間のアイデアを募る動きが各地で広がりつつある。
 環境未来都市に選ばれた東松島市は全戸を賄うメガソーラー発電設備、岩沼市はがれきを再利用する千年希望の丘や、国際医療産業都市推進などの構想の具体化を図る。
 日本下水道事業団(JS)が仙台市から復旧事業を受託した南蒲生浄化センターは水処理施設改築事業費が約682億円。7月ごろまでに発注手続きを終える予定だ。
 東北大学は被災した工学研究科実験研究棟3棟の改築に加えて、レアメタル・グリーンイノベーション、メディカル・メガバンクの両研究拠点施設の設計を委託。国の12年度予算案には次世代情報通信プロジェクト研究拠点施設整備が盛り込まれた。
◆福島県/除染作業が本格化
 福島県は福島第一原子力発電所の事故に伴い半径20㌔圏内は全員避難を強いられている。復旧・復興に向けて、迅速かつ確実な除染作業により、生活環境を取り戻すことが全県を挙げた課題となっている。国の12年度予算案には除染対策費として約4500億円が計上されており、除染完了を目指す13年度までには1兆数千億円規模に膨らむとみられる。除染作業の実施に向けて南相馬市は3カ年で約400億円の事業規模を想定、大手ゼネコン26社を指名して業務の委託手続きを進めている。このほかの市町村も除染計画策定後に作業を本格化させる。
 復興計画は、新地町や相馬市、南相馬市、いわき市などの沿岸部に加え、福島市や須賀川市なども策定した。原発周辺で全員が避難している自治体も、帰還に向けて計画づくりを進めている。
 災害査定状況は、公共土木施設が約983億4000万円(3472件)、下水道・公園は175億3000万円(249カ所)、漁港は159億1400万円(138カ所)、農地・農業用施設は527億6900万円(1565件)となっている。
 被災地のうち、相馬市はメガソーラーなど再生可能エネルギー事業者、南相馬市は経済復興9分野の事業パートナーを公募するなど、意欲ある民間事業者との事業計画づくりを進める。
 災害公営住宅については、原発避難者も対象に必要戸数の調査を進めており、現時点で必要戸数は固まっていない。他の被災地に先駆けて災害復興公営住宅建設を進めてきた相馬市では3月中にも第1弾が完成する予定だ。
◆青森・秋田・山形/庁舎建設計画が加速
 青森県では、東日本大震災で津波被害を受けた八戸市など三八地域の漁港・港湾施設の災害復旧事業が本格化する。また、久しぶりの新規大規模事業となる県営屋内スケート場(八戸市)や、県総合運動公園内の各種体育施設の更新整備に向けた検討の動きが加速しそうだ。青森市は庁舎改築の基本計画づくりを進める。
 秋田県は05年ごろまで続いた平成の大合併を契機とする市や町の大規模プロジェクトが増えている。財源となる合併特例債の起債期限が5年間延長されたものの、東日本大震災を受け、秋田市を始め、湯沢市や能代市、仙北市などで防災拠点となる庁舎の改築が計画されている。
 山形県は風力や太陽光などの再生可能エネルギー導入を急いでいるほか、鶴岡病院改築、村山産業高校、最上小国川ダムの着工などが控えている。市町村では鶴岡市が加茂水族館の着工、新文化会館の設計委託などを行うほか、酒田市庁舎などの大規模事業も控えている。