2013/09/01

【現場の逸品】簡単に仮設タラップのステップ角を調整! 日工セックの「ラク2タラップ」

法面崩落防止工事では、このような仮設タラップも使われる
「価格は在来工法より少し高いが、使い勝手と安全面ではどこにも負けない」と、日工セック(千葉県野田市)の鎌田孝一社長は胸を張る。同社が1998年に開発したアルミ合金製傾斜自在階段『ラク2タラップ』は、新技術情報提供システム(NETIS)の12年度活用ランキングで1位を獲得した。09年に10位、10年に5位、11年に2位と着実に順位を上げ、頂点まで上り詰めた。


ステップは簡単に傾斜角度を調整できる
現場の作業用階段は、単管パイプとステップを組み合わせながら構築するが、いずれも鉄製で重い上、設置場所の傾斜に応じてステップの角度を均一に調整する手間もかかる。これをより簡単にできないかと開発した。技術開発課の内藤憲敬氏は「傾斜角に合わせてステップが均一に可動する仕組み。ユニット端部の引っかけフックを受けパイプに設置していくだけの手軽さが売り」と説明する。
 重さは、ユニット長さ2450mmのタイプで約25㌔。アルミ製であるため、単管パイプとステップで構成する従来工法に比べほぼ半減した。傾斜も15度から70度までに対応する。鎌田社長は「これほど簡単に、迅速に、そして安全に設置できる傾斜路(タラップ)は他にない。ラク(楽)さを強調する意味で、商品名をラクの2乗とした」と胸を張る。


◇法面崩落防止工事にも威力
 活用される現場は、多種多様だ。国土交通省の直轄事業を中心に土木工事だけではなく、民間の建築工事でも幅広く愛用されている。特に法面の崩落防止工事では作業場までの道を切りひらくように設置され、安全な作業環境の構築にはなくてはならない存在になっている。「足元を守る商品なので目立たないが、あらゆる用途でさまざまな使われ方をしている」(鎌田社長)。
 最近は、工事現場以外の場面に使われるケースも目立ち始めた。NETISの震災復旧・復興支援技術に登録する中で「避難路」としての使われ方も拡大している。東日本大震災では、三陸鉄道の仮設避難階段など復旧工事にも大活躍した。「設置の手軽さに加え、腐食に強いアルミ製の特徴が評価され、本設扱いの検査路に使われるケースも出てきた」(内藤氏)という。砂防ダムの点検通路として採用されたことを機に、建設コンサルタントや地方自治体からの問い合わせも増加中だ。
 仮設機材メーカーとして、足場や単管パイプなど在来工法を軸に商売を進めてきた同社だが、ラク2タラップの販売を機に商品開発にも力を入れている。鎌田社長は「仮設機材はすぐに売れるような商材ではない。現場で試しに使ってもらい、それが徐々に広がっていく。ヒットするまでに時間がかかるだけに、現場の声に耳を傾け、ともに商品をつくり上げていく意識が欠かせない」と強調する。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年8月21日


0 コメント :

コメントを投稿