2012/09/12

3D-CAD内を歩き回るツール エイ・ユーエヌの「aun Walker」

3Dモデル内をウオークスルーできる
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の普及拡大を背景に、3次元データのシステム連携をサポートするソフトベンダーとして急成長を見せるエイ・ユーエヌ(本社・東京都新宿区、内公二郎社長)。7月に発売した3次元モデルのウォークスルーツール「aun Walker」は設計者や施工者、さらには専門工事業まで幅広い分野で活用され始めている。

 「BIMの建築空間を誰もが自由に体感できることに、ユーザーが共感している」とは、同社営業部の前田伸之セールス・ディレクター。このツールは、3次元CADで作成したモデルデータやCG(コンピューター・グラフィックス)データを、手持ちのパソコンで手軽に閲覧できる優れモノだ。無償のビューアを使えば、施主が自ら設計プランの中を歩き回り、図面では分かりにくい詳細な部分まで確認できる。
 特筆すべきは、主要なBIMソフトの3次元ファイルフォーマット形式に対応している点だ。現時点ではオートデスク「fbx」、グーグル・スケッチアップ「SKP」のほか、グラフィソフトのArchiCAD用プラグインで描き出す「a3d」にも対応している。

◇新宿労働総合庁舎でも活用

 国土交通省がBIM導入の試行プロジェクトとして指定している新宿労働総合庁舎の建設現場でも、施工者の東洋建設が自主的に関係者との情報共有ツールとして活用している。松本大石所長は「現場の打ち合わせ用に取り入れてみたが、協力会社とのやり取りだけでなく、現場見学の説明ツールとしても有効に機能している」と強調する。
 別のユーザーは、施主に対する建築プランの確認ツールとして使っている。仕上げの色味合わせには難しいものの、手軽に空間検証が行える点が受け入れられている。データを渡しておけばCADスキルがなくても自在にモデルを操れるため、営業担当者に持たせている企業もある。
 価格は14万円。既にゼネコン、設計事務所、サブコンなど幅広い層に活用されているという。前田ディレクターは「BIM導入の建設プロジェクトが増えているが、建設現場の担当レベルではCADを使って3次元モデルを自由に操ることは難しいだけに、このソフトの手軽さが評価されているのではないか」と考えている。
 同社では、BIMソフトの共通フォーマットとして普及している「IFCファイル」を統合しやすくするツールの開発も進めている。BIMプロジェクトの増加に伴い、さまざまなソフトやファイル形式が存在し、それをどう連携させるかが課題になっている。前田氏は「BIMのつなぎ役となるようなソフト開発を今後も積極的に進めていく」と話す。
建設通信新聞 2012年9月12日12面

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