2012/09/18

ゼネコンの東急建設がパプリカ生産に参入! 10年で80億目指す

導入予定の施設
東急建設は植物工場ビジネスに参入する。初弾プロジェクトとして、茨城県美浦村にパプリカの大型栽培工場を建設し、生産・販売事業を展開する。パプリカ生産の実績が豊富なリッチフィールドと共同で、東急建設が90%出資する事業会社を設立。全国規模のゼネコンが主体となり、野菜栽培事業に乗り出すのは初めてという。国内建設市場が縮小する中、新たな収益基盤に育てる。生産物の販売や事業コンサルティング、施設の設計・施工などを含め、今後10年間で累計80億円の売上げ確保を目指す。
 東急建設は、増加傾向にある耕作放棄地などを有効活用するソリューションの一つとして検証を重ね、市場性や収益性が見込め、地域の活性化や雇用創出にも役立つと判断し、参入を決めた。野菜工場ビジネスの市場規模は15年に310億円、20年に640億円まで成長するとの推計もある。
 第1弾となるパプリカの周年栽培に当たり、吉田良弘ソリューション事業部長が社長を務める「リッチフィールド美浦」を立ち上げた。20年間借地する敷地2・6haに、ガラスハウスとしては日本最大規模となる2万0640㎡の園芸用ガラス温室を建設。パプリカ生産が盛んなオランダ製の資機材や管理システムなどを導入する。
 9月から施設整備を始め、13年6月の完成・試運転、7月の生産開始を予定している。11月から収穫に入り初年度は年間400t、売上高2億円を見込む。
 東急建設は「ゼネコンの豊富な情報量やマネジメント能力を強み」(吉田部長)に、用地の確保から生産施設の企画・設計・施工・維持管理、農産物の生産・販売まで、植物工場ビジネスをトータルに手掛ける。当面は未利用地の保有者などへのコンサルティングが中心になるが、将来的には「トマトやイチゴなどを生産・販売することも考えられる」(同)という。
 また、津波被害で、いまだに作付できない農地が多数存在する岩手、宮城、福島3県の復興ソリューションとしても活用できるとし、実際に「野菜工場ビジネスをやりたいとの話は複数きている」(同)と手応えを感じている。
 農地に施設を設けるには農地法に関する手続きなど、通常の建設工事とは異なるノウハウが必要になる。住宅や商業施設を建てるには、時間がかかる農地転用手続きを要するが、農地のままで設置できる植物工場は、早く事業化できるメリットもある。
建設通信新聞 2012年9月18日1面

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