2012/09/25

10月1日にグランドオープン 大正期の姿に戻ったJR東京駅丸の内駅舎

東日本旅客鉄道(JR東日本)は24日、鹿島・清水建設・鉄建JVの施工で約5年の歳月をかけて保存・復原工事を進めてきた東京駅丸の内駅舎を公開した。約100年もの間、時代を超えて親しまれてきた名建築による世紀の大事業だけに、内覧会には約300人もの報道陣が駆けつけた。丸の内の高層ビル群の中にあってひときわ威容を誇る中心的存在で、国指定の重要文化財でもある赤レンガ駅舎は、創建当時の姿で10月1日にグランドオープンする。
 明治建築界の大御所、辰野金吾が設計した丸の内駅舎は、1914(大正3)年に創建。赤レンガのその堂々たる姿で多くの人々に愛されてきたが、45(昭和20)年の東京大空襲でシンボルだった南北のドームや屋根・内装を焼失。戦後、3階建ての駅舎を2階建て駅舎として復興した。
 今回の工事では、駅、ホテル、ギャラリーの機能向上の観点から2層の地下躯体を新設するとともに、地下躯体上部にアイソレータ約350台とオイルダンパー約160台の免震装置を設置し、巨大地震に耐えられるようにした。

大正期の東京駅
完成後の規模は、鉄骨レンガ・RC・S・SRC造地下2階地上3階一部4階建て延べ約4万3000㎡。戦災で失われた3階部分の外壁は戦後2階部分に移されていたイオニア式の柱頭を当初の3階部分に移設。花崗岩の柱頭飾りや銅の高欄部分はモックアップを用いてディテールや施工法を検証し、当時の意匠を復原した。ドーム内部の壁面の色も文献などを参考に再現。天井付近にあった干支(えと)のレリーフや2mを超える大きさの鷲の彫刻などの造形も見事に甦らせた。
 新装開業する東京ステーションホテル(客室150室)の内装デザインには、英国風のヨーロピアン・クラシックスタイルに現代デザインの要素を調和させた。開放感あふれる天井高や大きな窓、洗練された調度品に加え、調光照明や高速インターネットなど、機能性と居住性を追求した空間をつくり上げた。
 東京ステーションギャラリーは、壁に創建当時の赤レンガなどを活用。今後、さまざまな展覧会を行い、駅を単なる通過点ではなく、薫り高い文化の場を提供していく方針だ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年9月25日4面

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