2013/10/04

【ドローン】無人飛行体で災害査定 台風18号現場で初適用

日本建設情報総合センター(JACIC)とアスコは、無人飛行体と災害復旧効率化支援システムを組み合わせた災害査定資料作成の支援技術を、京都府南丹市の台風18号被災現場に初適用した。国土交通省近畿地方整備局は京都府を支援するため、テックフォース(緊急災害対策派遣隊)を派遣しており、調査を効率化できる技術として、同局がJACICに要請、支援の一部に適用した。木住川の3カ所で活用し、技術の有効性を確認した。


新技術はJACICの災害復旧効率化支援システム「フォトジー・キャド」と、アスコの無人飛行体による写真撮影を組み合わせた。フォトジー・キャドで3次元モデルを構築するためには、3方向から撮影する必要があるが、災害現場では3方向を確保することが難しいケースも少なくなかった。そこで無人飛行体で上空から撮影することで課題の解消につなげる。無人飛行体は有人のヘリコプターなどに比べて簡易・低コストで上空から撮影できる。
 京都府からの支援要請を受けて、近畿地方整備局はテックフォースとして藤村正純企画部総括技術検査官を隊長に計14人を派遣。木住川と中世木川の計23カ所で災害査定資料作成を支援している。「京都府からの要請を受け、9月27日に先遣隊を派遣し、支援を始めた」(藤村隊長)。対象は木住川が約7.7㎞、中世木川が約3㎞。災害申請個所数は、1カ所当たり複数の工事個所で構成することもあるため、工事個所数では木住川が約40カ所、中世木川が約50カ所の計約90カ所となる。
 新技術を適用した3カ所は1、2の両日に撮影した。撮影個所には垂直の棒、紙や紐の目印を複数配し、対岸の高さ20m程度に飛行体を飛ばして撮った。延長が約70mの現場では3分割にして撮影することで精度を確保。無人飛行体はドイツ製で6枚の羽が回転する。1回の充電で15分程度の飛行が可能。重量は2.5㎏と軽く飛行の安定性が特徴だ。1台約700万円で、アスコは2台を保有しているという。地上で操作するとともに、ディスプレーから撮影状況を確認できる。
 フォトジー・キャドは撮影した画像から3次元モデルを構築、断面図を作成し、数量計算して査定設計書を自動で出力する。JACICの山本剛近畿地方センター長は「実現場に初適用し、多様な経験を積み、課題も分かった。無人飛行体から動画も撮影できることから、フォトジー・キャドも動画に対応できるようにソフトの改良を検討したい」と話している。
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