2011/10/26

伊東豊雄の「みんなの家1号」が完成/建築家の帰心の会が仙台でトークセッション

 建築家に何ができるのか--。東日本大震災を契機に伊東豊雄氏ら日本を代表する5人で結成した帰心の会は10月25日、仙台市の産業見本市会館でトークセッション「東日本大震災から7カ月を過ぎて思うこと」を開いた=写真。当日は、帰心の会が今後展開しようとしている「みんなの家」の第1号が仙台市内に完成。内覧会も開かれた。
 みんなの家の設計者は伊東氏。モダニズムに対峙するような軒と縁側のある家を造ったことがセッションで取り上げられ、伊東氏は「自分の中では悩みが大きかったが、決心した後はものすごく楽になった」と話した。
 セッションには伊東氏のほか、山本理顕、内藤廣、隈研吾、妹島和世の5人が参加。5月末以来の全員参加によるトークでは、これまでの活動などをそれぞれが語ったほか、「みんなの家」の感想などが話された。
 隈氏はル・コルビュジエやルイス・カーンの変化を引き合いに、「内因、外因さまざまなことがきっかけで変わるもの。モダニズムへのアンチテーゼではなくこれが自然だと受け止めた」と述べた。内藤氏は「伊東氏は建築の概念を広げたのだと思う」と指摘。山本氏は「みんなで造るということはとても難しい。参加したというプロセスは重要だ」とした。妹島氏は「変わったとかいうことではなく、そこに住む人たちにできることを何かやりたいということだと思っている」と語った。

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