2016/11/16

【キュー・アイ】水上・水中2機連携で位置把握精度を圧倒的に向上! ダム調査ロボット開発進む 


 老朽化や担い手不足などに対応し、生産性向上につながる確実なインフラメンテナンス技術の確立が求められる中、横浜市金沢区に本社を置くキュー・アイは、自動で堤体部を水中撮影して状態を記録するダム調査ロボットの開発を進めている。2機連携が最大の特徴で、目視可能な水上ロボットの存在が位置把握精度を圧倒的に高める。既に一定程度の水準まで技術を確立しているが、さらに改良を加え、2018年度以降の製品化を目指す。

 同社は、特殊環境下における各種テレビカメラの製造販売を手掛けている。これまでもインフラメンテナンスに関する製品を開発してきたが、14年度の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「次世代社会インフラ用ロボット技術・ロボットシステム」への応募がきっかとなり、初めてダム専用ロボットの開発をスタートした。
 インフラメンテナンスでの必須条件は正確な位置情報の把握だ。当然ダム施設においてもこの条件は当てはまるが、いかに水中などの特殊環境を克服する仕組みを構築するかがカギとなる。同社は、水上ロボット、水中ロボットの2機連携調査ビークルと操作インターフェースを基本構成とすることで、既存の有線式水中カメラロボットでは難しかった位置把握精度を高めた。
 水上ロボットには電動ケーブルリールを搭載し、水中ロボットの浮上、潜降を行う機能を担う。水中ロボットは数㎞の水中重量に設定し、水上ロボットに自重でつり下がる形で鉛直下に位置を保持する。両ロボットそれぞれが調査壁面に対し角度と距離を一定に保ち、同時・同距離の移動制御機能も持つ。目視可能な水上ロボットで相対位置を把握し、ケーブルカウント長で正確な水中撮影を実現した。撮影した映像は水中壁面広域マップとして自動生成する。
 潜水士による調査と比べ、高効率・低コストな水中壁面調査を可能にする。2機連携とすることで水中ロボット単独ではプロペラなどの推進システムを持たないことから、泥や沈殿物を拡散しないメリットもある。操作インターフェースと調査ビークルは無線通信でそれぞれに電源を内蔵しており、現場での設置性とハンドリングにも優れている。
 15年12月に国交省が実施した現場検証でこれらの性能が認められた。新たにNEDOからの助成を得て、16、17年度は実用化開発の段階へと移行した。位置把握精度をさらに高めるため、風対策として壁面にロボットがへばり付く新機能を付加した。ことし10月に神奈川県が実証フィールドを提供し、城山ダムで性能を確認した。同社技術開発部の豊島雄樹氏は新機能にも確かな手応えを感じており、「コンパクト、低コストを意識しつつ完成度を高めたい」とさらなるロボットの進化を目指している。
◇キュー・アイ 横浜市金沢区福浦2-4-7。電話045-790-3206。

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