2016/11/23

【現場最前線】狭隘現場をで「U桁リフティング架設工法」で克服! 新東名厚木第二高架橋他PC上部工


 新東名高速道路の起点(海老名南ジャンクション)から最初のインターチェンジ(IC)となる厚木南ICの工事が着々と進んでいる。三井住友建設・日本ピーエスJVが施工する「厚木第二高架橋他8橋(PC上部工)工事」(神奈川県厚木市戸田~下津古久)では、工場製作したU桁の一括架設など狭あいな現場というハンディキャップを最新技術で克服している。

 工事は、新東名厚木南ICの本線部(第二、第三)高架橋と、ランプ部(A、B、C1、C2、D、G-201、G-198)の計9橋のPC(プレストレスト・コンクリート)上部工工事で、工期は2015年8月から18年5月。このうち本線の第二、第三高架橋は上・下線ともにU字型の桁を橋脚間に縦に架設し、PC板で蓋をする。
 施工現場の片側では、県道のランプすり付け部の施工が進んでおり、反対側には民家が迫る。通常であれば橋脚間に架設する桁を現場で製作して一括架設するものの、ヤードが狭く他現場とも輻輳(ふくそう)しているため、製作ヤードが確保できない。そこで「U桁リフティング架設工法」を採用することにした。
 三井住友建設の小山工場と能登川工場で計86本のU桁を製作し、トラックに積載できる大きさのセグメント(計610個)に分割。現場に運んだセグメントをクローラークレーンで架設場所に移し、門型台車でセグメントを接合して1本の橋桁にする。接合したU桁はPCケーブルを挿入して緊張し、橋脚間をまたぐように設置したリフティングガーダーで一括架設する。U桁は、箱桁などに比べて小さく、ガーダーも小さくて済む。コンクリートの現場打ちは、U桁同士をつなぐ横桁と桁端部、壁高欄、床版、間詰めだけだ。
 リフティングガーダーによるU桁架設は、同社の特許技術で、柴田宙現場所長は「U桁を工場製作して現場で組み立てて架設するのは、世界で初めて」と語る。
 部材はほぼ工場製作で、現場は組み立てが主体。生産性の高さが“売り”だが、だからこそ「セグメント接合時の精度が非常に重要になる」(柴田所長)。接合がずれていると、架設しても隣の桁と位置が合わず、PCケーブルでつなげないため、やり直しとなる。部材一つひとつが大型化するため、「クローラークレーンなど重機も大型化し、計画をしっかりしなければ、重大災害につながりかねない」(同)。生産性を上げるには、現場打ちにはない特有の気配りが必要になる。
 東京・名古屋・大阪を結ぶ新たな大動脈は、最新技術と細心の気配りで構築される。
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