2012/07/08

建築会館(東京都港区)の名物喫茶店「アゴラ」が9日に閉店

店長の吉阪氏とおくさま
 「わたしはお客さまにコーヒーをお入れしていただけなのですが、建築家・吉阪隆正の息子ということで、『ここに来てあなたに会えてうれしかった』と言ってくださる方がたくさんおられた。丸10年間、言葉では言い表せない財産をいただきました。女房ともども感謝の気持ちでいっぱいです」

 日本建築学会がある東京・芝の建築会館1階に20年ほど続く喫茶「ティー・ラウンジ アゴラ」。厳しい経済情勢から7月9日で閉店することになった。そのマスターがホテル勤務の経験を持つ吉阪正邦さん。父親の隆正氏は、大学セミナー・ハウスやアテネフランセなどの作品を残し、早大教授、建築学会長を務めた。
 2002年、オープン10年の節目で営業の継続が検討されていた時、学会にケータリングしていたホテル勤務の正邦さんに声が掛かった。「1カ月くらい研修的な格好で、運営やレイアウトなどを考えながらスタートしました」
 その後、本格的な営業に入って奥さんの輝子さんが加わった。それ以来、二人三脚で店を切り盛りしてきた。
 輝子さんは「初めて働いたので、お客さまとのコミュニケーションの取り方が分かりませんでした。とにかくにこにこしてお客さまの方を見ていると、主人がこわい顔をしてにらんでいるんです」と笑う。
 正邦さんは、顔立ちが父親にとてもよく似ていて、明るい性格なので「ファン」も多く、閉店を惜しむ声も聞かれる。秋口には書店としてリニューアルオープンすることが決まっている。

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