2012/07/02

北海道(~札幌)、北陸(~敦賀)、九州(~長崎)の3新幹線 国交省がすべて着工認可

 国土交通省は6月29日、北海道新幹線新函館(仮称)~札幌間、北陸新幹線金沢~敦賀間、九州新幹線武雄温泉~長崎間の整備新幹線3区間の工事実施計画を認可した。今後は、3区間とも調査や設計に入る。北海道新幹線はおおむね24年後、北陸新幹線は14年後、九州新幹線は10年後の完成を目指す。整備新幹線の着工認可は約4年ぶりで、民主党政権では初めて。総建設費は約3兆0400億円。

 認可は、同日に開かれた整備新幹線問題検討会で沿線自治体などの意見照会が完了したことに伴い実施。鉄道建設・運輸施設整備支援機構から申請のあった工事実施計画(土木構造物などの関係分)を認可した。
 北海道新幹線の工事長さは211・7㌔で、約8割がトンネル。駅は新函館(仮称)、新八雲(同)、長万部、倶知安、新小樽(仮称)、札幌の6駅。今回申請した工事費は1兆2386億円。
 北陸新幹線は、工事長さが114・4㌔。高架橋が半分を占め、このほかトンネル、橋梁など。駅は金沢、小松、加賀温泉、芦原温泉、福井、南越(仮称)、敦賀の7駅を設置する。敦賀車両基地の建設も同時に事業化する。工事費は8968億円。このうち金沢~白山総合車両基地間は建設中。
 九州新幹線は、工事長さが66㌔。トンネルがこのうち6割を占める。駅は武雄温泉、嬉野温泉(仮称)、新大村(同)、諫早、長崎の5駅を整備する。工事費は3706億円。武雄温泉~諫早間は既に工事を進めている。
 今回の認可により、残る未着工区間は北陸新幹線敦賀~大阪間となる。同区間の整備について、同日に会見した羽田雄一郎国交相は「暫定的ではあるがフリーゲージトレイン(軌間可変電車)を導入し、旅客利便性の低下の回避を図りたい。試行的に進める中で、検討を継続したい」と話した。

◇延伸は長年の悲願/高橋北海道知事
 北海道の高橋はるみ知事は6月29日、整備新幹線新函館(仮称)~札幌間の着工が認可されたことについて、「長年の悲願である札幌延伸の正式決定は、北海道にとって歴史的な出来事であり、道民とともに喜びを分かち合いたい」とするコメントを出した。札幌延伸で「東北や北関東地域、首都圏との観光やビジネスを始めさまざまな分野での交流の拡大が期待される」としている。

◇発展へまちづくり/上田札幌市長
 札幌市の上田文雄市長は同日、整備新幹線の札幌延伸が決まったことを受け、市役所内で記者団に「長年誘致、着工のため活動してきたので本当にうれしい」と述べるとともに「経済、文化などの発展のためまちづくりをしっかりやりたい。札幌から鹿児島まで一本のレールでつながるために努力したい」と強調。巨額の公共事業となることに批判が出ていることを念頭に「必要なことはやらないといけない。インフラとして必要不可欠なもので、本来やらなければならなかったことを今決断したということだ」と指摘した。

◇正式認可に安堵/谷本石川県知事
 石川県の谷本正憲知事は同日、北陸新幹線の金沢~敦賀間の着工が正式認可されたことについて、「ようやく認可され安堵(あんど)している」と評価した。県庁内で記者団の取材に答えた。
 ただ、「フリーゲージはあくまでも暫定措置。フル規格で整備しないと東海道新幹線の代替機能は果たせないし、この原則はしっかりこれからも守っていかなくてはいけない。国もこの基本原則は曲げてもらっては困る」と強調した。

◇地域の魅力を向上/古川佐賀知事
 佐賀県の古川康知事は同日、武雄温泉~長崎間を結ぶ九州新幹線西九州ルートの着工認可を受け、「望んできた整備計画。沿線新駅周辺のまちづくりを始め、観光資源の磨き上げなど地域の魅力の向上を図る」とのコメントを発表した。

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