2012/08/31

高速道路の遮音壁に太陽光発電 NEXCO西日本が9月8日から適用実験

西日本高速道路会社は遮音壁に太陽光発電を適用するための実験準備ができたことから9月8日にスタートさせる。垂直に立つ遮音壁に設置するため、発電効率は通常よりも落ちるが、設置可能な延長が長く、既存設備を有効活用できることから、今後の設置の可能性を検討することにした。山陽自動車道の淡河パーキングエリア〈下り線〉(神戸市)と同三木サービスエリア〈上り線〉(兵庫県三木市)に適用し、1年間にわたって実験する。
 2月に実験の参加者を公募した。参加するのは矢木コーポレーション(共同参画・旭硝子)、日本板硝子環境アメニティ(同・東亜電機工業社)、日本パーツセンター(同・ケー・アイ・エス)、積水樹脂、ケー・エフ・シー、兼松(同・JFE建材)、三晃金属工業、日鐵住金建材の計8社。ただし、積水樹脂は2案を実験する。
 太陽光パネル面積は1案当たり8㎡で、9案で計72㎡を設置する。淡河PAは遮音壁(金属板やコンクリート板)、三木SAでは透光性遮音板への適用を想定して実験する。太陽光発電は南向き30度の角度で設置するのが一般的だが、遮音壁は直立のために通常よりも発電効率が落ちる。実験ではどの程度の発電能力を確保できるかを調べるとともに、設置による安全性などを調べる。実験期間中の発電量は両休憩施設に設ける発電量表示モニターで確認できる。発電した電気は実験設備に必要な電力として使う。

◇とにかく実験

 太陽光発電装置は遮音壁の新設や更新時に加えて、接着式などの場合は既存設備にも容易に導入できる。実験を通じて実用化のめどがつけば、売電と照明など近傍施設での使用の両方を選択肢として実用化を検討する。同社ではこれまで第二京阪道路で遮音壁に太陽光発電を採用した実績があるが、上部が円形に曲がった特殊な遮音壁だったため、通常の遮音壁で実験する。また、遮音壁は日本高速道路保有・債務返済機構が所有しているため、機構との協議も必要になる。技術本部の相葉忠一環境部長によると橋梁部の遮音壁は同社管内で延べ延長が約430㌔ある。「遮音壁は盛土部にも設置されているが、木が植えられているなどの事例もあり、まず橋梁部での検討を先行して進めたい」としている。

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