2014/06/29

【BIMカフェ】これが大林流! 関係者全員がイメージ共有できるCIM

「今やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の導入現場は40を超えた」と会場を驚かせたのは、大林組で現場へのCIM導入の推進役を務める土木本部本部長室情報企画課の杉浦伸哉課長。20日にシェルパ東京オフィス(東京都中央区)で開かれたトークセッション『オープンBIMカフェ』のスピーカーとして熱弁をふるった。

 同社がCIMの現場導入に踏み切ったのは国土交通省が試行プロジェクトを打ち出す5カ月前の2012年2月。4現場でスタートし、ことし2月には30現場を超え、現時点では42現場にも達する。トップダウンではなく、あくまでも現場主導で件数を着実に増やしている。「導入目的が明確になれば、現場は共感してくれる」と、実に明解だ。
 公共土木工事では、川上から川下までの業務は細分化して発注され、民間建築のようにゼネコンが設計から施工までを一貫して担当するような流れにはない。「われわれが担当する部分は施工のみ。施工のどこにメリットを見いだすか。そう考えると、おのずと目的は見えてくる」
 現場が目指すのは「判断の迅速化」「施工の効率化」「工期短縮・コスト削減」であり、これに「維持管理初期モデル構築」を加えた4つが大林流の施工CIMの着眼点だ。「CIMの導入効果は維持管理段階につながることは言うまでもない。発注者側には工事完成後の初期モデルを渡すことを前提に、現場導入を進めようとしている」と明かす。
 現場の共感を得ている背景には、協力会社を含めた関係者全員が作業工程などの現場イメージを共有できる点にあるようだ。「何が何でも3次元を使うのではなく、効果的な部分を見極めて3次元化を進めることが重要。導入部分は現場によって異なる。大切なのは目的を明確化することだ。難しくやっても成功はしない。あくまでも簡単に行えること。それが共感を得る近道だ」

CIMを効果的に活用している見草トンネル建設現場作業所
比較的導入数が多いのはトンネル工事。地層や地質の状態によってトンネルの形状は決まるため、実際の施工が始まってから設計を微調整せざるを得ない場面は多い。近畿自動車道紀勢線の見草トンネル建設工事も積極的にCIMを導入する現場の1つ。注目すべきは工事完了後、坑内に計測車両を走らせ、トンネルの点群データを取得する取り組みだ。「それは維持管理の初期モデルになり、管理の手がかりになる」との考えからだ。
 月1回のペースで開催中のBIMカフェは4年目に突入。全38回の中で、CIMを題材にしたセッションは今回が初めて。杉浦氏はこう呼び掛け、聴講者の賛同を得た。「BIMもCIMも目的は一緒。誰のためにやるかと問われれば、オーナー(発注者)のためであろう。ともに維持管理に向けた取り組みであることを意識すべきだと思う」
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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