2015/01/31

【建築】Is値0.16、保存に揺れる神奈川県立近代美術館鎌倉館の調査結果発表

神奈川県は23日、保存の可否問題に揺れる神奈川県立近代美術館鎌倉館=写真=の建物調査結果を公表した。構造耐震指標(Is値)は最も低い部分が0.16で耐震基準を下回ると判定するととともに、部材の一部に腐食や欠損が認められるが、基礎部分のコンクリート・鉄骨などは建設当時の強度を保持しているとした。今後は県と土地所有者の鶴岡八幡宮で結果を精査するとともに、引き続き施設のあり方について協議していく。

 調査を担当した鈴木設計は、柱方向に敷設されている既存の鉄骨ブレース(補強材)37カ所を交換するとともに、2階床、屋根に新たに水平方向の補強材39カ所を設置。また、同補強に伴う荷加重増を支えるため、鉄骨柱の柱脚7カ所と地中梁(はり)22カ所を補強することで、最も低いIs値が0.88に改善できると提案した。概算工事費は約2億1000万円と見込んでおり、同工事により、現在の耐震基準に適合できるとしている。
 同館は、1951年に建設された。施設管理者である県は、老朽化などの問題から美術館として改修することは難しいと判断。2016年3月末の土地借地契約が満了するまでに美術館としての活動を終了するとしていた。
 その後、建築家・坂倉準三が設計し、「日本の近代建築20選」にも選ばれている同施設について、市民や日本建築家協会(JIA)、日本建築学会などからの保存・活用要望などを受け、14年に躯体の部材状況把握のほか、地下にある遺構を傷つけずに改修可能かなどを判断する調査業務を同事務所に委託していた。所在地は鶴岡八幡宮境内の鎌倉市雪ノ下2-1-53。敷地面積は4243㎡。
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