◇テーマパークのような舞台を/円形空間から人間中心のドラマ
演出家の高平哲郎さんが脚本と演出を手掛けた『もうひとつの竜馬伝-配役を探す8人の登場人物』。昨年11月に3日間だけ青山円形劇場で上演された。この劇場は、迫(せ)りが44区分され、舞台と客席を分けるなど自在な使い方ができるが、360度を客席が取り囲む「原型」をそのまま使った。高平さんは「円形はセットが組みにくい場合があるので『遊び方』が難しいのですが、『竜馬伝』のように、人間中心のドラマを作ることができる。知恵を出すことで、お客さんに評価されるのはうれしい。ぼくはどんなホールでも、どんなキャスティングでも、始まった途端にワクワクする『テーマパーク』のような舞台を作りたいと思っています」
高平さんは1970年代にタモリさんと出会い、放送作家として「今夜は最高!」「笑っていいとも」などタモリさん出演の数多くの番組を手掛けてきた。最初に演出した舞台は、東京・新宿の紀伊国屋ホール。77年には名盤と言われるLP『タモリ』発売記念ショーをここで開いた。このときタモリさんのショーに加えて東京ヴォードヴィルショーと由利徹さんも参加した。これが、東京ヴォードヴィルショーの芝居を手掛けたきっかけになった。そのすぐ後には、東京・有楽町のよみうりホールで「第1回冷し中華祭り」も開催した。
「東京ヴォードヴィルショーを演出した劇場は、建物はもうありませんが、渋谷のエピキュラス、新宿コマ裏のアシベ会館などがありましたね。アシベでは『七輪と侍』なんていうのもやって、紀伊国屋ホールで再演されました。“七人”じゃないですよ。“七輪”です(笑)。懐かしいですね。本格的な演劇ということでいえば、88年の銀座セゾン劇場での『ハロルド・ピンター・コレクション』になると思います。竹下景子さんと蟹江敬三さんが夫婦役でした」