2016/08/07

【日建グループ】梅澤高明氏とスプツニ子!氏が「都市と社会のデザイン」語る NSRIフォーラム


 日建グループは7月26日、東京都千代田区の経団連会館でNSRIフォーラム2016「都市と社会をデザインする」を開いた。講演者にはA・Tカーニー日本法人会長の梅澤高明氏、現代美術家のスプツニ子!氏を招き、デザインが変える都市や社会の未来について議論した。

 コンサルタントの立場から2020年以降の東京のあり方について提案している梅澤氏は、「世界一の都市づくり」をテーマに東京の魅力向上について講演。高齢化時代の健康増進や多様性の包摂といった東京の課題を挙げながらも、「都市の強みを磨くことで世界一のクリエーティブシティが生まれる」と強調し、水辺の活用や既存建築・インフラのリノベーションといった方策を掲げた。
 「東京には異なる特徴を持った複数の街並みがある。巨大開発で1つのビルにあらゆる機能を持たせるのではなく、都市が既に持っている特徴を最大限に生かした新しい機能を重ねていく必要がある」という。
 スプツニ子!氏は、実在する同性カップルの遺伝情報からでき得る子どもの姿や性格を予測した「家族写真」を制作した作品『(Im)possible Baby』を紹介。1960年代の建築家が社会問題を解決する方策を探るために実現不可能なデザイン案を提案したことを例に挙げ、「デザインには想像力を促す力があり、より多くの人々が社会の抱える問題に気付くきっかけになる」と強調した。デザインに携わる人間はソリューションを提供するだけでなく、「問題提起型のデザイン」をする必要があるとも語った。
 講演後には夫婦である梅澤氏とスプツニ子!氏がイノベーションをテーマに対談した。梅澤氏は日本企業の課題を「技術偏重」とし、「発想の転換は技術ではなく、技術を持っている人々が融合することで生まれる」と語った。これに対しスプツニ子!氏も、「組織の論理からはみ出た提案も排除せず、雇用体系や性別といった発想も超えなければ新しいアイデアを考えることはできない」とした。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

Related Posts:

  • 【PM/CM】PMで自治体の技術系職員不足は解消できるか! 足立区の実例 工事費の高騰と技術者不足が深刻化する状況にあって、官民問わず建築工事におけるプロジェクト・マネジメント(PM)、コンストラクション・マネジメント(CM)の重要性は高まっている。こうした中、東京都足立区が初めて単独業務として採用し、PM業務を本格的に進めた加平小学校・本木小学校の建て替え事業が完了し、4月に開校を迎えた。実例から見えてきた公共建築工事においてPMに期待される役割、可能性について、同事業でPM会社を務めた山下ピー・エム・コンサル… Read More
  • 【衝撃】度重なる入札不調で取り壊しの危機 丹下健三の香川県立体育館【記者コメ付き】 労務不足や資材価格の高騰などを背景に、公共建築工事の入札不調が全国的に相次ぐ中、3回の公告すべて入札参加者がなかった香川県の県立体育館耐震改修工事が事業中止となった。この間、県は予定価格を約4割増しとするなど不調対策を講じてきたが、建設需要が高まる中、今後の入札のめどが立たないとして事業そのものを取りやめることにした。丹下健三の初期の代表作は9月末で閉館となり、建て替えも含めて検討されることになる。 【執筆者より:四国では大型の入札で不調が… Read More
  • 【大岡山建築賞】山本晃大さん(東工大)が受賞 デザイン分野の奮起促す 東京工業大学建築学科の卒業生を中心メンバーとするTIT建築設計教育研究会(運営委員長・日置滋清水建設常務執行役員設計・プロポーザル統括)は6月25日、東京都目黒区の東京工大博物館で総会と大岡山建築賞の表彰式を開いた。  総会の冒頭にあいさつした日置運営委員長は10年間にわたって設計者の採用面接に携わってきた経験を振り返りながら「構造分野にはずっと優秀な人がいる。設備分野も近年は優秀な人が増えてきた。デザイン分野の学生も優秀と呼ばれる人は毎年… Read More
  • 【安藤忠雄】「生きた建築ミュージアム」継承 大阪商工信金の新本店ビル 大阪商工信用金庫(大阪市中央区、小林良彦理事長)は、新本店ビルの建設に着手する。現在同ビルの設計を、安藤忠雄建築研究所に委託して進めている。既存建物の屋上部にある建築家・今井兼次がデザインしたレリーフを保存再生しながら、ガラス張りの現代的な建物に生まれ変わるという。解体工事は竹中工務店が担当、解体後引き続き竹中工務店・鴻池組JVで本体工事に着手する予定だ。2016年12月の供用開始を目指している。写真は解体に着手した本町ビル。  大阪市中央… Read More
  • 【建築】最小限の開口部と風の抜ける明るい内部実現 Example-House デ・ステイル建築研究所(千葉市中央区、小島広行代表)が設計した戸建て住宅「Example-House」は、同市にあり、夫婦と子どもの3人家族が住んでいる。 建設地に隣接する3件の土地は、同時期に宅地として分譲され、どのような家が建つか分からなかった。いずれも土地が狭く「建ぺい率いっぱいに建つと思ったため、どのような家ができても視線がバッティングしない建物にしよう」(小島代表)と検討を始めた。  まずは、通行人や周囲のアパートからの視線も重な… Read More

0 コメント :

コメントを投稿