ゼロシュリンクの打設状況 |
ゼロシュリンクは、JIS規格に基づく既存材料の配合を工夫したことで実現した。セメントは中庸熱ポルトランドセメント、骨材に石灰岩を採用したほか、収縮低減剤や膨張材を加えている。収縮低減剤は保水性が高く、材料の分離に抵抗する粘性を持つ。一方、膨張材は、独自の膨脹効果予測手法による検討と実験を繰り返して配合量を確定した。
一般的なコンクリートは材齢182日目で1m当たり0・8mm収縮するのに対し、ゼロシュリンクは0・1mmに抑えた。0・1mmとごくわずかながら収縮するものの、あらかじめ加えた膨張材でその収縮分を相殺し、最終的な収縮はほぼゼロとなる。低収縮コンクリートに特有な耐凍結融解性の課題もクリアしている。
収縮ゼロの場合、1m3当たりのコストは普通コンクリートより約1万5000円程度高い。ただ、施設の要求水準などに応じて収縮率を調整すればコストは低減する。例えば収縮を0・25mmとすれば、1m3当たり数千円の上乗せで済む。
初適用する同社技術研究所の新材料実験棟と新多目的実験棟には、低層階の床や外壁などに計250m3を打設する。ひび割れ誘発目地が不要で、デザインや機能面での自由度が高い。
同社は今後、顧客への積極的な提案を進めていく方針。打ち放しコンクリートを採用する文化施設などデザイン性を追求した施設のほか、目地のないスラブが必要な生産工場などにも提案する。
一方、ひび割れによる漏水を防止できることから、貯水施設や遮蔽施設などにも適している。
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