2012/02/23

「音が見える音カメラ」を音楽の実技指導に 熊谷組と信州大学が3年間共同研究

音カメラで発声の状況が見える
 熊谷組などが開発した「音カメラ」を、音楽の実技指導に活用する試みが始まった。音カメラは、音の発生状況などを映像に変換して可視化する装置。テレビ放送を通じてこの装置の存在を知った信州大学教育学部の准教授が同社に話を持ちかけ、両者で共同研究を進めることになった。
 音カメラは、センサーで音の到達方向や大きさ、周波数などを感知し、パソコン画面上に円のドットで表示する。円の表示位置が音の到達方向を表し、円の大きさは音量の大小、周波数は色分けして表示する仕組みだ。改良を重ねて装置を小型化し、撮影中の動画上にリアルタイムで表示できるようにした。

 この音カメラが紹介されたテレビ番組を見た同大学の齊藤忠彦准教授は、「音楽の実技指導に活用できないか」と考えた。実技指導はこれまで聴覚だけが頼りだったが、視覚的にも音を把握できるメリットは大きい。熊谷組に協力を仰ぎ、両者による共同研究が決まった。
 声楽や楽器の実技指導での活用を想定し、今年度から3年間かけてさまざまな実験を行う。熊谷組は、研究結果をホールやスタジオなどの設計や提案に反映させたい考えだ。
 21日には齊藤准教授と学生らが茨城県つくば市にある同社技術研究所を訪れ、無響室内で実験を行った。音カメラの前で発声すると、胸の高さの位置に複数の大きなドットが表示された。
 齊藤准教授はこのほか、脳活動を測定する光トポグラフィー装置を使い、効果的な実技指導に関する研究なども進めている。

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