ヨコハマアパートメント 撮影:鳥村鋼一 |
発表会で西田氏は「栄誉ある賞をいただき光栄に思う。建築を通して社会、まちに寄与していきたい」と述べ、中川氏は「人が集まることの価値を、建築空間として提案したことが評価されてうれしい」と喜びを表現した。
フラワーショップH 撮影:阿野太一 |
同賞は、2011年11月に開かれた公開第2次審査で、西田・中川両氏、乾氏のほか、長谷川豪氏(森のピロティ)、山中新太郎氏(日本大学理工学部船橋キャンパス新サークル棟)、吉村靖孝(Nowhere but Sajima)が候補に選ばれていた。審査員を務める高宮眞介、赤松佳珠子、千葉学の3氏が、現地審査を踏まえて決定した。
・日本建築大賞はホキ美術館
ホキ美術館 撮影:野田東徳(雁光舎) |
大賞のホキ美術館について、三宅氏は「長い建築を折りたたんだようになっている。写実絵画があれだけ並んでいると構えてしまうが、それを建築でうまくつつんでいる」と評価し、石堂氏は「30mのキャンチレバーは非常に印象的。内部はずいぶん歩くが、疲労感はない。シームレスの心地よさを感じた」と、現地を訪れた際の感想を述べた。
日建設計の矢野氏は「貴重な賞をいただくことができてうれしい」と受賞の喜びを語った上で「美術館ができたことで、まちの使われ方が変わった」と、隣接する大規模公園から人を呼び込めるようになったことを説明した。中本氏は「(意匠だけでなく)構造、設備を合体したものが建築であり、そこに力を入れた」と述べ、関係者に感謝した。
斎藤氏は「6作品とも機能や内容は違うが、新しさとレベルの高さでは共通点がある。素材から生産まで含め、さまざまな職能をまとめるエネルギーを感じた」と全体を評価した。
協会賞を受賞した横河氏は「クライアントのその熱い思いに励まされ、なんとかいいものをつくりたいという思いで取り組んできた。こういう建築を辛抱強くつくっていきたい」と述べ、遠藤氏は「まだ来ていない災害に対し、どれだけのことが考えられるのか。そのメッセージを少しでも伝えたかった。選んでもらえたのは社会的に意義のあること」と喜びを語った。同賞の応募総数は231作品。
・25年賞、環境建築賞の受賞者
◆第11回JIA25年賞
▽スパイラル=槇文彦(槇総合計画事務所)▽スタンレー電気技術研究所本棟=阿部勤(アルテック)▽YKK50ビル=吉田忠裕、木村俊彦、遠藤精一、北村修一、大野秀敏、高須貞夫(YKKプロジェクトチーム)、宮崎浩(プランツアソシエイツ、リノベーション)▽前沢ガーデンハウス=槇文彦(槇総合計画事務所)▽トヨタ自動車東京本社ビル=日建設計▽ゆりが丘ヴィレッジ=SUM建築研究所▽読谷山窯=洲鎌朝夫・故人(匠設計)▽土佐和紙伝統産業会館紙の博物館=上田堯世(上田建築事務所)▽株式会社創和設計=石井修・故人(美建・設計事務所)
◆第12回JIA環境建築賞
=住宅部門=
〈最優秀賞〉落日荘=岩崎駿介
〈優秀賞〉美幌の家=堀尾浩(堀尾浩建築設計事務所)▽下川町環境共生型モデル住宅美桑=櫻井百子(アトリエmomo)▽りんご並木のエコハウス=新井優(新井建築工房+設計同人NEXT)
=一般建築部門=
〈最優秀賞〉いすみ市立岬中学校=福田卓司(日本設計)
〈優秀賞〉山梨市庁舎=永廣正邦(梓設計)▽ろうきん肥後橋ビル=児玉謙(日建設計)
〈入賞〉國學院大學渋谷キャンパス再開発計画=朝田志郎(日建設計)▽八幡幼稚園=石川恒夫(ビオ・ハウス・ジャパン一級建築士事務所+前橋工科大学)
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